遺言書の書き方で最も手軽な方法が、手書きで作成する「自筆証書遺言」です。自筆証書遺言は費用をかけずに自分ひとりで作成できる一方、民法で定められた5つの要件を1つでも満たさないと無効になるリスクがあります。ここでは、手書きの遺言書を正しく作成するための具体的な書き方、無効になる10のケース、訂正方法、法務局の保管制度まで、知っておくべきポイントを網羅的に解説します。
遺言書を残さずに亡くなった場合、遺産は法定相続分に従って分配されますが、それが必ずしも故人の意思に沿ったものとは限りません。遺言書がないことで相続人同士の間でトラブルが発生し、いわゆる「争族」に発展してしまうケースも少なくありません。こうした事態を防ぐためにも、正しい知識を持って遺言書を作成することが非常に重要です。この記事では、これから遺言書の作成を検討している方に向けて、自筆証書遺言に焦点を当て、有効な遺言書を完成させるために必要な情報をお伝えします。

遺言書の種類と自筆証書遺言の特徴
遺言書には、民法で定められた3つの種類があります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った形式を選ぶことが大切です。
自筆証書遺言は、遺言者本人が遺言書の全文、日付、氏名を自分の手で書き、押印して作成する遺言書です。証人が不要で費用もかからないため、最も手軽に作成できる形式として広く利用されています。ただし、法律で定められた形式要件を守らないと無効になるリスクがあるため、注意が必要です。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。遺言者が口述した内容を公証人が筆記し、証人2名の立会いのもとで作成されます。公証人が関与するため形式的な不備で無効になるリスクが低く、原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配がありません。ただし、公証人への手数料がかかり、証人2名を確保する必要があります。
秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書を封印し、公証人と証人2名の前に提出して遺言書の存在を証明してもらう形式です。遺言の内容を秘密にしたまま存在だけを公証してもらえますが、実務上はほとんど利用されていません。
3つの種類の中で最も利用者が多いのが自筆証書遺言であり、本記事ではこの形式について詳しく解説していきます。
手書きの遺言書(自筆証書遺言)に必要な5つの法的要件
自筆証書遺言が法的に有効となるためには、民法第968条に定められた5つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると遺言書全体が無効となる可能性があるため、十分に注意してください。
全文の自書が必要
自筆証書遺言の最も基本的な要件は、遺言者本人が遺言書の本文の全文を自分の手で書くことです。パソコンやワープロで作成したもの、他人に代筆してもらったものは自筆証書遺言としては認められません。
ただし、2019年1月13日に施行された民法改正により、遺言書に添付する財産目録についてはパソコンで作成したものや、預金通帳のコピー、不動産の登記事項証明書のコピーなどを添付することが認められるようになりました。この場合、財産目録の各ページに遺言者が自書で署名し、押印する必要があります。財産目録が両面にわたる場合は、両面それぞれに署名と押印が必要です。
日付の自書が必要
遺言書には、作成した年月日を具体的に自書しなければなりません。日付は遺言書の作成時期を特定するために不可欠な要素であり、特に複数の遺言書が存在する場合にはどの遺言書が最新のものかを判断する重要な基準となります。日付の記載方法としては、「令和8年3月4日」や「2026年3月4日」のように年月日が特定できる形式で記載します。「令和8年3月吉日」のように日が特定できない記載は無効となります。また、日付もゴム印やスタンプではなく、必ず自書しなければなりません。
氏名の自書が必要
遺言者は遺言書に自分の氏名を自書しなければなりません。一般的にはフルネーム(姓と名)を記載します。法律上は遺言者が誰であるかを特定できればペンネームや通称でも有効とされる場合がありますが、後のトラブルを避けるためにも戸籍上の正式な氏名を記載することが望ましいです。ゴム印による氏名の記載や他人による代筆は認められません。
押印が必要
遺言書には遺言者の押印が必要です。使用する印鑑について法律上の制限はなく、実印でなくても認印でも有効とされています。過去の判例では拇印(指印)による押印でも有効とされた例があります。しかし、遺言書の信頼性を高めるためには実印を使用することが推奨されます。実印であれば印鑑証明書との照合が可能であり、本人が作成したことの証明がより確実になります。なお、シャチハタ(インク浸透印)は印影が変化しやすいため避けたほうがよいとされています。
訂正は法定の方法に従うこと
自筆証書遺言の内容を訂正する場合には、民法第968条第3項に定められた厳格な方式に従わなければなりません。この方式に従わない訂正は無効となり、訂正前の内容が有効なものとして扱われます。場合によっては、訂正によって元の文字が判読できなくなり、その部分が記載されていないものとして扱われることもあります。訂正の具体的な方法については後述します。
自筆証書遺言の具体的な書き方と手順
自筆証書遺言を実際に作成する際の具体的な手順を、順を追って説明します。正しい手順を踏むことで、無効になるリスクを大幅に減らすことができます。
用紙と筆記具の準備について
用紙の大きさや種類について法律上の制限はありませんが、長期間の保管に耐えうる用紙を使用することが望ましいです。法務局の保管制度を利用する場合は、A4サイズの用紙を使用し、片面のみに記載する必要があります。余白についても上部5ミリメートル以上、下部10ミリメートル以上、左20ミリメートル以上、右5ミリメートル以上を確保する必要があります。
筆記具はボールペンや万年筆など、長期間保存しても消えにくいものを使用します。鉛筆やフリクションペン(消えるインクのペン)は、容易に書き換えられてしまうため使用してはなりません。
表題から本文の記載方法
遺言書の冒頭に「遺言書」と記載します。法律上表題は必須要件ではありませんが、その文書が遺言書であることを明確にするために記載することが推奨されます。
本文の書き出しとして「遺言者〇〇〇〇は、次のとおり遺言する。」と記載し、続いて各条項に分けて財産の分配や遺言の内容を具体的に記載していきます。財産の記載は、誰が読んでも特定できるように具体的に書くことが重要です。
不動産の場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている所在地、地番、地目、地積(土地の場合)、または所在地、家屋番号、種類、構造、床面積(建物の場合)を正確に記載します。「自宅」や「家」といった曖昧な表現は避けなければなりません。
預貯金の場合は、金融機関名、支店名、口座の種類(普通預金・定期預金など)、口座番号を記載します。具体的な金額を書くと遺言書作成後に残高が変動した場合にトラブルになる可能性があるため、「〇〇銀行〇〇支店の預金のすべて」のような書き方が実務上は多く見られます。
株式や有価証券の場合は、証券会社名、口座番号、銘柄、株数などを具体的に記載します。
遺言執行者の指定について
遺言の内容を確実に実行するために、遺言執行者を指定しておくことが推奨されます。遺言執行者とは、遺言書の内容に従って相続手続きを進める権限を持つ人のことです。信頼できる親族や弁護士、司法書士などの専門家を指定することが多いです。記載例としては「遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。住所〇〇、氏名〇〇、生年月日〇〇」のように書きます。
付言事項の記載について
付言事項とは、法的な効力は持ちませんが、遺言者の思いや願いを記載する部分です。なぜそのような遺産の分け方にしたのかという理由や、家族への感謝の気持ち、葬儀に関する希望などを記載することができます。法的な拘束力はないものの、遺言者の思いを伝えることで相続人同士のトラブルを防ぐ効果が期待できます。
日付・氏名の記載と押印、封筒への封入
本文の後に作成した年月日を具体的に自書し、続いて遺言者の氏名を自書し、押印します。法律上は封筒に入れることは必須ではありませんが、遺言書の改ざんを防ぐために封筒に入れて封印することが推奨されます。封筒の表面に「遺言書」と記載し、裏面に日付と氏名を記載しておくとよいでしょう。また、「開封せずに家庭裁判所に提出すること」という注意書きを添えておくと、相続人が誤って開封してしまうリスクを減らすことができます。
手書きの遺言書が無効になる10のケースと注意点
自筆証書遺言は、以下のようなケースで無効となります。遺言書を作成する際にはこれらのケースに該当しないよう十分に注意する必要があります。
パソコンやワープロで本文を作成した場合
自筆証書遺言の本文はすべて遺言者本人が手書きしなければなりません。パソコンやワープロで作成した遺言書は無効です。ただし、財産目録についてはパソコンでの作成が認められています。
他人に代筆してもらった場合
家族や知人など遺言者以外の人が代わりに書いた遺言書は無効です。たとえ遺言者の指示に基づいて書かれたものであっても、代筆は認められません。
日付の不備がある場合
日付が記載されていない場合は無効となります。また、「令和8年3月吉日」「2026年の誕生日」など具体的な年月日が特定できない記載も認められず無効です。さらに、日付をゴム印やスタンプで押した場合も自書の要件を満たさず無効となります。
署名や押印がない場合
遺言者の氏名の自書がなければ遺言書は無効となります。氏名のゴム印も認められません。また、押印は必須要件であり押印がなければ無効となります。ただし、指印(拇印)でも有効とされた判例があります。
訂正方法が不適切な場合
訂正は民法所定の方式に従わなければなりません。方式に従わない訂正はその訂正部分が無効となります。
遺言能力がない状態で作成された場合
遺言書を作成するには遺言の内容を理解し判断する能力(遺言能力)が必要です。民法上、遺言能力が認められるのは15歳以上の者とされています。形式的な要件をすべて満たしていても、作成時に重度の認知症であったなど遺言能力がなかったと認められた場合にはその遺言書は無効となります。遺言能力の有無は、作成時の遺言者の精神状態、遺言の内容の複雑さ、医師の診断書などを総合的に考慮して判断されます。高齢で判断力の低下が懸念される場合は、医師の診断書を取得しておくことや公正証書遺言の作成を検討することが推奨されます。
共同遺言の場合
民法第975条により、2人以上の者が同一の証書で遺言することは禁止されています。夫婦であってもそれぞれ別の遺言書を作成しなければなりません。同一の用紙に連名で遺言を記載した場合、その遺言は無効となります。
遺言書の正しい訂正方法
自筆証書遺言を書き間違えた場合や内容を変更したい場合には、民法第968条第3項に定められた厳格な方式に従って訂正を行わなければなりません。この方式に従わない訂正は無効となるため注意が必要です。
まず、訂正する箇所を二重線で消します。このとき元の文字が判読できる状態にしておくことが重要です。修正液や修正テープで元の文字を完全に消してしまうと変更前の内容が確認できなくなるため認められません。次に、二重線の近くに正しい内容を記入します。そして、訂正した箇所に遺言書で使用したものと同じ印鑑で押印します。最後に、訂正した箇所の欄外または遺言書の末尾に「第〇条中、〇字削除、〇字加入」のように変更した内容を具体的に記載し、その下に遺言者が署名します。
書き間違いが多い場合や大幅な変更が必要な場合には、訂正ではなく遺言書全体を最初から書き直すことが推奨されます。訂正だらけの遺言書は相続人の間で解釈の争いを招く原因にもなりかねません。なお、判例では遺言書の記載自体から見て明らかな誤記の訂正については、訂正方式に違背があっても遺言者の意思を確認するについて支障がないものであれば効力に影響を及ぼさないとされることもあります。しかし、これはあくまで例外的な扱いであり、原則として法定の訂正方式を厳格に守るべきです。
法務局における自筆証書遺言書保管制度の活用
2020年(令和2年)7月10日から、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」に基づき、自筆証書遺言書を法務局(遺言書保管所)で保管してもらえる制度が始まりました。この制度には多くのメリットがあり、自筆証書遺言を作成する際にはぜひ活用を検討していただきたい制度です。
保管制度のメリットについて
法務局に遺言書の原本が保管されるため、自宅で保管する場合に比べて紛失、改ざん、破棄といったリスクを大幅に減らすことができます。また、法務局に保管された遺言書は相続開始後の家庭裁判所による検認手続きが不要となり、相続手続きを迅速に進めることができます。
保管申請時には法務局の職員が遺言書の外形的な形式(自書であるか、日付・氏名の記載があるか、押印があるかなど)をチェックしてくれます。ただし、遺言の内容の有効性についてはチェックされません。さらに、遺言者の死亡後にはあらかじめ指定された相続人や受遺者に対して法務局から遺言書が保管されている旨が通知される仕組みもあります。保管申請の手数料は1通につき3,900円であり、以後の保管料はかからないため、公正証書遺言の作成費用と比較すると大幅に低コストです。
保管制度の注意点について
保管の申請は遺言者本人が法務局に直接出向いて行わなければならず、代理人による申請は認められていません。重い病気や障害などで外出が困難な場合にはこの制度を利用することができないという点に注意が必要です。また、法務局では遺言書の形式面のチェックは行われますが、遺言の内容が法的に有効かどうか(遺留分を侵害していないかなど)についてのアドバイスや審査は行われません。
保管制度を利用するためには所定の様式に従って遺言書を作成する必要があり、A4サイズの用紙の使用、片面のみの記載、各ページへのページ番号の記載、所定の余白の確保などが求められます。保管の申請には事前予約が必要であり、予約なしでの来庁は受け付けられません。
保管制度の利用手続きの流れ
手続きの流れとしては、まず所定の様式に従って遺言書を作成し、保管を申請する法務局を決めます。申請先は遺言者の住所地、本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する法務局です。次に申請書を作成し(法務省ホームページからダウンロード可能)、法務局に予約を入れます。そして遺言者本人が法務局に出頭し申請を行います。本人確認書類として顔写真付きの身分証明書が必要です。申請が完了すると保管証を受け取ることができます。
遺言書の検認手続きとその流れ
自筆証書遺言(法務局に保管されているものを除く)は、相続開始後に家庭裁判所で「検認」の手続きを受ける必要があります。検認とは、相続人に対して遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
重要な点として、検認は遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。検認を経たからといって遺言書の内容が有効であることが保証されるわけではないことを理解しておく必要があります。
自宅や貸金庫など法務局以外の場所で保管されていた自筆証書遺言は検認が必要です。公正証書遺言と法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言は検認が不要となります。
検認の手続きとしては、まず遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てを行います。家庭裁判所から相続人全員に対して検認を行う日(検認期日)の通知が送付され、通常申立てから約1か月から1か月半後に検認期日が設定されます。検認期日には申立人が遺言書を家庭裁判所に持参し、裁判官が相続人の立会いのもとで遺言書を開封し内容を確認します。相続人全員が出席する必要はなく、欠席しても検認手続きは行われます。検認が完了すると遺言書に検認済みの証明書が付され、この証明書がなければ金融機関での預金の払い戻しや不動産の名義変更などの相続手続きを進めることができません。
封印のある遺言書は家庭裁判所の検認手続きにおいて開封しなければならず、検認を経ずに勝手に開封した場合は5万円以下の過料に科される可能性があります。ただし、誤って開封してしまった場合でも遺言書自体が無効になるわけではありません。検認手続きを経ずに遺言を執行した場合も同様に過料に科される可能性があります。
自筆証書遺言作成時に見落としがちな注意点
遺言書の作成においては形式面以外にも気をつけるべきポイントが多くあります。ここでは、よくある間違いや見落としがちな注意点について解説します。
財産の記載が曖昧な場合は、相続手続きに支障をきたす可能性があります。「自宅の土地と建物を妻に相続させる」のような記載では不動産の特定が不十分です。不動産は登記事項証明書の記載に基づいて正確に特定する必要があります。相続人の特定についても同様で、「長男に〇〇を相続させる」だけでなく氏名と生年月日を記載して確実に特定することが重要です。
遺留分への配慮も忘れてはならないポイントです。遺留分とは一定の相続人に法律上保障された最低限の相続分のことです。遺留分を侵害する内容の遺言書を作成した場合、遺言書自体が無効になるわけではありませんが、遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額請求がなされる可能性があります。トラブルを避けるためには遺留分に配慮した内容にすることが望ましいです。
予備的遺言条項の記載も検討すべきです。遺言で財産を相続させるとした相手が遺言者よりも先に亡くなってしまった場合、その部分の遺言は効力を失います。「万が一、妻〇〇が遺言者より先に死亡した場合には、〇〇の相続分は長男〇〇に相続させる」のような予備的な条項を設けておくことが推奨されます。
自筆証書遺言を自宅で保管する場合は紛失、災害による滅失、相続人による隠匿や破棄のリスクがあります。法務局の保管制度を利用するか、信頼できる人に保管場所を伝えておくことが重要です。
複数の遺言書が存在する場合は内容が矛盾する部分について日付の新しい遺言書の内容が優先されます。古い遺言書の内容と矛盾しない部分は古い遺言書の内容も有効です。新しい遺言書を作成した場合には「遺言者は、本遺言書以前に作成した遺言書をすべて撤回する」旨の条項を入れておくことが望ましく、古い遺言書は破棄しておくことが推奨されます。
遺言書は一度作成したら終わりではありません。家族構成の変化(出生、死亡、離婚など)、財産状況の変化(不動産の売却、新たな財産の取得など)、気持ちの変化などがあった場合には遺言書の内容を見直し、必要に応じて新しい遺言書を作成することが重要です。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを比較
自筆証書遺言と公正証書遺言にはそれぞれメリットとデメリットがあります。どちらの形式を選ぶかは遺言者の状況や希望に応じて判断すべきです。以下の表で主な違いを比較します。
| 比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 遺言者本人が全文を手書き | 公証人が作成 |
| 費用 | 無料(法務局保管は3,900円) | 数万円〜数十万円(財産額に応じて変動) |
| 証人 | 不要 | 2名必要 |
| 作成場所 | いつでもどこでも可能 | 公証役場(出張も可能) |
| 秘密性 | 内容を他人に知られずに作成可能 | 証人に内容を知られる |
| 無効リスク | 形式不備で無効になるリスクあり | 形式不備のリスクが極めて低い |
| 保管の安全性 | 自宅保管は紛失・改ざんリスクあり | 原本が公証役場に保管され安全 |
| 検認手続き | 必要(法務局保管の場合は不要) | 不要 |
| 書けない場合 | 自書が必須のため作成不可 | 口述で作成可能 |
費用をかけずに手軽に作成したい場合は自筆証書遺言が適しており、確実性を重視する場合は公正証書遺言が適しています。自筆証書遺言を作成する場合でも法務局の保管制度を利用することで多くのデメリットを軽減することができます。
特に、財産が多い場合、相続人間の関係が複雑な場合、事業承継が絡む場合などは弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談してから作成することが強く推奨されます。自筆証書遺言は自分ひとりで作成できる手軽さが魅力ですが、法的な知識がないまま作成すると意図しない結果を招いたり無効となったりするリスクがあるためです。
遺言書の書き方でよくある疑問と注意すべきポイント
遺言書の作成を検討する方からよく聞かれる疑問について、ここで整理しておきます。
遺言書に使用する印鑑について迷う方が多いですが、法律上は認印でも有効とされています。しかし、信頼性を高めるためには実印の使用が推奨されます。シャチハタは印影が変化しやすいため避けるべきです。
財産目録をパソコンで作成できるようになったのは2019年1月13日施行の民法改正からです。これにより本文は手書きが必要ですが、財産目録は通帳のコピーや登記事項証明書のコピーなどで対応できるようになりました。ただし、各ページへの自書による署名と押印は忘れずに行う必要があります。
遺言書を作成した後は、その保管方法が非常に重要です。せっかく有効な遺言書を作成しても発見されなければ意味がありません。法務局の保管制度は手数料3,900円で利用でき、検認も不要になるため積極的に活用することをお勧めします。
遺言書は大切な家族のために自分の最後の意思を確実に伝えるための重要な文書です。本記事で解説した5つの法的要件をしっかり守り、無効にならない正しい遺言書を作成してください。不安がある場合は専門家への相談も検討し、家族が安心できる相続の準備を進めていきましょう。









コメント