60代からの終活で実家問題を解決!空き家対策と売却・管理の完全ガイド

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2025年現在、日本は本格的な超高齢化社会を迎え、60代の終活における実家問題が深刻化しています。特に団塊世代が後期高齢者となる今、空き家対策は避けて通れない重要な課題となっています。親が施設に入居したり、亡くなったりした後の実家の売却管理について、適切な判断を下せずにいる家庭が急増しているのが現状です。

実家を適切に処分しないまま放置すると、2023年12月に改正された空き家対策法により、管理不全空き家に指定されて固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。また、相続登記の義務化により、2024年4月以降は相続から3年以内に登記手続きを完了しなければ10万円以下の過料が科される制度も始まりました。これらの法改正は、60代の終活における実家問題への対応を、これまで以上に緊急性の高い課題として位置づけています。

一方で、適切なタイミングで実家の売却を行えば、居住用財産の3,000万円特別控除や相続した空き家に対する特別控除など、税制上の大きなメリットを享受することができます。また、空き家の管理を継続する場合でも、専門的な管理サービスを活用することで、近隣トラブルや建物劣化のリスクを最小限に抑えることが可能です。重要なのは、親が元気なうちから家族で話し合い、実家の将来について明確な方針を決めておくことです。

目次

2025年問題と空き家急増の背景

2025年問題は、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になることで引き起こされる社会問題の総称です。この現象により、日本では史上初の「家の大相続時代」が到来し、60代の終活において実家をどうするかという判断が、多くの家庭で迫られています。

国土交通省の調査によると、全国の空き家数は2018年時点で約849万戸に達し、総住宅数に占める割合は13.6%と過去最高を記録しました。この数字は今後さらに増加することが予測されており、2030年には空き家率が20%を超える可能性が指摘されています。

特に地方部では、若い世代の都市部への流出により、親世代が住んでいた家が空き家になるケースが急速に増えています。しかし、問題は地方に限った話ではありません。都市部においても、マンション価格の高騰により、戸建ての実家を相続しても住み替えが困難なケースや、既に住居を持っている子世代が実家を活用できないケースが増加しています。

空き家対策が進まない最大の理由として、情報収集はしているものの具体的な行動に移すための時間的余裕がないことが挙げられています。特に50代から60代の現役世代は、仕事や子育てに忙しく、実家の問題は後回しにしがちです。しかし、親の認知症が進行したり、相続が発生したりしてから対応しようとすると、選択肢が大幅に限られてしまいます。

また、家財道具の整理という物理的な作業も、空き家対策を困難にしている要因の一つです。長年住み続けた家には膨大な量の荷物が蓄積されており、これらを整理するには相当な時間と労力が必要です。特に親の思い出が詰まった品々については、処分に心理的な抵抗を感じる家族も多く、結果として実家の売却や活用が先延ばしにされてしまいます。

空き家対策特別措置法の改正とその影響

2023年12月に施行された改正空き家対策特別措置法は、空き家管理に対する国の姿勢を大幅に厳格化した重要な法改正です。この改正により、従来の「特定空き家」に加えて、新たに「管理不全空き家」という区分が創設されました。

管理不全空き家とは、現時点では特定空き家ほど深刻な状態ではないものの、適切な管理が行われておらず、放置すれば特定空き家になる可能性が高い空き家を指します。具体的には、外壁の一部にひび割れや剥離が見られる、窓ガラスが割れたまま放置されている、雑草が繁茂して近隣に迷惑をかけている、といった状態が該当します。

この新制度の最も重要な点は、管理不全空き家に指定された物件について、市町村から「勧告」を受けた場合、住宅用地特例の適用が除外されることです。住宅用地特例とは、住宅が建っている土地の固定資産税を6分の1に減額する制度ですが、この適用が除外されると、実質的に固定資産税が6倍に跳ね上がることになります。

例えば、年間12万円の固定資産税を支払っていた場合、特例が適用されなくなると72万円になる計算です。この税額増加は、空き家の管理費用を大幅に押し上げ、所有者にとって重大な経済的負担となります。

固定資産税の評価基準日は毎年1月1日であるため、この日の時点で適切な空き家管理が行われていることを証明する必要があります。つまり、年末年始の時期に慌てて対応するのではなく、年間を通じて継続的な管理を行うことが求められます。

市町村による空き家の調査も強化されており、職員による定期的な巡回や、近隣住民からの通報に基づく現地確認が積極的に実施されています。一度「管理不全空き家」に指定されると、その解除には相当な改善措置が必要であり、単純な清掃や草刈りだけでは不十分なケースも多いのが実情です。

この法改正により、60代の終活における実家問題は、従来の「できれば対応したい」レベルの課題から、「必ず対応しなければならない」緊急課題へと性質が変化しました。特に複数の不動産を所有している場合、管理コストが飛躍的に増加する可能性があるため、早急な対策が求められています。

60代での実家売却が持つ戦略的メリット

60代の終活において実家の売却を検討することは、単なる財産処分ではなく、家族の将来に向けた戦略的な判断として位置づけることができます。この年代で売却を行うメリットは、税制面、管理面、相続対策面の三つの観点から理解することが重要です。

税制面でのメリットとしては、まず居住用財産の3,000万円特別控除の活用が挙げられます。親が生前に自宅を売却する場合、所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円を控除できるこの制度は、実家の売却における最大の優遇措置です。ただし、この特例を受けるためには、売却する住宅に現在も住んでいるか、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

さらに、10年超所有軽減税率の特例も併用できる場合があります。所有期間が10年を超える居住用財産を売却した場合、譲渡所得6,000万円以下の部分について、通常の長期譲渡所得税率20.315%ではなく、14.21%の軽減税率が適用されます。3,000万円の特別控除と併用することで、実質的にほとんどの売却益を非課税にできる可能性があります。

管理面でのメリットは、維持費用の完全な解消です。戸建て住宅を所有し続ける場合、固定資産税、都市計画税、火災保険料などの基本的な費用に加えて、外壁塗装、屋根の補修、給湯器の交換、庭木の剪定など、様々なメンテナンス費用が発生します。築30年を超える住宅では、年間数十万円から数百万円の維持費がかかることも珍しくありません。

実家の売却により、これらの費用負担から完全に解放されることで、その資金を老後の生活費や医療費、介護費用に回すことができます。また、遠方に住んでいる場合の交通費や、管理のために時間を割く精神的な負担も解消されます。

相続対策面では、相続財産の単純化と分割の容易化が大きなメリットです。不動産は現物分割が困難であり、複数の相続人がいる場合には争いの原因になりやすい財産です。特に実家が高額な場合、一人の相続人が取得すると他の相続人との間で不公平が生じ、代償分割のための資金調達が必要になることもあります。

実家を売却して現金化しておけば、相続時の分割が簡単になり、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。また、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)を超える財産がある場合、現金であれば納税も容易になります。

さらに、60代で売却することで、親の判断能力が十分にあるうちに手続きを完了できる点も重要です。認知症が進行してからでは、売却の意思決定や契約締結が困難になり、成年後見制度の利用が必要になる場合もあります。成年後見人による不動産売却には家庭裁判所の許可が必要であり、手続きが複雑化し時間もかかります。

売却タイミングの最適化戦略

実家の売却において、タイミングの選択は売却価格と税負担の両面で重大な影響を与えるため、慎重な検討が必要です。最適なタイミングは、家族の状況、市場環境、税制上の優遇措置の適用条件などを総合的に勘案して決定する必要があります。

親が健康で判断能力に問題がない段階での売却は、最もスムーズに進められる理想的なタイミングです。この時期であれば、親自身が売却を決断し、契約手続きも本人が行うことができます。また、長年住み続けた家に対する親の思いや希望を直接確認しながら、家財道具の整理や重要書類の確保を進めることができます。

老人ホームや介護施設への入居を機としたタイミングも、実践的な選択肢として重要です。施設入居により実家が空き家になることが確定した時点で、速やかに実家の売却に着手することで、空き家管理の負担を回避できます。ただし、この場合は居住用財産の特例を適用するため、住まなくなってから3年以内という期限を意識した計画が不可欠です。

市場環境を考慮したタイミングの選択も重要な要素です。不動産市場は経済情勢、金利動向、地域開発計画などにより変動するため、市況が良好な時期を狙うことで売却価格の最大化を図ることができます。特に都市部では、再開発計画や交通インフラの整備により地価が上昇するケースもあるため、地域の将来性を見極めた判断が求められます。

相続発生後の売却を検討する場合は、特別控除の適用期限が最重要の考慮要素となります。相続により取得した空き家を売却する際の3,000万円特別控除は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが条件です。この期限を過ぎると、多額の譲渡所得税が発生する可能性があるため、逆算したスケジューリングが必要です。

また、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月)との関連も考慮する必要があります。相続財産に不動産が含まれている場合、その評価額により相続税額が決定されますが、申告期限前に売却が完了していれば、実際の売却価格を相続税評価額として使用できる場合があります。

季節的な要因も売却タイミングに影響を与えます。一般的に、不動産の需要は春(2月から5月)と秋(9月から11月)に高くなる傾向があります。これは転勤や入学に伴う住み替え需要が集中するためです。内覧や売却活動を効率的に進めるためには、これらの時期を意識したスケジューリングが有効です。

税制改正の動向も長期的な視点で考慮すべき要素です。空き家対策の強化や相続税制の見直しなど、政府の政策変更により税負担が変化する可能性があるため、最新の情報を把握しながら売却時期を判断することが重要です。

売却手続きの実践的プロセス

実家の売却を成功させるためには、各段階での手続きを正確に理解し、適切な順序で進めることが不可欠です。売却プロセスは大きく準備段階、査定・契約段階、売却活動段階、決済・引き渡し段階の4つに分けることができます。

準備段階では、まず相続登記の完了が最優先事項です。2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記を完了しなければ過料の対象となります。登記手続きには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などの書類が必要です。司法書士に依頼する場合の費用は、一般的に10万円から20万円程度です。

同時に、実家の売却に必要な書類の収集と整理を行います。権利証(登記識別情報)、固定資産税納税通知書、建築確認済証、検査済証、建物図面、境界確認書などは売却時に必要となる重要書類です。これらの書類が見つからない場合は、再発行手続きや測量の実施が必要になることがあります。

査定・契約段階では、複数の不動産会社に査定を依頼することが基本です。最低でも3社から5社程度の査定を受け、価格だけでなく査定根拠や販売戦略についても比較検討します。査定方法には、机上査定と訪問査定があり、本格的な売却を検討する場合は必ず訪問査定を依頼します。

不動産会社の選択においては、地域での取引実績、担当者の専門性と対応力、仲介手数料の内容、アフターサポートの充実度などを総合的に評価します。媒介契約には専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があり、それぞれメリットとデメリットがあるため、自分の状況に適した契約形態を選択します。

売却活動段階では、物件の魅力を最大限に引き出すための準備が重要です。空き家管理が適切に行われていることを示すため、定期的な清掃と換気を実施し、内覧時には明るく清潔な印象を与えるよう心がけます。必要に応じてハウスクリーニングやホームステージングの実施も検討します。

内覧対応では、物件の良い点を適切にアピールしつつ、不具合や問題点についても誠実に説明します。隠匿は後々のトラブルの原因となるため、契約不適合責任を回避するためにも透明性のある対応が重要です。

価格交渉では、最初から最低希望価格を提示するのではなく、市場相場を踏まえた適正価格から開始し、買い手の反応を見ながら調整していきます。値下げのタイミングや幅については、不動産会社と綿密に相談しながら決定します。

決済・引き渡し段階では、売買契約書の内容を詳細に確認し、不明な点があれば遠慮なく質問します。手付金の額、残代金の支払い時期、物件の引き渡し条件、契約不適合責任の範囲などは特に重要な項目です。

引き渡し時には、物件内を完全に空にし、鍵の引き渡しと共に必要書類を買主に渡します。固定資産税や都市計画税の日割り精算、公共料金の精算なども忘れずに行います。売却完了後は、譲渡所得税の確定申告が必要になる場合があるため、必要書類を整理し、税理士への相談も検討します。

効果的な空き家管理システムの構築

実家の売却を選択しない場合、空き家の管理を適切に行うことで、建物の劣化を防ぎ、近隣とのトラブルを回避することができます。効果的な空き家管理システムの構築には、定期的なメンテナンス計画と専門サービスの活用が不可欠です。

空き家管理の基本要素として、まず定期的な見回りと点検があります。理想的には月2回程度の訪問を行い、建物の外観チェック、内部の換気、水道設備の動作確認を実施します。人が住まなくなった建物は急速に劣化が進むため、早期発見・早期対応の体制を整えることが重要です。

換気作業では、全ての窓を開放して空気の入れ替えを行い、湿気のこもりやカビの発生を防ぎます。特に梅雨時期や冬季は湿度管理に注意が必要です。水道設備については、蛇口をひねって通水を確認し、配管の乾燥や凍結を防ぎます。長期間使用しない場合は、水道の元栓を閉めることも検討します。

庭の手入れも空き家管理において重要な要素です。雑草の繁茂は害虫の発生源となり、近隣住民からの苦情の原因になります。また、樹木の枝が隣地に越境したり、倒木により他人の財産に損害を与えたりする危険性もあります。定期的な草刈りと剪定作業により、こうしたリスクを回避できます。

セキュリティ対策も空き家の管理において欠かせません。空き家は不法侵入や放火などの犯罪のターゲットになりやすいため、防犯カメラの設置、センサーライトの設置、定期的な巡回警備などの対策を講じます。郵便物の処理も重要で、ポストに郵便物が溜まっていると空き家であることが外部に知られてしまいます。

空き家管理サービスの活用は、遠方に住んでいる場合や高齢により頻繁な訪問が困難な場合に有効な選択肢です。専門業者によるサービス内容には、月1回から月4回の見回り点検、簡易清掃、換気作業、庭木の剪定、郵便物の転送、緊急時の対応などが含まれます。

サービス料金は月額5,000円から15,000円程度が相場ですが、作業内容や頻度により変動します。業者選択においては、地域での実績、保険加入状況、緊急時の対応体制、報告書の提供方法などを比較検討することが重要です。

空き家管理において注意すべき法的リスクとして、建物や樹木による第三者への損害賠償責任があります。台風などの自然災害により屋根材が飛散したり、樹木が倒れたりして他人の財産に損害を与えた場合、所有者に賠償責任が生じる可能性があります。火災保険に個人賠償責任特約を付帯することで、こうしたリスクに対応できます。

税金面での負担も継続的な課題です。空き家を所有し続ける限り、固定資産税と都市計画税の支払い義務があります。前述の管理不全空き家に指定された場合、住宅用地特例が適用されなくなり税額が大幅に増加するため、適切な管理を継続することが経済的な観点からも重要です。

長期的な視点で空き家管理を継続する場合、建物の大規模修繕費用も考慮する必要があります。屋根の葺き替え、外壁塗装、設備機器の交換などは避けられない費用であり、築年数の経過とともに修繕費用は増加していきます。これらのコストを含めた総保有コストを計算し、実家の売却と比較検討することが重要です。

相続登記義務化への対応戦略

2024年4月から開始された相続登記義務化は、60代の終活における実家問題に新たな緊急性をもたらしています。この制度改正により、相続によって不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが法的義務となりました。

相続登記義務化の対象は、2024年4月1日以降に発生する相続だけでなく、それ以前に発生した相続についても適用されます。つまり、過去に親から実家を相続したものの、まだ登記手続きを完了していない場合は、2027年3月31日までに登記を完了させなければなりません。この期限を過ぎると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記手続きには多くの書類が必要です。基本的な書類として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、被相続人の住民票の除票、相続人全員の現在戸籍謄本、相続する不動産を取得する相続人の住民票、相続する不動産の固定資産評価証明書などがあります。

遺産分割協議により相続する場合は、これらに加えて遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が必要です。遺言書がある場合は、公正証書遺言以外の遺言書については家庭裁判所での検認手続きが前提となります。

相続登記の申請方法には、法務局での窓口申請、郵送申請、オンライン申請の3つがあります。手続きに不慣れな場合は司法書士に依頼するのが一般的で、報酬額は物件の評価額や手続きの複雑さにより異なりますが、一般的に8万円から15万円程度です。

実家の売却を前提とする場合の相続登記では、売却に支障のない形で登記を完了させることが重要です。相続人が複数いる場合、共有名義で登記するか、代表者単独名義にするかにより、後の売却手続きが大きく変わります。共有名義の場合、売却時には共有者全員の同意が必要となるため、事前に売却方針について合意形成を図っておく必要があります。

遺産分割協議が長期化している場合の救済措置として、「相続人申告登記」という制度が新設されました。これは、自分が相続人であることを申し出る簡易な手続きで、3年以内の登記義務を一時的に免れることができます。ただし、この制度はあくまで暫定的な措置であり、最終的には正式な相続登記を完了させる必要があります。

住所変更登記の義務化も並行して実施されており、不動産所有者が住所や氏名を変更した場合は2年以内に変更登記を行う必要があります。怠った場合は5万円以下の過料が科される可能性があるため、引っ越しや結婚などで住所氏名が変わった場合は速やかに手続きを行います。

60代の終活における相続登記義務化への対応として、親が健康なうちに登記に必要な書類を整理し、相続方針について家族で話し合っておくことが重要です。特に戸籍謄本の収集は時間がかかることがあるため、早めに準備を始めることをお勧めします。

相続登記の義務化は、実家の売却を検討するタイミングにも影響を与えます。登記手続きにかかる時間とコストを考慮すると、売却を前提とする場合は早めに方針を決定し、登記と売却を一体的に進めることが効率的です。

老人ホーム入居と実家処分の最適化

60代の終活において、老人ホームへの入居は実家の売却を検討する重要な転機となります。適切なタイミングで実家を処分することで、入居費用の確保と税制優遇措置の活用を両立できる可能性があります。

老人ホームの種類と費用体系を理解することは、実家の売却戦略を立てる上で不可欠です。介護付有料老人ホームの場合、入居一時金として数百万円から数千万円、月額費用として20万円から40万円程度が必要になります。住宅型有料老人ホームは比較的費用が抑えられ、入居一時金0円から数百万円、月額費用15万円から25万円程度が相場です。

特別養護老人ホームは費用が最も安く抑えられますが、入居待ちが長期化することが多く、すぐには入居できません。サービス付き高齢者向け住宅は自立度の高い方向けで、敷金として家賃の2〜3ヶ月分、月額費用12万円から20万円程度が目安となります。

実家の売却益を入居費用に充てる場合の税制上の注意点として、居住用財産の3,000万円特別控除の適用期限があります。老人ホームに入居して住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を完了しなければ、この特例を利用できなくなります。

例えば2024年4月に入居した場合、2027年12月31日までに売却を完了させる必要があります。この期限を過ぎると、売却益に対して最大20.315%の譲渡所得税が課税される可能性があるため、入居後の売却スケジュールを慎重に計画することが重要です。

認知症の進行リスクも考慮すべき重要な要素です。認知症が進行すると、本人による売却の意思決定や契約締結が困難になります。成年後見制度を利用した売却も可能ですが、家庭裁判所の許可が必要となり、手続きが複雑化し時間もかかります。

実家の売却を決断した場合の実務的な手順として、まず入居前に不動産会社による査定を実施し、概算の売却価格を把握します。入居費用との兼ね合いを考慮して売却価格の目安を設定し、必要に応じて複数の業者に査定を依頼します。

入居後は速やかに家財道具の整理を行います。老人ホームに持参するものを選別し、残りの家具や日用品は処分または親族に譲渡します。買取業者やリサイクル業者を活用することで、処分費用を抑えることも可能です。

売却活動を開始する前に、物件をできる限り魅力的な状態に整えます。ハウスクリーニングの実施、小修繕の対応、庭の手入れなどにより、購入希望者に良い印象を与えることができます。

内覧対応では、老人ホーム入居により急いで売却する必要があることを適度に伝えることで、価格交渉において一定の理解を得られる場合があります。ただし、あまりに急いでいる印象を与えすぎると、安く買い叩かれるリスクもあるため、バランスの取れた対応が重要です。

売却代金の活用計画については、入居一時金の支払い、月額費用の前払い、将来の医療費・介護費用の備え、相続税対策など、総合的な視点で検討します。税理士やファイナンシャルプランナーと相談しながら、最適な資金計画を立てることをお勧めします。

一方で、すぐに売却せずに様子を見るという選択肢もあります。老人ホームでの生活が合わない場合や、健康状態の改善により自宅に戻りたくなる可能性も考慮する必要があります。ただし、空き家として放置する期間が長くなると建物の劣化が進み、売却価格の下落リスクがあります。

また、空き家管理サービスを利用して適切な管理を継続する場合でも、月額費用がかかることを考慮すると、長期的には売却した方が経済的に有利なケースが多いのが実情です。老人ホーム入居後1年程度を目安に、売却または継続保有の最終判断を行うことをお勧めします。

生前整理と老前整理の実践的アプローチ

60代の終活における生前整理と老前整理は、実家の売却空き家対策を成功させる上で極めて重要な基盤作業です。適切な整理を行うことで、家族の負担軽減と財産の有効活用を実現できます。

生前整理と老前整理の時期的な違いを理解することが重要です。老前整理は高齢になる前の50代から60代前半に行う整理で、まだ体力と判断力が十分にある時期に実施します。生前整理は60代後半から70代にかけて行う整理で、より具体的な終末期への準備という側面があります。

物品の整理においては、優先順位を明確に設定することが成功の鍵です。第一段階では、明らかに不要なものから処分します。期限切れの食品、故障した家電、長年使用していない衣類、重複している日用品などから始めることで、作業への抵抗感を軽減できます。

第二段階では、重要書類の整理と一元化を行います。不動産の権利証、保険証券、年金関連書類、医療記録、銀行通帳、印鑑などを一か所にまとめ、家族にその場所を明確に伝えます。重要書類一覧表を作成し、どこに何があるかを明記しておくことで、緊急時の対応がスムーズになります。

第三段階では、思い出の品や価値のある品物の処理を検討します。写真や手紙はデジタル化することでスペースを節約しつつ保存できます。骨董品や美術品については専門家による査定を依頼し、価値があるものは売却や寄贈を検討します。

実家の売却を前提とした生前整理では、売却時に家を完全に空にする必要があることを念頭に置いて進めます。残しておく物品は最小限に絞り、それ以外は計画的に処分していきます。大型家具や家電については、買取業者やリサイクル業者の利用を検討し、処分費用の節約を図ります。

業者選択においては、見積もりの透明性、作業実績、保険加入状況などを比較検討します。遺品整理業者、不用品回収業者、買取専門業者など、目的に応じて適切な業者を選択することが重要です。

デジタル遺産の整理も現代の生前整理において欠かせない要素です。パソコンやスマートフォンに保存されているデータ、クラウドサービスのアカウント、SNSアカウント、ネットバンキングなどのIDとパスワードを整理し、家族と共有できる形で記録しておきます。

金融資産の整理では、使用していない銀行口座の解約、不要な保険の見直し、投資商品の整理などを行います。口座数を減らすことで、相続時の手続きを簡素化できます。また、自動引き落としや自動振込の設定も見直し、必要最小限に整理しておきます。

家族との対話も生前整理の重要な側面です。整理の過程で出てくる思い出の品について、家族それぞれの思いや希望を確認し、形見分けの方針を決めておきます。また、実家の売却空き家管理についても、この機会に家族の意見を聞き、方針を共有しておくことが重要です。

心理的な負担を軽減するため、整理作業は一人で行わず、家族や友人と一緒に進めることをお勧めします。思い出話をしながら作業することで、整理に対する寂しさや不安を和らげることができます。

生前整理の効果を最大化するため、定期的な見直しも必要です。年に1回程度、整理した物品や書類の状況を確認し、必要に応じて追加整理を行います。特に重要書類については、法改正や制度変更により必要性が変わることがあるため、最新の情報に基づく見直しが重要です。

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