遺言書の書き直しは何回でも可能!回数制限なしの手続き方法を詳しく解説

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人生の最期に向けて大切な財産をどのように分配するかを決める遺言書は、一度作成したら変更できないものではありません。実際に、多くの方が「遺言書を書き直すことはできるのだろうか」「何回まで書き直せるのか」「書き直しの手続きはどうすればよいのか」といった疑問を抱えています。特に家族構成の変化や財産状況の変動、そして自身の気持ちの変化などにより、当初作成した遺言書の内容を見直したいと考える場面は決して珍しくありません。結論から申し上げると、遺言書の書き直しに回数制限はありません。遺言者が生存している限り、いつでも何度でも自由に遺言書を変更することが可能です。これは民法上の基本原則として確立されており、遺言者の最終的な意思を最大限尊重するための制度設計となっています。本記事では、遺言書の書き直しに関する基本的な知識から具体的な手続き方法、注意すべきポイントまで、実務的な観点から詳しく解説いたします。2024年に施行された相続登記義務化や2025年に予定されているデジタル遺言制度など、最新の法制度変化についても併せてご紹介します。

目次

遺言書の書き直しに関する基本原則

遺言書の書き直しについて、最も重要な点は回数制限が一切ないということです。遺言者が生存している間は、いつでも何度でも自由に遺言書を書き直すことができます。これは民法上の基本原則として定められており、遺言者の意思を最大限尊重するための制度設計となっています。

遺言の撤回や変更は、遺言者本人のみが行うことができ、他の人が代理で行うことはできません。相続人や家族であっても、遺言者の意思に反して遺言書を撤回することは法的に不可能です。この原則により、遺言者の真の意思が確実に保護されています。

遺言書の書き直しが必要となる主な状況には、相続人の死亡や出生による家族構成の変化、財産状況の大幅な変更、遺言者の意思の変化、法制度の変更、相続人との関係性の変化などがあります。これらの変化に応じて適切に遺言書を見直すことで、遺言者の最終的な意思を確実に反映させることができます。

日本における遺言書の種類と特徴

日本の法制度では、主に3つの遺言書の形式が認められています。それぞれに特徴があり、書き直しの方法も異なります。

自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自分の手で書き、押印をする遺言書です。平成31年(2019年)1月13日以降、財産目録についてはパソコンでの作成や代筆が可能となり、利便性が向上しました。最も手軽に作成できる反面、方式不備により無効となるリスクもあります。

公正証書遺言は、公証役場で証人2人以上の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に述べ、公証人が筆記により作成する遺言書です。遺言書の原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。確実性と信頼性が高い一方で、費用がかかり、証人の確保も必要となります。

秘密証書遺言は、遺言の存在は公証しつつも、内容を秘密にできる遺言書です。自筆である必要がなく、パソコンでの作成や第三者による代筆も可能です。ただし、利用頻度は他の形式と比較して低く、手続きが複雑である点が特徴です。

遺言書の書き直し・撤回の具体的方法

基本的な撤回原則

遺言の撤回は、必ず新たな遺言の形式で行う必要があります。撤回を行う遺言書の形式に制限はなく、例えば公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能です。重要なのは、新しく作成する遺言書が適式な方式に従って作成されることです。

すべての形式の遺言書は作成方法によって優劣はなく、最も新しい日付の遺言書が優先される仕組みとなっています。これにより、遺言者の最終的な意思が確実に反映されます。

自筆証書遺言の撤回方法

手元に保管している自筆証書遺言の場合、遺言書を物理的に破棄することで撤回となります。遺言者が「これを遺言書である」と認識して破棄する意思で破棄した場合、破棄した部分について遺言が撤回されたものとみなされます。

法務局の遺言書保管制度を利用している場合は、撤回書を作成して法務局に提出し、撤回の予約を行います。ただし、法務局での保管撤回は保管契約の撤回であり、遺言書自体の撤回ではありません。そのため、手元に戻ってきた遺言書を破棄し、新たな遺言書で以前の遺言内容を撤回する旨を明記する必要があります。

公正証書遺言の撤回方法

公正証書遺言の場合、原本が公証役場に保管されているため、手元の正本や謄本を破棄しても撤回したことにはなりません。撤回には正式な手続きが必要です。

撤回の方法は二つあります。一つは新たに遺言書を作成し、「前の遺言を全部撤回する」という内容の条項を記載する方法です。もう一つは、前の遺言書と内容が矛盾する新しい遺言書を作成する方法で、この場合は矛盾する部分について自動的に前の遺言が撤回されます。

撤回時の重要な注意点

公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回する場合、自筆証書遺言の作成上の不備により撤回遺言自体が無効となるリスクがあります。このため、撤回についても公正証書遺言で行うことが推奨されます。

また、一度撤回した遺言書を復活させることは原則として不可能である点も重要な注意事項です。撤回は慎重に検討して実行する必要があります。

法務局遺言書保管制度の活用

制度の概要と意義

2020年7月10日から開始された法務局の遺言書保管制度は、全国312か所の法務局で利用可能です。自筆証書遺言の保管サービスを提供し、遺言書の紛失や改ざんを防ぐとともに、相続手続きの円滑化を図っています。

保管された遺言書は、原本が遺言者死亡後50年間、画像データが遺言者死亡後150年間適正に管理されます。保管時には法務局職員が民法で定める自筆証書遺言の方式について外形的な確認を行うため、方式不備による無効リスクを軽減できます。

保管制度における書き直し手続き

法務局に保管している遺言書を書き直す場合、まず撤回書を作成して保管撤回の手続きを行います。その後、手元に戻った遺言書を破棄し、新しい遺言書を作成します。新しい遺言書には、以前の遺言書を撤回する旨を明記することが重要です。

保管手数料は3,900円で、一度保管されると遺言者の死亡まで継続して保管され、更新手続きや追加費用は不要です。保管中の遺言書は、遺言者本人であれば閲覧や写しの交付を請求でき、閲覧の手数料は1,400円、写しの交付は1,400円となっています。

2024年以降の法制度変化

相続登記の義務化

令和6年(2024年)4月1日から相続登記の申請が義務化されました。相続により不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。この変更により、遺言書の役割と重要性が一層高まっています。

相続登記義務化に伴い、遺言書の有効性に関する紛争の早期解決がより重要になりました。不動産を取得する相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があるため、遺言書の迅速な発見と確認が不可欠です。

デジタル遺言制度の検討

公正証書遺言については、令和5年(2023年)6月の公証人法や民法等の一部改正により、令和7年(2025年)中にデジタル化が開始される予定です。これにより、デジタル技術を活用した遺言作成が可能となります。

自筆証書遺言のデジタル化についても、法務省において法制審議会民法(遺言関係)部会が設置され、令和6年4月16日の第1回会議以降、積極的な検討が進められています。パソコンでの遺言書作成や映像など文書以外の方式での作成についても検討対象とされています。

ただし、2025年4月現在、遺言書は自筆で書かれたものまたは公証役場で作成されたもののみが法的拘束力を持つため、デジタル遺言には法的効力がありません。

遺言書の訂正・加除・変更の法的規定

民法968条3項の厳格な規定

自筆証書遺言の訂正・加除・変更については、民法968条3項で厳格に規定されています。同条項によれば、「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない」とされています。

法定された訂正方式は以下の要件をすべて満たす必要があります。場所の指示では変更箇所を明確に指示し、変更した旨の付記では「○字削除○字加入」など具体的に記載します。さらに遺言者本人が署名し、変更箇所に遺言書の署名押印と同じ印章を使用して押印することが求められます。

明らかな誤記に関する判例法理

最高裁判例では、明らかな誤記の訂正については、民法968条3項の方式違備があっても遺言の効力に影響しないとの重要な判断が示されています。具体的には、「証書の記載自体からみて明らかな誤記の訂正については、たとえ同項所定の方式の違備があっても遺言者の意思を確認するについて支障がないものであるから、右の方式違備は、遺言の効力に影響を及ぼすものではない」とされています。

この判例法理により、明白な誤字脱字の訂正など、遺言者の真意に疑いがない場合は、多少の方式違備があっても遺言全体の効力は維持されることになります。

不適切な訂正の効果

民法968条3項の方式に従わない訂正加除は無効となりますが、遺言書自体は無効になりません。訂正前の元の文言が判読可能であれば、その部分を含めて有効な遺言として扱われます。ただし、訂正部分については効力が生じないため、意図した変更は実現されません。

遺言書の部分的変更と全面改訂の選択

部分的変更のメリット・デメリット

遺言書の一部のみを変更したい場合、訂正加除による部分的変更と新たな遺言書作成による全面改訂の選択肢があります。

部分的変更のメリットには、手続きが比較的簡単であること、変更範囲が明確であること、既存の条項への影響を最小限に抑制できることがあります。一方、デメリットとしては、厳格な方式要件の遵守が必要であること、方式違備により変更部分が無効となるリスクがあること、複雑な変更には不向きであることが挙げられます。

全面改訂の考慮事項

大幅な変更や複数箇所の変更が必要な場合は、全面的な新しい遺言書の作成が推奨されます。新しい遺言書には「令和○年○月○日付遺言書を全部撤回する」旨を明記することで、前の遺言書を完全に無効化できます。

変更方法の選択指針として、軽微な修正の場合は部分的変更を検討し、重要な条項の変更や複数箇所の変更の場合は全面改訂が安全です。不明確な変更については専門家への相談が必要となります。

公証人関与による遺言書変更の実務

公証人との相談プロセス

公正証書遺言の変更を検討する際は、まず公証人との相談が重要です。公証人は遺言者の意思を正確に把握し、法的に有効な遺言書の作成をサポートします。変更の必要性、範囲、方法について詳細な検討を行います。

証人の確保と役割

公正証書遺言の作成・変更には証人2人以上の立会いが必要です。証人には欠格事由があり、未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人は証人になることができません。

費用と手続き期間

公正証書遺言の作成・変更には公証人手数料が必要です。手数料は遺言書に記載する財産の価額により決定され、通常数万円から十数万円程度となります。手続き期間は内容の複雑さにより異なりますが、一般的に1~2週間程度を要します。

遺言執行者の指定と変更

遺言執行者の重要性

遺言書の書き直し時には、遺言執行者の指定についても検討が重要です。遺言執行者は遺言内容の実現を担う重要な役割を果たし、適切な人選により円滑な相続手続きが可能となります。

遺言執行者の変更

既存の遺言書で指定した遺言執行者を変更したい場合、新しい遺言書で別の遺言執行者を指定することで変更可能です。この場合、前の遺言執行者指定は自動的に撤回されます。

複雑な遺言内容の場合、複数の遺言執行者を指定することも可能です。この場合、各執行者の権限範囲を明確に定めることが重要です。

遺言書の無効と相続紛争の実務

遺言書が無効となる主要なケース

遺言書の有効性が争われる主要な原因には、遺言能力の欠如、方式違備、偽造・変造、強制・詐欺・脅迫があります。

遺言能力の欠如では、遺言者が認知症などにより、遺言内容やその効力を理解できる能力を欠いていた場合が問題となります。ただし、認知症=遺言能力無しではなく、進行状況によっては医師の立会いのもと作成することで有効な遺言書になる可能性があります。

方式違備は自筆証書遺言の場合、全文自書、日付記載、署名押印などの法定要件を満たしていない場合に生じます。偽造・変造は遺言者以外の者による偽造や、遺言者の死後の改ざんがあった場合、強制・詐欺・脅迫は遺言者の自由な意思に基づかない遺言作成がなされた場合に問題となります。

相続紛争の典型的なパターン

相続人間で争いになるきっかけとして、生前に前哨戦としての親の身柄の奪い合いがあった場合、遺言書に自身の相続分の記載がない場合、特定の相続人に有利な内容の遺言であった場合などが報告されています。これらの状況では、対立が表面化し、遺言書の有効性を争う紛争に発展することが多くなります。

無効を争う法的手続き

遺言書の無効を争う方法には、遺産分割協議による解決、調停手続き、訴訟手続きがあります。相続人全員が合意すれば、遺言書とは異なる方法や割合による遺産分割協議を成立させることができます。当事者の話し合いによる解決が困難な場合、家庭裁判所において遺言書無効確認調停を申し立てることができ、調停が成立しない場合は地方裁判所に遺言無効確認訴訟を提起することができます。

遺言書作成時のリスク回避策

遺言能力の証明

高齢者が遺言書を作成する際は、医師の診断書や意見書の取得、遺言作成時の録音・録画、証人や立会人の確保、定期的な能力評価の実施などの対策が重要です。

方式違備の防止

自筆証書遺言作成時は、全文を遺言者本人が自筆で記載し、正確な日付の記載(年月日まで特定)、遺言者本人の署名と押印、訂正時の適切な方式の遵守が必要です。

公正証書遺言の活用

確実性を重視する場合は、公証人による適法性の確認、証人2人以上の立会い、公証役場での原本保管、遺言者の意思確認の徹底が推奨されます。

遺言書作成の費用と税務上の考慮事項

自筆証書遺言の作成費用

自筆証書遺言は基本的に無料で作成できます。必要な費用は用紙代(数十円程度)、筆記用具(数百円程度)、印鑑代(既存の印鑑を使用する場合は不要)程度です。

法務局の遺言書保管制度を利用する場合、保管申請手数料3,900円、閲覧手数料1,400円(必要に応じて)、写しの交付手数料1,400円(必要に応じて)が必要となります。

公正証書遺言の作成費用

公正証書遺言の作成には公証人手数料が必要です。手数料は相続財産の金額によって決定され、100万円以下5,000円、200万円以下7,000円、500万円以下11,000円、1,000万円以下17,000円、3,000万円以下23,000円、5,000万円以下29,000円、1億円以下43,000円となっています。

相続財産の総額が1億円未満の場合は11,000円の遺言加算があります。具体例として、相続財産が8,000万円で、妻に4,000万円、2人の子どもにそれぞれ2,000万円ずつ相続させる場合、29,000円(妻分)+23,000円(長男分)+23,000円(長女分)+11,000円(1億円未満のため加算)=86,000円となります。

専門家への依頼費用

遺言書作成を専門家に依頼する場合の費用相場は、行政書士5万~10万円、司法書士10万~20万円、弁護士15万~30万円、税理士10万~25万円となっています。公正証書遺言の作成を専門家に依頼する場合、一般的に30万円程度の費用がかかります。

相続税との関連

遺言書の内容は相続税の課税に直接影響します。配偶者・1親等の血族以外の人(息子の妻、孫など)が遺言により遺産を受け継ぐ場合、相続税が通常の2割増しで課税されます。被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行う必要があります。

遺言書作成時の実践的注意事項

自筆証書遺言作成の具体的注意点

有効な自筆証書遺言を作成するためには、日付の正確な記載(「令和6年3月15日」「2024年3月15日」など年月日を特定できる形で記載)、戸籍上の氏名をフルネームで正確に記載、印鑑が不明瞭にならないようしっかりと押印、遺言者本人が手書きで作成(財産目録を除く)、用紙・筆記具に特に制限はないが長期保存に適したものを使用することが重要です。

よくある無効事例

実務上よく見られる無効となる遺言書の特徴には、日付の記載漏れ(「令和6年3月吉日」など不特定な記載)、署名の不備(苗字のみ、名前のみの記載)、押印の不備(印影が不明瞭、押印漏れ)、他人による代筆(一部でも代筆があると無効)、訂正方式の不備(民法968条3項の要件未充足)があります。

書き直し時の実務的配慮

遺言書を書き直す際の実務上のポイントとして、前遺言の明確な撤回(「令和○年○月○日付遺言書を全部撤回する」旨を明記)、相続人への配慮(書き直しの理由や経緯について可能な範囲で説明)、保管方法の統一(新旧遺言書の保管場所を整理し、混乱を防止)、関係者への通知(必要に応じて遺言執行者や信頼できる相続人に書き直しを通知)が重要です。

遺言書の定期的見直し指針

遺言書の定期的な見直しが推奨される状況には、家族構成の変化(結婚、離婚、出産、死亡など)、財産状況の大幅な変動、法制度の変更、遺言者の意思の変化、相続人との関係性の変化があります。一般的には3~5年ごとの見直しが推奨されますが、上記の状況が生じた場合は随時見直しを行うことが重要です。

遺言書の保管と紛失対策

従来の保管方法の問題点

遺言書を自宅などで保管する場合、紛失・盗難のリスク、偽造・改ざんのリスク、相続発生時に発見されないリスク、自然災害による消失のリスク、相続人による隠匿のリスクがあります。これらの問題を解決するため、法務局の遺言書保管制度が導入されました。

法務局遺言書保管制度の詳細

法務局の自筆証書遺言書保管制度は、全国312か所の法務局(遺言書保管所)で取り扱っています。この制度の主要な特徴は、原本保管(遺言書の原本を法務局で安全に保管)、画像データ保管(デジタル化による長期保存)、改ざん防止(法務局での厳格な管理により偽造・改ざんを防止)、検認不要(家庭裁判所での検認手続きが不要)、形式チェック(法務局職員による外形的な適法性確認)です。

家族への通知制度

法務局の遺言書保管制度では、2種類の通知システムが用意されています。関係遺言書保管通知では、遺言者死亡後、関係相続人等が遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けた際、その他すべての関係相続人等に対して遺言書が保管されていることを通知します。指定者通知(死亡時通知)では、戸籍担当部局と連携して遺言書保管官が遺言者の死亡事実を確認した場合、あらかじめ遺言者が指定した方(最大3名まで指定可能)に対して遺言書が保管されている旨を通知します。

保管期間と管理

法務局での遺言書保管期間は、原本が遺言者死亡後50年間、画像データが遺言者死亡後150年間となっています。この長期間の保管により、将来の相続手続きに必要な期間を十分にカバーしています。

今後の法制度展望

デジタル遺言の導入予定

令和7年(2025年)中に公正証書遺言のデジタル化が開始される予定であり、これにより遺言書作成の利便性向上が期待されます。同時に、自筆証書遺言のデジタル化についても法制審議会で継続的な検討が行われています。

相続手続きの電子化

相続登記義務化に併せて、各種相続手続きの電子化が進展しており、遺言書の書き直しや撤回手続きについても将来的にデジタル化される可能性があります。

国際化への対応

グローバル化の進展に伴い、国際相続における遺言書の取扱いについても制度整備が検討されており、外国人の遺言書や海外財産に関する規定の見直しが予想されます。

まとめ

遺言書の書き直しは回数制限なく何度でも可能であり、遺言者の最終的な意思を確実に反映するための重要な制度です。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のそれぞれに特徴があり、撤回方法も異なりますが、いずれも適切な手続きを踏むことで確実に実行できます。

特に自筆証書遺言の訂正については民法968条3項の厳格な要件があり、方式違備による無効リスクを避けるため、重要な変更については全面的な書き直しを検討することが重要です。2024年の相続登記義務化や2025年予定のデジタル遺言制度など、相続に関する法制度は継続的に変化しており、これらの変化に応じて遺言書の内容や形式を見直すことも重要です。

法務局の遺言書保管制度の活用により、自筆証書遺言の安全性と信頼性を高めることができ、相続手続きの円滑化も期待されます。公正証書遺言については公証人の専門的サポートにより確実性を確保できますが、費用と手続きの複雑さを考慮する必要があります。

遺言書の書き直しは重要な法的行為であるため、不明な点がある場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強く推奨します。適切な遺言書の作成と管理により、遺言者の意思を確実に実現し、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。

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