相続した土地を国に引き取ってもらえる相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日に施行された比較的新しい制度です。この制度を利用すれば、管理が困難な土地や活用できない土地を国庫に帰属させることができ、固定資産税の負担や維持管理の手間から解放されます。手続きの流れとしては、まず法務局での事前相談を行い、必要書類を準備した上で承認申請書を提出します。審査手数料は土地1筆につき14,000円で、承認後には原則20万円の負担金が必要となります。必要書類には承認申請書、土地の位置や範囲を示す資料、印鑑登録証明書などがあり、相続登記が完了していない場合は戸籍謄本などの相続人であることを証する書面も必要です。審査期間は半年から1年程度かかりますが、2025年2月28日時点での承認率は約93パーセントと高い水準を維持しており、事前準備をしっかり行えば多くの申請が承認されています。本記事では、相続土地国庫帰属制度の手続きの流れ、必要書類、費用について詳しく解説していきます。

相続土地国庫帰属制度の概要と創設背景
相続土地国庫帰属制度とは、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たしている場合に、その土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度です。この制度は2023年4月27日に施行され、相続した土地の管理に悩む方々にとって新たな選択肢となっています。
日本では近年、相続した土地の管理が困難になるケースが急増しています。少子高齢化や過疎化の進行により、地方の土地を相続しても実際に活用したり管理したりすることが難しい状況が各地で生まれています。特に都市部に居住している方が遠方の山林や農地を相続した場合、定期的な管理のために現地を訪れることは現実的ではなく、草刈りや樹木の管理、不法投棄の監視といった維持管理作業が大きな負担となってしまいます。
管理されない土地は周辺環境への悪影響を及ぼすだけでなく、所有者不明土地の増加にもつながります。所有者不明土地とは、登記簿を見ても所有者が判明しない、または判明しても連絡がつかない土地のことを指し、公共事業や災害復旧の妨げとなるなど社会問題化しています。このような背景を受けて、相続した土地の所有権を国が引き取る仕組みとして相続土地国庫帰属制度が創設されました。所有者の管理負担を軽減するとともに、将来的な所有者不明土地の発生を予防することがこの制度の主な目的となっています。
申請できる人の条件と対象となる土地
相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、相続や遺贈によってその土地を取得した人のみに限定されています。これは制度の根幹となる重要な要件であり、売買や贈与など自分の意思で積極的に土地を取得した人は申請することができません。自らの判断で取得した土地については、取得時点で将来的な管理や処分についても考慮すべきという考え方に基づいています。
土地が共同名義になっている場合には、名義人全員が共同で申請しなければなりません。一部の共有者だけで申請することはできないため、共有者全員の同意を得る必要があります。共有者の中に連絡が取れない方がいる場合や、意見が一致しない場合には申請が困難になることもありますので、事前に共有者間で十分な話し合いを行っておくことが重要です。
相続登記がまだ完了していない場合でも申請は可能ですが、その際には申請書に相続人であることを証する書面を添付する必要があります。ただし、相続登記を先に済ませておくと手続きがスムーズに進む場合が多いため、可能であれば相続登記を完了してから申請することをお勧めします。なお、2024年4月1日から相続登記が義務化されており、相続によって不動産を取得した場合はその取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければならなくなっています。
対象となる土地の種類は宅地、田、畑、森林、その他の土地と幅広く設定されていますが、全ての土地が対象となるわけではありません。後述する却下事由や不承認事由に該当する土地は制度を利用することができません。農地や山林も対象となることは、相続放棄との大きな違いであり、この制度の特徴の一つといえます。
引き取れない土地の要件について
相続土地国庫帰属制度では、一定の条件に該当する土地については申請段階で却下されるか、審査の結果不承認となります。申請を検討する前に、自分の土地がこれらの要件に該当しないかどうかを確認しておくことが重要です。
申請が却下される土地としては、まず建物がある土地が挙げられます。建物が存在する限り申請することができないため、建物を解体して撤去してから申請する必要があります。解体費用は申請者の負担となりますので、解体費用と負担金を合わせた総費用を考慮して制度利用の是非を判断する必要があります。
担保権や使用収益権が設定されている土地も却下事由に該当します。抵当権などの担保権が設定されている場合は、これらを抹消してから申請しなければなりません。住宅ローンが残っている土地などは、まずローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。
他人の利用が予定されている土地も申請できません。通路として使用されている土地や墓地内の土地などがこれに該当します。実際の却下事例を見ると、申請が却下された理由のうち最も多いのは、現に通路として使われている土地に該当したことであり、10件中8件がこの理由で却下されています。私道や他人が通行路として利用している土地は注意が必要です。
土壌汚染されている土地についても申請することができません。土壌汚染対策法に基づく特定有害物質により汚染されている土地は却下対象となります。また、境界が明らかでない土地や、所有権の存否や範囲について争いがある土地についても申請できません。境界が不明確な場合は、境界確定測量などを行い、境界を明確にする必要があります。
審査の結果不承認となる土地としては、崖がある土地で管理のため過分な費用や労力を要する土地があります。具体的には、勾配が30度以上で高さが5メートル以上の崖がある土地などが該当します。土地の管理や処分を阻害する工作物、車両、樹木その他の有体物が地上に存在する土地も不承認事由に該当します。
隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ管理や処分ができない土地についても不承認となります。また、現地調査後に不承認となる理由で最も多いのは、国が管理に必要な費用以外の法令に基づく金銭を負担する土地であることです。土地改良事業の地域内で水利費などを支払うことが確実な土地などが該当し、土地の所有権を国に移転しても継続的に金銭的な負担が発生するため、国が引き取ることができません。
申請に必要な書類の詳細
相続土地国庫帰属制度の申請には複数の書類が必要となります。必須書類と任意添付書類に分けて準備を進めることで、漏れなく書類を揃えることができます。
承認申請書は申請の基本となる書類です。申請書は土地の所有状況によって様式を使い分ける必要があり、特定の相続人が単独で所有する土地なら単独申請の様式を、共有する土地なら共同申請の様式を用います。申請書の様式や記載例は法務省のホームページに掲載されており、申請方法や提出書類の様式ページから確認することができます。
土地の位置及び範囲に関する資料も必須書類です。これには土地の所在地を示す地図や、土地の範囲を明示した図面などが含まれます。写真を添付することも推奨されており、土地の現況が分かる資料を準備しておくとよいでしょう。
申請者の印鑑登録証明書は市区町村役場で取得できます。発行から3か月以内のものを提出する必要がありますので、申請のタイミングを見計らって取得することが重要です。
相続登記がされていない場合には、相続人であることを証する書面を添付する必要があります。戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本などがこれに該当します。被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃える必要がある場合もありますので、余裕を持って準備を進めることをお勧めします。
任意添付書類としては、固定資産評価証明書があります。土地の評価額を確認するために提出するもので、負担金の算定の参考となります。また、承認申請土地の境界等に関する資料も任意添付書類となっており、境界確定図や測量図などがこれに該当します。境界が明確であることを示す資料を添付することで、審査がスムーズに進む可能性があります。
費用の詳細と負担金の計算方法
相続土地国庫帰属制度を利用するには複数の段階で費用が発生します。事前に総費用を把握しておくことで、制度利用の判断材料とすることができます。
審査手数料は土地1筆につき14,000円と定められており、申請時に納付します。この手数料は申請後に却下や不承認となった場合でも返還されませんので注意が必要です。複数の土地を申請する場合は、それぞれの筆について審査手数料が必要となるため、3筆の土地を申請する場合は42,000円の審査手数料がかかります。
専門家への依頼費用として、申請書類の作成を弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に依頼する場合は概ね10万円から30万円程度が相場となっています。土地の状況や必要な調査の内容によって費用は変動します。自分で申請書類を作成することも可能ですが、複雑な案件では専門家のサポートを受けることで確実に手続きを進めることができます。
負担金は承認された場合に別途支払いが必要となる費用で、国が引き取った土地を10年間管理するために必要な標準的な費用に相当する額として算定されます。負担金の基本額は原則として20万円ですが、宅地で市街化区域または用途地域が指定されている地域内にあるもの、農業振興地域内の農用地区域内にある農地、森林の3つについては面積に応じて負担金が算定されます。
負担金の計算方法について具体例を挙げると、市街化区域内の宅地で40平方メートルの場合は、40×4,070円+208,000円=370,800円となり、端数を切り捨てて370,000円となります。90平方メートルの場合は、90×2,720円+276,000円=520,800円で、端数を切り捨てて520,000円となります。森林の場合、10,000平方メートルの森林であれば、10,000平方メートル×8円+287,000円=367,000円となります。
隣接する同じ種類の土地については、申請者の請求により負担金の算定上一つの土地として扱うことができます。面積により負担金が異なる土地、例えば森林などについては、隣接する2筆以上の土地の面積を合算して負担金を計算することで、負担金を抑えることができる場合があります。
負担金は通知が届いた日の翌日から30日以内に納付する必要があります。負担金が納付されると土地の所有権が国に移転し、手続きが完了します。
申請先と手続きの流れ
相続土地国庫帰属制度の申請先は、帰属の承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局または地方法務局の本局にある不動産登記部門となります。支局や出張所では受け付けていないため注意が必要です。
手続きの流れとしては、まず第一段階として事前相談と必要書類の準備を行います。申請前に法務局への事前相談を行うことを強くお勧めします。事前相談では、申請を検討している土地が制度の要件を満たしているか、どのような書類を準備すればよいかなどを確認できます。相談時には相談シート、土地の状況についてのチェックシート、土地の状況等が分かる資料や写真を事前に用意しておくとスムーズです。2024年10月15日からは全国の法務局においてウェブ相談も開始されており、遠方の方でも気軽に相談できるようになっています。
第二段階として承認申請書の提出と審査手数料の納付を行います。管轄の法務局に申請書と必要書類を提出し、審査手数料として土地1筆につき14,000円を納付します。
第三段階として法務局による書面審査と実地調査が行われます。提出された書類に基づいて書面審査が行われ、必要に応じて法務局の職員による現地調査が実施されます。審査には書面審査と実地調査の両方が含まれており、法務局の職員が実際に現地を訪れて土地の状況を確認するため、ある程度の時間を要します。
第四段階として承認または不承認の通知が届きます。審査の結果、承認または不承認の通知が申請者に送付されます。
第五段階として承認された場合は負担金の納付を行います。承認通知とともに負担金の納付書が送付されるので、30日以内に負担金を納付します。
第六段階として国庫への帰属が完了します。負担金の納付が確認されると土地の所有権が国に移転し、全ての手続きが完了します。
審査期間と承認率の実績
相続土地国庫帰属制度の審査期間については、原則として8か月とされていますが、現状では半年から1年程度かかるケースが多いといわれています。申請の内容や土地の状況によってはさらに時間がかかる場合もありますので、申請を検討する際には余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
制度の運用実績を見ると、2025年9月30日現在で申請件数は4,374件、帰属件数は2,039件となっています。2025年2月28日現在では申請件数が3,462件、承認件数が1,426件で、承認率は約93パーセントという高い水準を維持しています。
2024年5月31日時点での詳細なデータを見ると、制度への申請数2,207件のうち帰属可否の結果が出ているのは483件で、その内訳は承認が460件、却下や不承認が23件となっています。却下や不承認となるケースは全体の約5パーセント程度と少なく、適切に準備すれば承認される可能性が高いことがわかります。
月平均で約100件が承認されているという傾向も報告されており、法務局における審査体制が整い、制度が安定的に運用されていることが読み取れます。この高い承認率は事前相談制度が機能していることを示しており、事前に法務局で相談を受けて要件を満たしているかを確認した上で申請することで、不承認となるリスクを大幅に減らすことができます。
制度利用のメリットとデメリット
相続土地国庫帰属制度を利用するメリットとして、まず土地の管理負担から解放されることが挙げられます。草刈りや樹木の管理、不法投棄の監視など、土地の維持管理には継続的な労力と費用が必要ですが、国庫帰属によりこれらの負担がなくなります。特に遠方に土地がある場合、定期的に現地を訪れる手間や交通費から解放されることは大きな利点です。
固定資産税の支払い義務から解放されることも大きなメリットです。活用していない土地でも固定資産税は毎年課税されますが、国庫帰属により納税義務がなくなります。長期間にわたって考えると、固定資産税の累積負担は相当な金額になることもありますので、この点は重要なメリットといえます。
将来の相続トラブルを予防できることもメリットの一つです。管理が難しい土地を次の世代に引き継がずに済むため、将来的な相続問題を避けることができます。子供や孫の世代に負の遺産を残さないという観点から、この制度を利用する方も少なくありません。
所有者としての責任から解放されることも重要です。土地から生じる事故や問題について、所有者としての責任を問われるリスクがなくなります。例えば、土地から落石があって隣地に被害を与えた場合など、所有者責任が問われるケースがありますが、国庫帰属によりそのようなリスクからも解放されます。
一方でデメリットとしては、まず費用がかかることが挙げられます。審査手数料、専門家への依頼費用、負担金など、合計で数十万円の費用が必要となる場合があります。建物の解体が必要な場合は解体費用も加わりますので、総費用を事前に見積もっておくことが重要です。
一度国庫帰属させると取り戻せないことも重要なポイントです。将来的に土地の価値が上がる可能性があっても、一度手放すと取り戻すことはできません。周辺の開発計画や土地の将来的な価値についても考慮した上で判断する必要があります。
全ての土地が対象とならないことも理解しておく必要があります。却下事由や不承認事由に該当する土地は制度を利用できません。建物の解体費用や境界確定の費用などを負担できない場合、制度を利用できないケースもあります。
審査に時間がかかることもデメリットの一つです。半年から1年程度の期間を要するため、すぐに土地を手放したい場合には向いていません。
他の選択肢との比較検討
土地を手放す方法として、相続土地国庫帰属制度以外にもいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を理解した上で、自分の状況に最も適した方法を選択することが重要です。
土地の売却は、買い手が見つかれば対価を得られるというメリットがあります。不動産会社に仲介を依頼したり、不動産オークションを利用したりする方法があります。ただし、地方の土地など需要が少ない土地は買い手を見つけるのが難しい場合があり、長期間売れ残ってしまうこともあります。売却価格がゼロに近い場合でも、買い手が見つかれば固定資産税や管理の負担から解放されるというメリットはあります。
土地の寄付は、自治体や公共団体、公益法人などに土地を寄付する方法です。自治体が公園や公共施設の用地として活用できる場合などは受け入れてもらえる可能性がありますが、自治体が受け入れてくれるとは限りません。活用見込みのない土地については寄付を断られるケースが多いのが実情です。
相続放棄は、相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。相続放棄の大きな特徴は、土地だけを放棄することはできず、全ての相続財産を放棄することになる点です。預金や有価証券などプラスの財産も含めて全て放棄しなければならないため、不要な土地だけを手放したい場合には適していません。この点が相続土地国庫帰属制度との最も大きな違いであり、相続土地国庫帰属制度では預金など他の財産は相続しつつ、不要な土地だけを国に引き取ってもらうことができます。
制度の要件を満たさず国庫帰属できない土地については、民間の引き取りサービスという選択肢もあります。山林や森林に特化した不動産会社と提携している組織が提供する引き取りサービスなどが存在し、制度を利用できない場合の代替手段となる可能性があります。
専門家のサポートと相談窓口
相続土地国庫帰属制度の申請は自分で行うことも可能ですが、専門家のサポートを受けることでより確実に手続きを進めることができます。
司法書士は相続登記や申請書類の作成をサポートします。相続登記が必要な場合や申請書類の作成に不安がある場合に相談すると良いでしょう。司法書士会では相続土地国庫帰属制度に関する取り組みを行っており、専門的なサポートを提供しています。
弁護士は境界紛争や相続人間の調整など、法的な問題がある場合にサポートします。共有者間で意見が一致しない場合や、隣地との境界に争いがある場合などは弁護士に相談することをお勧めします。
行政書士は申請書類の作成や手続きのサポートを行います。比較的シンプルな案件であれば、行政書士に依頼することでコストを抑えられる場合があります。
土地家屋調査士は境界確定測量など、土地の測量に関する業務をサポートします。境界が不明確な場合や、境界標が設置されていない場合に相談すると良いでしょう。
税理士は相続税や固定資産税に関するアドバイスを提供します。制度利用の総合的なコストを検討する際に相談することで、税務面からの助言を受けることができます。
相談窓口としては、法務局での相談が最も基本となります。2024年10月15日から全国の法務局において対面相談や電話相談に加えてウェブ相談も開始されており、遠方の方でも気軽に相談できるようになっています。相談の際には相談シートや土地の状況についてのチェックシートを事前に記入し、土地の状況が分かる資料や写真を準備しておくとスムーズです。法務省のウェブサイトには相続土地国庫帰属制度に関するQ&Aページも用意されており、よくある質問や疑問点について詳しい回答が掲載されています。
制度利用における実務上のポイント
相続土地国庫帰属制度を実際に利用する際には、いくつかの実務上のポイントを押さえておくことが重要です。
事前調査の重要性として、申請前に土地が却下事由や不承認事由に該当しないか十分に調査することが欠かせません。登記簿謄本を取得して担保権の有無を確認すること、現地を訪問して建物や工作物の有無を確認すること、土地が通路として利用されていないか確認することなど、綿密な事前調査が必要です。
隣接地所有者との関係についても整理しておく必要があります。境界について隣接地所有者との間で争いがある場合、申請が却下されます。申請前に隣接地所有者と境界について確認し、必要に応じて境界確定の協議を行っておくことが望ましいです。境界標が設置されていたり、隣接地所有者との間で境界について争いがなかったりする場合は、測量なしでも申請できる可能性がありますが、審査の過程で測量を求められる場合もあります。
建物の解体について、建物がある土地は申請できないため建物を解体する必要があります。解体費用は申請者の負担となるため、解体費用と負担金を合わせた総費用を考慮して制度利用の是非を判断する必要があります。木造住宅の場合、解体費用は数十万円から数百万円程度かかることがあります。
複数筆の土地がある場合は、全てを申請するか一部のみを申請するか検討が必要です。審査手数料は1筆ごとに14,000円かかりますが、隣接する同種の土地であれば負担金を合算計算できる場合があります。
申請のタイミングについては、審査には半年から1年かかるため、固定資産税の納税時期なども考慮して申請のタイミングを決めることが重要です。ただし、相続から長期間経過している場合は、早めに申請することをお勧めします。
よくある質問への回答
相続土地国庫帰属制度についてよく寄せられる質問について説明します。
測量は必要かどうかについては、境界が明らかでない土地は申請できませんが、必ずしも測量が必要というわけではありません。境界標が設置されていたり、隣接地所有者との間で境界について争いがなかったりする場合は、測量なしでも申請できる可能性があります。ただし審査の過程で測量を求められる場合もあります。
農地や山林も対象になるかどうかについては、農地や山林も相続土地国庫帰属制度の対象となります。これは相続放棄と異なりこの制度の大きなメリットの一つです。ただし却下事由や不承認事由に該当しないことが条件となります。
複数の土地をまとめて申請できるかどうかについては、複数の土地をまとめて申請することは可能です。ただし審査手数料は土地1筆につき14,000円が必要となります。隣接する同じ種類の土地については、負担金の算定上一つの土地として扱うことができる場合があります。
申請中に土地を売却できるかどうかについては、申請中でも土地の所有権は申請者にあるため法律上は売却可能です。ただし売却した場合は申請を取り下げる必要があります。また審査手数料は返還されません。
共有名義の土地でも申請できるかどうかについては、共有名義の土地でも申請可能ですが、共有者全員が申請する必要があります。一部の共有者だけでは申請できません。
制度の今後の展望
相続土地国庫帰属制度は2023年4月27日に施行された比較的新しい制度ですが、申請件数は着実に増加しており、相続した土地の処分に悩む方々にとって有効な選択肢として認知されつつあります。月平均100件程度が承認されている状況は、制度が一定の役割を果たしていることを示しています。
今後の課題としては、制度の要件が厳しく全ての土地が対象となるわけではないことが指摘されています。特に建物の解体費用や境界確定の費用などを負担できない場合、制度を利用できないケースもあります。今後、制度の運用実績を踏まえて要件の緩和や手続きの簡素化などが検討される可能性があります。
所有者不明土地の増加を防ぐという観点から、この制度は重要な社会的意義を持っています。適切に運用されることで将来的な所有者不明土地の発生を予防し、土地の有効活用につながることが期待されます。相続した土地の管理や処分に悩んでいる方にとって、この制度は有力な選択肢の一つとなりますが、費用や手続きの負担、一度手放すと取り戻せないことなどのデメリットも理解した上で慎重に判断することが大切です。









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