死後事務委任契約の公正証書作成|司法書士と行政書士の違いを解説

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死後事務委任契約を公正証書で作成する際、司法書士と行政書士のどちらに依頼すべきか迷う方は少なくありません。結論として、両者の最も大きな違いは「不動産の相続登記に対応できるかどうか」にあります。司法書士は相続登記や裁判所手続きまでワンストップで対応できる一方、行政書士は費用を抑えながら各種届出手続きに対応できるという特徴があります。死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に発生する葬儀の手配や役所への届出、各種契約の解約といった事務手続きを、信頼できる第三者にあらかじめ委任しておく契約のことです。近年では単身世帯の増加や家族関係の変化を背景に、この契約への関心が高まっています。この記事では、死後事務委任契約の基本的な内容から公正証書での作成方法、そして司法書士と行政書士それぞれに依頼した場合の違いや費用の比較まで、詳しく解説していきます。

目次

死後事務委任契約とは何か

死後事務委任契約とは、委任者(本人)が受任者(第三者)に対して、自分の死後に発生するさまざまな事務手続きの処理を委任する契約です。民法上の委任契約の一種に位置づけられ、委任者の死亡後に効力が発生するという特徴を持っています。

通常の委任契約は当事者の一方が死亡すると終了するのが原則ですが、死後事務委任契約では「委任者の死亡によっても契約が終了しない」という特約を設けることで、死後の事務処理を有効に委任することが可能となります。

死後事務委任契約が注目される背景

日本では高齢化と単身世帯の増加が進んでおり、いわゆる「おひとりさま」と呼ばれる方が増えています。未婚や離婚、配偶者との死別、子どもがいないなど、さまざまな事情から死後の事務を任せられる身寄りがない方が多くなっている状況です。

従来は死後の手続きを家族が担うのが一般的でしたが、頼れる家族がいない場合には、葬儀の手配や役所への届出、賃貸住宅の明け渡しを誰が行うのかという深刻な問題が生じます。こうした課題への備えとして、死後事務委任契約の需要が年々高まっています。

また、家族がいる場合であっても、遠方に住んでいて迅速な対応が難しいケースや、高齢の配偶者に負担をかけたくないケース、自分の死後の手続きについて明確な希望を持っているケースなどでも、死後事務委任契約は有効な手段となっています。

死後事務委任契約で委任できる内容と委任できないこと

死後事務委任契約で委任できる事務は多岐にわたります。まず、親族や友人、関係者への死亡連絡と通知があります。訃報の送付やSNS等での告知もこれに含まれます。次に、遺体の引き取りから葬儀社への連絡、葬儀の方式(家族葬、一般葬、直葬など)の決定と実施、火葬許可の申請、納骨や永代供養の手配、墓地の管理に関する手続きなども委任の対象です。

行政手続きとしては、死亡届の提出(死亡の事実を知った日から7日以内)や住民票の抹消手続き、健康保険証や介護保険証の返還、年金の受給停止手続き、運転免許証の返納、マイナンバーカードの返却なども含まれます。

日常生活に関連する事務としては、電気・ガス・水道などライフラインの解約、電話やインターネット回線の解約、クレジットカードの解約、各種サブスクリプションサービスの解約、賃貸住宅の明け渡し手続きと敷金の精算なども委任できます。入院費や医療費の精算、介護施設利用料の精算、葬儀費用の支払いといった費用面の処理も対象です。

近年重要性が増しているのが、デジタル関連の事務です。パソコンやスマートフォン内の個人データの消去、SNSアカウント(Facebook、X、Instagramなど)の削除や追悼アカウントへの切り替え、メールアカウントの閉鎖、各種オンラインサービスのアカウント削除なども委任することができます。ペットを飼育している方は、事前に定めた引き取り先へペットを引き渡す手続きや飼育費用の処理も委任可能です。遺品の整理と処分、賃貸物件の原状回復と明け渡し、不用品の廃棄手続きも対象となります。

一方で、死後事務委任契約では対応できない事項もあります。相続に関する手続き、具体的には遺産分割や預貯金の解約、不動産の名義変更などは死後事務委任契約の範囲外であり、遺言書で定めるべき事項です。また、子の認知や養子縁組といった身分関係に関する行為も委任できません。さらに、生前の療養看護や財産管理は任意後見契約や見守り契約で対応すべき事項となっています。

死後事務委任契約を公正証書で作成するメリットと手順

死後事務委任契約を公正証書で作成することには、大きなメリットがあります。公正証書とは、法務大臣から任命された公証人が作成する公文書のことで、通常は裁判官や検察官、弁護士などの経験者が公証人に就任しています。公証人が作成する文書は公文書としての強い証拠力を持ち、法的な信頼性が極めて高いのが特徴です。

公正証書で作成する4つのメリット

死後事務委任契約は法律上、口頭や私文書(当事者同士で作成する契約書)でも有効に成立します。しかし、以下の理由から公正証書での作成が強く推奨されています。

第一のメリットは、高い証拠力です。公正証書は公文書であるため、私文書と比較して裁判上の証拠力が格段に高くなります。死後に「そのような契約はなかった」「内容が違う」といった争いが生じた場合にも、公正証書があれば有力な証拠として機能します。

第二のメリットは、改ざんと紛失の防止です。公正証書の原本は公証役場に保管されるため、契約書が改ざんされたり紛失したりするリスクがありません。死後事務委任契約は契約から実際の執行までに長期間が経過することがあるため、この安全性は非常に重要です。万が一、手元の正本や謄本を紛失しても、公証役場に申請すれば再発行を受けることができます。

第三のメリットは、第三者への対抗力です。受任者が死後事務を遂行する際に、公正証書による契約書を提示することで、行政機関や民間企業、親族などに対して自身の権限を証明しやすくなります。私文書の場合は相手方が契約の有効性に疑問を呈するケースがありますが、公正証書であればそうしたトラブルを避けやすいという利点があります。

第四のメリットは、公証人による内容確認です。作成にあたって公証人が契約内容の適法性を確認するため、法的に問題のある条項が含まれるリスクが低減されます。これにより、死後に契約の有効性が争われる可能性が低くなります。

公正証書の作成手順

死後事務委任契約を公正証書で作成する流れをご紹介します。

まず、死後にどのような事務手続きを委任したいかを具体的に検討します。葬儀の方式や納骨の方法、解約すべき契約の一覧、連絡すべき人のリストなど、できるだけ詳細に整理しておくことが大切です。

次に、委任する事務を実際に遂行してくれる受任者を決定します。受任者は信頼できる友人や知人のほか、司法書士や行政書士などの専門家、死後事務を専門に取り扱う法人(一般社団法人など)から選ぶことができます。

委任内容と受任者が決まったら、契約書の案を作成します。専門家に依頼している場合は、専門家が契約書案を作成するのが一般的です。その後、最寄りの公証役場に連絡して相談・予約を行い、公証人が契約内容を確認のうえ必要書類の案内をしてくれます。

必要書類としては、委任者および受任者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)、印鑑登録証明書(発行から3か月以内のもの)、実印が必要となり、場合によっては戸籍謄本も求められます。

公証役場では、委任者と受任者が公証人の面前で契約内容を確認し、公証人による読み上げの後、双方が内容に間違いがないことを確認したうえで署名・押印します。これにより公正証書が完成します。

公正証書の作成費用

公正証書の作成にかかる費用は、公証人手数料として1万1,000円です。これは法律で定められた全国一律の手数料となっています。加えて、正本・謄本の交付手数料として約3,000円程度が枚数に応じてかかります。なお、専門家に契約書案の作成から依頼する場合は、別途専門家への報酬が発生します。

司法書士と行政書士の基本的な違い

死後事務委任契約の作成を専門家に依頼する際、主な選択肢となるのが司法書士と行政書士です。両者の基本的な違いを理解することが、適切な依頼先の選択につながります。

司法書士の業務範囲

司法書士は、司法書士法に基づく国家資格者です。主な業務として、不動産の売買・贈与・相続に伴う所有権移転登記や、抵当権の設定・抹消登記、会社の設立登記や役員変更登記といった登記手続きを専門としています。不動産登記の申請を代理で行えるのは弁護士と司法書士のみであり、行政書士にはこの権限がありません。

また、相続放棄の申述書や成年後見の申立書、遺言検認の申立書など、家庭裁判所をはじめとする裁判所に提出する書類の作成も司法書士の業務範囲に含まれます。法務局に対する供託手続きの代理も行います。さらに、法務大臣の認定を受けた認定司法書士は、訴額140万円以下の簡易裁判所における民事訴訟の代理を行うことも可能です。

行政書士の業務範囲

行政書士は、行政書士法に基づく国家資格者です。主な業務は、役所(官公署)に提出する各種許認可申請書類の作成であり、建設業許可や飲食店営業許可、産業廃棄物処理業許可、在留資格(ビザ)申請など多岐にわたります。

また、契約書や示談書、内容証明郵便、遺産分割協議書など、権利義務に関する書類の作成も行政書士の業務範囲です。死後事務委任契約書の作成もこの範囲に該当します。会計帳簿や財務諸表、議事録など事実を証明するための書類の作成も行っています。

業務範囲の比較

両者の違いをわかりやすく整理すると、以下の表のようになります。

比較項目司法書士行政書士
専門分野登記手続き許認可申請
不動産の相続登記対応可能対応不可
裁判所提出書類の作成対応可能対応不可
死後事務委任契約書の作成対応可能対応可能
各種届出書類の作成通常行わない対応可能
訴訟代理(140万円以下)認定司法書士のみ可能対応不可

司法書士と行政書士の最も大きな違いは、「登記」と「許認可申請」という専門分野の違いにあります。相続の場面で特に重要となるのが不動産の相続登記です。相続財産に不動産が含まれる場合、その名義変更(相続登記)は司法書士または弁護士でなければ代理で行うことができません。行政書士がこの業務を行うことは法律で禁じられており、違反した場合には刑事罰が科されます。

一方で、自動車の名義変更や各種届出書類の作成は行政書士の専門分野であり、司法書士は通常これらの業務を行いません。このように、同じ「書士」という名称がつく資格であっても、その業務範囲は明確に異なっています。

死後事務委任契約における司法書士と行政書士の違い

契約書作成段階での違い

死後事務委任契約書の作成自体は、司法書士と行政書士のどちらにも依頼することができます。契約書は権利義務に関する書類に該当するため行政書士の業務範囲に含まれ、司法書士も法律文書の作成を業務として行っています。したがって、契約書の作成段階においては、司法書士と行政書士の間に法的な差異はないといえます。

受任者として就任する場合の違い

死後事務委任契約の受任者(実際に死後事務を遂行する人)として専門家が就任する場合には、実務上の大きな違いが生じます。

司法書士が受任者となる場合は、死後事務の遂行過程で不動産の相続登記が必要になった際にワンストップで対応できるため、手続きがスムーズに進みます。相続放棄の申述や遺言の検認など、家庭裁判所への手続きが必要になった場合にも書類作成を通じて対応できます。加えて、判断能力が低下した際の任意後見契約と死後事務委任契約を同じ司法書士に依頼することで、生前から死後まで一貫したサポートを受けられるという強みもあります。司法書士は成年後見業務に積極的に取り組んでいる専門家が多いことも特徴です。

行政書士が受任者となる場合は、一般的に報酬が司法書士や弁護士と比較して低い傾向にあるため、費用を抑えたい方にとってメリットがあります。行政書士は「街の法律家」とも呼ばれ、市民にとって敷居が低い存在であるため、初めて終活に取り組む方にとって気軽に相談しやすいという利点もあります。また、死後に必要な行政機関への届出や各種サービスの解約手続きは行政書士の得意分野であり、行政手続き全般に精通しているため幅広い届出業務に対応できます。

受任者となる場合のメリット比較

比較項目司法書士行政書士
相続登記への対応ワンストップで対応可能別途司法書士への依頼が必要
裁判所手続きへの対応書類作成で対応可能対応不可
任意後見との連携生前から死後まで一貫対応限定的
各種届出手続き通常行わない得意分野として対応
費用比較的高い比較的低い
相談のしやすさ専門性が高い敷居が低い

行政書士に依頼する場合の注意点

行政書士に死後事務委任契約の受任者になってもらう場合、いくつかの注意点があります。まず、相続財産に不動産が含まれる場合、行政書士だけでは相続登記の手続きを完結することができず、別途司法書士に登記を依頼する必要があるため、手続きが二度手間になる可能性があります。また、相続放棄や遺言の検認申立てなど裁判所に書類を提出する必要がある場合にも行政書士には対応できないため、これらの手続きが見込まれる場合には司法書士または弁護士への依頼が必要です。さらに、相続人間で争いが生じた場合の調整や交渉は行政書士の業務範囲外であり、紛争が予想される場合には弁護士への依頼を検討すべきです。

司法書士に依頼する場合の注意点

司法書士に依頼する場合にも考慮すべき点があります。故人が事業を営んでおり許認可の廃止届出が必要な場合などは行政書士の専門分野となりますが、死後事務委任契約において許認可の問題が生じるケースは限定的です。費用面では行政書士と比較して高い傾向にあるものの、登記手続きまでを含めたトータルの費用で比較すると、司法書士に一括して依頼したほうが割安になるケースもあります。また、認定司法書士であっても140万円以下の紛争にしか対応できないため、大規模な相続紛争が予想される場合には弁護士への依頼を検討すべきです。

死後事務委任契約の費用を司法書士と行政書士で比較

死後事務委任契約に関する費用の相場は以下のとおりです。

費用項目司法書士行政書士
契約書作成費用10万円〜30万円程度5万円〜20万円程度
死後事務の執行報酬30万円〜100万円程度30万円〜100万円程度
公正証書作成手数料1万1,000円(全国一律)1万1,000円(全国一律)

このほか、預託金として葬儀・納骨費用に50万円〜150万円程度、その他の実費として10万円〜30万円程度が必要となります。契約書作成費用については司法書士のほうが高い傾向にありますが、死後事務の執行報酬についてはどちらも同程度の相場となっています。費用は事務所によって大きく異なるため、複数の事務所に見積もりを依頼して比較することが重要です。

死後事務委任契約と遺言書・任意後見契約との関係

遺言書との違いと併用の重要性

死後事務委任契約と遺言書はいずれも死後に効力を発揮するものですが、その目的と範囲は異なります。遺言書は主に財産の承継、つまり誰にどの財産を渡すかを定めるものです。遺言で法的効力を持つ事項は法律で定められており、相続分の指定や遺贈、遺産分割方法の指定、子の認知、後見人の指定などに限られます。

一方、死後事務委任契約は財産の承継以外の事務手続き、具体的には葬儀の手配や届出、各種契約の解約などを委任するものです。このように両者はカバーする範囲が異なるため、併用することが推奨されています。遺言書で財産の承継を定め、死後事務委任契約で葬儀や各種手続きの委任を定めることで、死後に必要な対応を漏れなくカバーすることができます。

ただし、遺言書と死後事務委任契約の内容が矛盾しないように注意が必要です。特に、どの財産から死後事務の費用を支出するかについては、遺言書の内容と整合性をとっておくことが大切です。

任意後見契約との違いと併用

任意後見契約は、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ信頼できる人に財産管理や身上監護を委任する契約です。任意後見契約は本人が生きている間に効力を発揮し、本人の死亡によって終了するため、死後の事務を委任することはできません。生前の支援は任意後見契約で、死後の事務は死後事務委任契約でカバーするという使い分けが必要です。

理想的な終活としては、任意後見契約(判断能力低下後の生活支援と財産管理)、遺言書(財産の承継方法の指定)、死後事務委任契約(死後の各種事務手続きの委任)の3つを組み合わせることが推奨されています。これらを同じ専門家に相談し、一貫した計画として作成することで、生前から死後までの切れ目のないサポートを実現できます。

死後事務委任契約の注意点とトラブル防止策

預託金をめぐるトラブルに注意

死後事務委任契約を締結する際には、死後事務の執行に必要な費用をあらかじめ預ける「預託金」方式が多く採用されていますが、この預託金をめぐるトラブルが少なくありません。契約を解約しようとした際に預託金が全額返還されないケースや、受任者が預託金を不適切に使い込んでしまうケース、契約先の法人が倒産して預託金が返還されなくなるケースなどが報告されています。実際に、2,000人以上の方が契約していた事業者が倒産し、預託金が戻らなくなったという事例も発生しています。

契約から執行までの長期間に伴うリスク

死後事務委任契約は、契約締結から実際の執行まで10年、20年、あるいはそれ以上の長期間が経過することがあります。この間に受任者が先に亡くなったり、受任者である法人が解散したりする可能性があります。また、契約時に指定した葬儀社が廃業していたり、連絡先として記載した人が先に亡くなっていたりと、時間の経過に伴う状況変化も起こりえます。

相続人や金融機関とのトラブル

委任者に相続人がいる場合、死後事務委任契約の内容をめぐって相続人との間でトラブルが生じることがあります。受任者が契約に基づいて遺品を処分した際に、相続人から「勝手に処分された」と抗議されるケースや、死後事務の費用を遺産から支出することで相続人の取り分が減り紛争の原因になることもあります。

さらに、多くの金融機関は死後事務委任契約の受任者に対して預金の払い戻しや口座の解約を認めない傾向にあります。成年後見人のように家庭裁判所の審判に基づく公的な地位とは異なり、死後事務委任契約は当事者間の私的な合意にすぎないと考えられることがあるためです。このため、死後事務の費用を確保するには預託金方式を採用するか、遺言書で別途手当てしておく必要があります。

トラブルを防ぐための7つのポイント

トラブルを防ぐためには、まず死後事務委任契約書を必ず公正証書で作成し、法的な信頼性を確保することが重要です。契約内容については曖昧な表現を避け、委任する事務の内容や費用の支出方法、報酬の額などを具体的に記載します。

預託金の管理方法については、信託口座での分別管理が行われるかどうかを事前に確認し、万が一の場合の返還条件も明確にしておくことが大切です。状況の変化に応じて契約内容を定期的に見直すことや、相続人がいる場合には死後事務委任契約の存在を事前に伝えておくことも、トラブル防止に有効です。

遺言書と併用して財産面と事務手続き面の両方をカバーすることも欠かせません。受任者の選定にあたっては、実績のある専門家や法人を選び、複数の事務所を比較検討したうえで信頼できると判断できる先に依頼することが重要なポイントです。

死後事務委任契約の依頼先の選び方

不動産を所有している場合は司法書士がおすすめ

相続財産に不動産が含まれている場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。死後事務委任契約の作成に加えて、遺言書の作成、さらには相続発生後の相続登記までを一貫して対応してもらうことができます。2024年4月に相続登記が義務化されましたので、不動産を相続した場合には必ず登記を行わなければなりません。この点でも、司法書士に依頼するメリットは大きいといえます。

不動産を所有していない場合は行政書士も選択肢

相続財産に不動産が含まれていない場合は、行政書士に依頼するのも合理的な選択です。死後事務委任契約書の作成や各種届出手続きの対応は行政書士の専門分野であり、費用を抑えられる可能性があります。ただし、将来的に不動産を取得する可能性がある場合や相続紛争が予想される場合には、最初から司法書士や弁護士に依頼しておいたほうが安心です。

任意後見契約も検討している場合は司法書士が最適

死後事務委任契約だけでなく任意後見契約も併せて検討している場合は、司法書士への依頼が適しています。司法書士は成年後見業務に積極的に取り組んでいる専門家が多く、任意後見契約と死後事務委任契約を組み合わせた包括的なプランを提案してもらえることが期待できます。

費用を重視する場合の選び方

費用をできるだけ抑えたい場合は、行政書士への依頼を検討するとよいでしょう。一般的に行政書士の報酬は司法書士よりも低い傾向にあります。ただし、安さだけで選ぶのではなく、実績や信頼性を十分に確認したうえで判断することが大切です。

弁護士への依頼を検討すべきケース

相続人間で紛争が予想される場合、多額の遺産がある場合、複雑な法律問題が絡む場合、海外資産がある場合などは、弁護士への依頼も検討すべきです。弁護士は紛争解決の専門家であり、万が一トラブルが発生した場合にも法的に対応できる点が強みですが、費用は司法書士や行政書士と比較して高額になる傾向があります。

まとめ

死後事務委任契約は、自分の死後に発生するさまざまな事務手続きを信頼できる第三者に委任するための契約であり、特に身寄りのない方や死後の手続きについて明確な希望を持つ方にとって重要な終活手段です。この契約を公正証書で作成することで、高い証拠力の確保、改ざんや紛失リスクの排除、第三者に対する対抗力の強化が実現されます。費用は公証人手数料として1万1,000円程度であり、契約の重要性を考えれば十分に合理的な出費といえます。

依頼先として司法書士と行政書士のどちらを選ぶかは、不動産の有無が大きな判断基準となります。不動産を所有している場合や任意後見契約との併用を考えている場合は司法書士が適しており、費用を抑えたい場合や行政手続きが中心の場合は行政書士が適しています。

いずれの専門家に依頼する場合でも、契約内容を十分に理解し、預託金の管理方法や解約条件を確認し、定期的に契約内容を見直すことがトラブル防止に不可欠です。終活は自分らしい最期を迎えるための前向きな準備です。死後事務委任契約を活用することで、残された方々への負担を軽減し、自分の意思を確実に実現する道を開くことができます。まずは信頼できる専門家への相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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