70代の終活で補聴器購入|費用相場と3つの補助制度を徹底解説

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70代の終活で補聴器を購入する場合、費用は片耳10万円から30万円程度が一般的で、障害者手帳による補装具費支給制度、自治体独自の高齢者向け助成制度、医療費控除という3つの補助制度を活用できます。70代になると男女ともに約7割の方が難聴を抱えているとされており、聞こえの問題に向き合うことは終活の重要な一部といえます。本記事では、70代の方が補聴器を購入する際に知っておくべき費用の相場から各種補助制度の詳細、選び方のポイント、購入後のケアまでを詳しく解説します。補聴器は単なる医療機器ではなく、家族や友人とのコミュニケーション、趣味や社会活動への参加を支える大切なパートナーとなるものです。

目次

70代で増える加齢性難聴とは

加齢性難聴とは、加齢以外に特別な原因がなく、年齢を重ねることで聴力が低下する状態を指します。これは音を感じる部位が障害される「感音難聴」の一種であり、主な原因は加齢によって内耳の蝸牛(かぎゅう)の中にある有毛細胞がダメージを受け、その数が減少したり聴毛が抜け落ちたりすることにあります。有毛細胞は音を感知し増幅する役割を担っているため、障害を受けると音の情報をうまく脳に送ることができなくなります。

国立長寿医療研究センターの調査によると、70歳代前半では男性の約5割、女性の約4割に軽度難聴以上の難聴がみられ、70歳代後半になると男女ともに約7割の方が難聴を抱えているというデータがあります。実際には聴覚の老化は40歳代から始まっており、多くの方が「聞こえが悪くなった」と自覚するのは60歳前後ですが、そこからゆっくりと進行していきます。

加齢性難聴の特徴的な症状

加齢性難聴にはいくつかの特徴的な症状があります。まず、高い音から聞き取りにくくなるという特徴があり、電子レンジや体温計のピピピという電子音、インターホンの音などが聞こえにくくなることが初期症状として現れることが多いです。次に、小さな音が聞こえにくくなるだけでなく、語音明瞭度が下がるという症状も生じます。これは大きな声であっても内容が聞き取れない、あるいは声が大き過ぎると逆に聞き取れないという状態を指します。

具体的な初期症状としては、お風呂がわいた電子音に気づかない、体温計の音が聞こえない、テレビのボリュームが大きくなった、耳鳴りがする、自分の声が大きくなったと言われるといったものが挙げられます。こうした症状に心当たりがある方は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

難聴を放置することのリスク

聞こえが悪い状態を放置していると、認知症の発症や進行リスクが高まることが研究で明らかになっています。音による刺激が減ると神経細胞が衰えていき、会話がうまくつながらなくなります。その結果、周囲とのコミュニケーションが取りにくくなり、引きこもりがちになってしまいます。認知症の発症リスクを高める最も大きな要因に中年期以降の聴力低下が含まれるとのデータが報告されており、難聴への早期対応が認知症予防の最重要項目の一つであると考えられています。

加齢性難聴は完全に防ぐことはできませんが、進行を遅らせることは可能です。血流障害の原因となる動脈硬化を防ぐことが大切で、肥満、高血圧、脂質異常などの生活習慣病への対策が重要となります。加齢性難聴を悪化させる原因には、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化といった生活習慣病のほか、喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、騒音の環境に長時間いることなどが挙げられます。ヘッドホンやイヤホンで大音量の音を長時間聞くことは、有毛細胞にダメージを与えるため控えた方がよいでしょう。

補聴器を検討すべきタイミングと種類

補聴器の使用を検討すべきタイミングは、聴力が40dB以上70dB未満の中等度難聴に該当し、普通の大きさの声の会話で聞き間違いや聞き取り困難を自覚する場合です。普段の会話で聞き返すことが多くなったら、補聴器の使用を検討するタイミングといえるでしょう。60歳代前半の方が10年後に難聴を発症する割合は約3割、70歳代前半では10年後に約6割が難聴を発症する可能性があるというデータもあり、早めに耳鼻咽喉科を受診し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

耳かけ型補聴器の特徴

現在発売されている補聴器は、主に「耳かけ型」と「耳あな型」の2種類があり、全販売数の90パーセント以上を占めています。日本で販売されている補聴器の約65パーセントが耳かけ型補聴器です。耳かけ型補聴器は、補聴器本体を耳の後ろにかけるタイプで、相場は片耳5万円から50万円程度となっています。

耳かけ型のメリットとしては、本体サイズを大きく作ることができるため、より多くの機能を搭載できること、重度難聴に対応するハイパワー補聴器も作れること、カラーバリエーションが豊富であること、操作が簡単で電池寿命が長いこと、軽度から高度まで幅広い難聴に対応していることなどが挙げられます。一方、デメリットとしては、メガネやマスクとの併用が難しい場合があること、マスクを外した時に補聴器が外れてしまう可能性があることなどがあります。耳かけ型には「RIC型」と「BTE型」があり、RIC型はレシーバー(音が出る部分)が耳あなの中に入る補聴器で、本体がより小型になります。

耳あな型補聴器の特徴

耳あな型補聴器は、耳のあなに挿して使うタイプで、相場は片耳約10万円から70万円程度となっています。オーダーメイドタイプが一般的なため価格が高くなる傾向があります。耳あな型のメリットは、耳の後ろがすっきりしてマスクやメガネ、帽子の邪魔になりにくいこと、汗にさらされにくいこと、小さいタイプは正面からも横からもほとんど見えないこと、オーダーメイドでフィット感が良く外れにくいため紛失しにくいこと、マイクの位置が耳の中にあるため髪の毛などのノイズが入りにくいことなどがあります。

デメリットとしては、同じグレードで比較した場合に耳かけ型より価格が高いこと、圧迫感やこもり感を感じる方がいること、耳の形状によっては製作できない場合があること、高度難聴への対応が困難な場合があることなどが挙げられます。耳あな型には、IIC(完全に見えないタイプ)やCIC(耳の穴の中に完全に収まるタイプ)などのサイズがあります。

補聴器と集音器の違い

補聴器の購入を検討する際に、価格の安い集音器との違いについて疑問を持つ方も多いでしょう。補聴器は厚生労働省から「管理医療機器」の認可を受けており、品質や安全性、有効性について一定の基準をクリアした医療機器です。一方、集音器はあくまでも家電製品であり、医療機器としての認可は受けていません。

機能面では、補聴器は聞こえが悪くなっている周波数の音を個別に調整できます。高音が聞き取りにくい人なら高音を、低音が聞き取りにくい人なら低音を細かく調整できます。集音器は一般的に周波数ごとの細かな調整には対応しておらず、高音から低音まで一律で増幅します。価格面では、補聴器は10万円以上が一般的で非課税、集音器は1万円前後から購入でき課税対象となります。補聴器は医療費控除の対象になりますが、集音器は対象外です。また、自治体の助成金制度も補聴器のみが対象となることがほとんどです。難聴と診断された方は補聴器を選ぶことをおすすめします。集音器は安全性にかかわる明確な基準がなく、長期間装着することで耳に負担やダメージを与える可能性もあるため、まずは医療機関への相談をおすすめします。

補聴器の費用相場と価格差の理由

補聴器の値段は1台につき3万円から60万円ほどと幅があり、タイプや機能によって価格が大きく変わります。補聴器の平均購入価格は1台15万円ですが、購入した方の約70パーセントの購入額が10万円から30万円の範囲に収まっています。

タイプ別の相場を見ると、耳かけ型補聴器は約5万円から70万円(片耳)、耳あな型補聴器は約10万円から70万円(片耳)となっています。高機能な機種では70万円から100万円を超えることもあります。補聴器の価格差には「モデル」と「機能」という2つの要因があります。モデルについては、耳あな型、耳かけ型、メガネ型、充電タイプなど様々な種類があり、それぞれ価格帯が異なります。特に耳あな型のオーダーメイドタイプは、耳型を採取して個別に作製するため価格が高くなります。機能については、雑音抑制機能、指向性マイク、ワイヤレス接続、充電式バッテリーなど、搭載される機能が多いほど価格は上がります。また、より高精度な音声処理技術を搭載した機種は高価格帯になります。

両耳装用と補聴器の寿命

補聴器は両耳に装用することで、より自然な聞こえを得られます。片耳だけの装用では音の方向感がつかみにくく、騒がしい場所での聞き取りも難しくなります。両耳装用の場合は単純に2倍の費用がかかりますが、メーカーによっては両耳セットで割引になる場合もあります。また、補聴器にも寿命があり、平均的な買い替え時期は5年から7年です。長期的な費用計画を立てる際は、この買い替え費用も考慮に入れておくことをおすすめします。

補聴器購入時に利用できる3つの補助制度

70代の方が補聴器を購入する際に利用できる補助制度は、大きく分けて3つあります。障害者手帳による補装具費支給制度、自治体独自の高齢者向け助成制度、そして医療費控除です。それぞれの制度について詳しく解説します。

障害者総合支援法による補装具費支給制度

この制度は、身体障害者手帳(聴覚障害)をお持ちの方が対象です。障害者手帳における難聴の障害程度は「等級」で表され、6級、4級、3級、2級があります(5級と1級は聴覚障害には該当しません)。数字が小さくなるほど重度を示します。6級は両耳の聴力レベルが70dB以上のもの、または一側の聴力レベルが90dB以上、他側の聴力レベルが50dB以上のものが該当します。4級は両耳の聴力レベルが80dB以上のもの、または両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの、3級は両耳の聴力レベルが90dB以上のもの、2級は両耳の聴力レベルがそれぞれ100dB以上のものが該当します。

聴覚障害等級によって支給される補聴器が異なり、2級・3級では重度難聴用の補聴器が、4級・6級では高度難聴用の補聴器が支給されます。自己負担額は原則1割負担となりますが、世帯の所得に応じて負担上限額が設定されます。障害者本人または配偶者の所得が基準以上である場合には、補装具費の支給対象外となることもあります。

申請手続きの流れとしては、まず身体障害者手帳を取得します。市役所の障害福祉課等で申請書類をもらい、指定された耳鼻咽喉科を受診して医師に身体障害者診断書を書いてもらいます。障害福祉課へ提出すると、約1ヶ月で手帳が発行されます。次に補聴器支給の申請を行います。障害福祉課で給付申請書をもらい、指定された耳鼻咽喉科で補装具交付意見書を作成してもらいます。それを補聴器販売店に見せて見積書をもらい、必要書類を障害福祉課へ提出すると、約2週間から4週間で補装具費支給券が発行されます。支給券と自己負担額を持って補聴器販売店へ行き、補聴器を受け取ります。なお、聴力が低下してから3ヶ月程度症状が固定されている必要があり、一過性の難聴では申請できません。

自治体独自の高齢者向け助成制度

身体障害者手帳の交付対象とならない比較的軽度から中等度の難聴をお持ちの高齢者には国の助成がないため、近年、自治体による独自の助成制度が全国的に広まってきています。一般的な助成制度の内容としては、対象者が65歳以上の高齢者、所得制限として住民税非課税世帯など、聴力条件として身体障害者手帳の対象とならない中等度難聴(両耳それぞれ30dB以上70dB未満など)、助成額は2万5千円から7万円程度を上限としている自治体が多いです。

2025年時点での各自治体の助成例を見ると、東京都品川区では加齢により聴力機能が低下した高齢者に対し、72,450円を上限に助成しており、令和7年4月より上限額を引き上げました。東京都港区では60歳以上の方を対象に、加齢による聴力低下で日常生活に支障がある高齢者へ補聴器購入費を助成しています。東京都渋谷区では65歳以上で住民税非課税または合計所得金額が135万円以下の方を対象に、補聴器1台分の本体費用を一部助成(上限額45,000円)しています。大阪市では65歳以上で身体障害者手帳(聴覚)の交付対象者ではなく、聴力が両耳それぞれ30dB以上70dB未満の方が対象で、1回の購入で25,000円を上限に助成しています。東大阪市では65歳以上で市民税非課税世帯、聴覚障害による身体障害者手帳の交付対象とならない方を対象に、社会参加や地域交流を支援し、認知症やフレイル予防を図ることを目的として補聴器購入費用を助成しています。愛知県豊田市では市内で在宅生活をしている18歳以上の方で、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医または指定医により補聴器が必要と認められた方が対象となっています。

最も重要な注意点は、申請前に購入された補聴器の費用は助成対象外となることです。必ず補聴器購入前に申請を行ってください。一般的な流れとしては、まず耳鼻咽喉科医師の証明書を取得し、申請書類を提出、約2週間前後で決定通知書が届いてから補聴器を購入します。お住まいの自治体によって助成内容や条件が異なりますので、詳しくは市区町村の高齢福祉課や地域包括支援センターにお問い合わせください。

医療費控除による税金の還付

補聴器購入費用は、一定の条件を満たせば確定申告で医療費控除の対象となります。医師による診療や治療のために直接必要な補聴器の購入費用で、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額が控除対象となります。

具体的には、一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定した「補聴器相談医」が、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」により、補聴器が診療等のために直接必要である旨を証明している場合に、医療費控除の対象になります。また、認定補聴器専門店または認定補聴器技能者から補聴器を購入することも条件です。これらの条件を満たさない場合は医療費控除を受けることができません。

申請の手順としては、まず補聴器を購入する前に補聴器相談医を受診し、問診・検査を受けます。補聴器相談医が必要事項を記入した「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を受け取り、補聴器販売店に行って診療情報提供書を提出し、試聴・検討後、補聴器を購入します。補聴器販売店で診療情報提供書の写しと補聴器購入費用の領収書を受け取り、当該年度の確定申告の際に医療費控除対象として申請します。

確定申告で医療費控除を申告する期間は、基本的には控除を受けたい年の翌年2月16日から3月15日までです。医療費控除額は「実際に支払った医療費の総額から、保険金などで補填された金額を差し引き、さらに10万円(または総所得金額の5パーセントのいずれか少ない額)を差し引いた金額」となります。年金収入のみで生活している方でも、確定申告を行うことで医療費控除を受けることが可能です。ただし、医療費控除は「所得から一定額を差し引く制度」ですので、そもそも税金を支払っていない場合は、控除を受けても還付される金額がないこともあります。詳しくは税務署や税理士にご確認ください。税務署の窓口で確定申告を行った場合、還付金は通常1ヶ月から2ヶ月程度で振り込まれます。e-Taxで確定申告を行った場合は、通常1ヶ月程度で振り込まれます。診療情報提供書の写しと領収書は、税務署から提出を求められる場合がありますので、5年間は大切に保管してください。

補聴器の選び方と購入の流れ

「聞こえにくくなった」と周囲の方から言われたり、ご自身で自覚されたら、まず耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。医師から補聴器が有効と診断されたら、補聴器販売店に相談しましょう。

認定補聴器専門店と認定補聴器技能者から購入するメリット

補聴器を購入する際は、「認定補聴器専門店」で「認定補聴器技能者」から購入することをおすすめします。認定補聴器専門店とは、認定補聴器技能者が在籍し、補聴器の調整・選定に必要な各種測定機器や設備について公益財団法人テクノエイド協会の認定審査基準をクリアしたお店のみに与えられる資格です。5年ごとに厳正な更新審査を受けることが義務付けられています。認定補聴器技能者は、4年間の講習期間を経て試験に合格した専門家で、5年ごとに更新があります。

認定補聴器専門店で購入するメリットは、自分に合った補聴器を選定・調整してもらえるだけでなく、購入費の医療費控除を受けるためにも必要な条件となることです。また、自治体の助成金を受ける際に「認定補聴器技能者からの購入」が要件となっている場合もあります。

補聴器購入の具体的な流れ

補聴器購入の流れは以下のようになります。最初にカウンセリング・問診があり、専門スタッフが聞こえの状態や要望を詳しく伺います。家族と一緒に来店することをおすすめします。次に聴力測定を行い、適した補聴器を提案するために聴力を測定します。どのくらい小さな音まで聞き取れるかだけでなく、言葉がどのくらい聞き取れているかも測定します。

その後、補聴器の選定・調整を行います。聴力データやライフスタイルなどから、合った補聴器を選びます。聴力に合わせて聞こえや装用感を調整します。試聴では実際に補聴器をつけてみて、スタッフや一緒に来店した家族と会話をしたり、店内の様々な音を聞いて装用感を確認します。補聴器をつけた状態で聞こえ具合(補聴効果)を測定し、客観的な効果を確認します。装用感や補聴効果の測定結果が良好であれば、日常で使ってみましょう。販売店によっては、試聴専用の補聴器を貸し出しているところもあります。購入後は定期的に販売店での点検をおすすめします。汚れなどで補聴器の音がきちんと出ていないと聞こえに影響が出ることもあります。1年に一度は点検しましょう。

70代の方向け補聴器選びのポイント

70代の方が補聴器を選ぶ際のポイントとして、操作の簡単さが挙げられます。ケースから取り出せば自動で電源が入る、ワンタッチで装用できるなど、装用や手入れが簡単な補聴器がおすすめです。防水機能があれば、雨に濡れても外さずに使えます。

電池式は電池が小さく交換作業が高齢者にとって不便な場合があります。充電式は就寝中に充電器にセットしておくだけで翌朝充電が完了し、手間なく使えるためおすすめです。また、補聴器は購入したら終わりではなく、その後の定期的な調整(フィッティング)やメンテナンスが不可欠です。購入を検討している販売店が、購入後にどのくらいの頻度で点検や調整を行ってくれるのか、専門的な知識や技術を持ったスタッフがいるかを確認することが大切です。

補聴器は購入後のメンテナンスが重要です。販売店を選ぶときには「定期的に通える位置にあるか」「定期的なメンテナンス(調整や点検等)をきちんと行ってくれるか」を特に気をつけましょう。

補聴器に慣れるためのトレーニング方法

補聴器を付けても、すぐに音が聞き取れるわけではありません。補聴器はリハビリの機械と考えるとよいでしょう。聴力が低下した状態で過ごした期間が長くなればなるほど、脳が聴覚情報を受け取れなくなっているのです。トレーニングに必要な期間の目安は約3ヶ月程度ですが、聞こえの程度や難聴状態であった期間によっても前後します。最初の1週間から2週間は不快感を強く感じるかもしれませんが、続けていくうちに脳が補聴器の音にも慣れていき、次第に「難聴の脳」から「聞こえる脳」に変わっていきます。

効果的なトレーニングの進め方

望ましいのは、朝起きてから寝るまで毎日しっかりと補聴器をつけることです。ただし、装用開始当初は自宅の中だけ、静かな部屋だけの装用にして、徐々に屋外、うるさい場所で使うといったように段階的に使用場面を増やしていきます。こうすることで、耳に大きな負担をかけずにリハビリが行えます。最初は「聴き取りに必要な音量の70パーセント程度の音量」から始め、少しずつ音量を上げていくことで、脳が音の刺激に慣れ、音を聴き続けられるように変化していきます。

補聴器の音に慣れるとともに、「言葉を聞き取る」トレーニングも必要です。家族や友人などと会話をすることがとても重要です。トレーニングを始めた方が補聴器を1日7時間以上装用できるようになると、最初のハードルはクリアです。

家族のサポートの重要性

補聴器に慣れるまでのトレーニング期間は、家族の理解や協力が欠かせません。補聴器を使い始めた家族が慣れずに焦ったり、自信を失ったり、投げ出しそうになったりする様子が見えたときは、周囲の家族一人一人がその気持ちに寄り添いながら、温かい気持ちで励ましてあげてください。

80歳代以上で補聴器を始めることを検討される場合には、病院以外での簡易的な検査やご自身の努力だけでは、ベストな状態で補聴器をスタートすることが難しい場合が多いです。病院での聴力検査、補聴器をつけて言葉を聞き取るためのリハビリテーションが役に立つ可能性が高くなります。

終活における補聴器の意義と家族との話し合い

終活とは、人生の終わりに向けて準備を整える活動ですが、その本質は「残りの人生をより豊かに生きるための準備」です。聞こえの問題に向き合うことは、終活の重要な一部といえます。聞こえが悪くなると、家族や友人との会話が困難になり、社会活動への参加も消極的になりがちです。これは精神的な孤立を招き、生活の質を大きく低下させます。補聴器を適切に使用することで、コミュニケーション能力を維持し、社会とのつながりを保ち続けることができます。

早めの対応がもたらす効果

70代で補聴器を検討することは、決して遅すぎることではありません。むしろ、難聴が進行してから補聴器を使い始めるよりも、早い段階で使用を開始した方が、脳が音に慣れやすく、効果も高いとされています。聞こえの低下を感じたら、まずは耳鼻咽喉科を受診し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。補聴器が必要かどうかの判断だけでなく、難聴の原因が他の疾患にないかどうかの確認も重要です。

家族との話し合いの大切さ

補聴器の購入を検討する際は、家族と話し合うことも大切です。補聴器の費用、購入後のサポート体制、日常的なメンテナンスなど、家族の協力が必要な場面も出てきます。また、補聴器に慣れるまでのトレーニング期間には、家族の理解と励ましが大きな支えになります。

補聴器を選ぶ際は、現在の聴力だけでなく、将来の変化も考慮に入れることが大切です。聴力は年齢とともに徐々に低下していく可能性があります。将来的な聴力の変化に対応できる調整範囲を持った補聴器を選ぶことも一つの考え方です。また、認知機能の維持という観点からも、補聴器の使用は重要です。難聴と認知症の関連性が研究で示されている中、補聴器で聞こえを改善することは、認知機能の維持にも役立つと考えられています。

補聴器購入の費用と補助制度のまとめ

70代で補聴器を検討することは、終活の一環として非常に意義のある選択です。聞こえの改善は、家族や友人とのコミュニケーション、趣味や社会活動への参加を支え、生活の質を向上させます。

補聴器の費用は片耳10万円から30万円程度が一般的ですが、障害者手帳による補装具費支給制度、自治体独自の高齢者向け助成制度、医療費控除など、様々な補助制度を活用することで、経済的な負担を軽減することができます。特に自治体の助成制度は申請前に購入すると対象外となるため、必ず購入前に申請を行うことが重要です。

補聴器を購入する際は、認定補聴器専門店で認定補聴器技能者から購入し、購入後も定期的なメンテナンスと調整を受けることが大切です。また、補聴器に慣れるまでには約3ヶ月程度のトレーニング期間が必要で、家族のサポートも重要な要素となります。聞こえの低下を感じたら、まずは耳鼻咽喉科を受診し、専門家のアドバイスを受けることから始めてください。早めの対応が、より良い聞こえと豊かな人生につながります。

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