70代の終活において、訪問診療・在宅医療の契約・準備・手続きは、自分らしい最期を迎えるために欠かせない重要なステップです。訪問診療とは、医師が定期的に自宅を訪問して診察や処方を行う医療サービスであり、通院が困難になった場合でも住み慣れた環境で適切な医療を受け続けることができます。契約にあたっては、相談窓口への問い合わせから在宅医の選定、事前面談、必要書類の準備、契約締結、そして診療開始という一連の流れを踏む必要があります。
体力と判断力が十分に保たれている70代のうちに準備を始めることで、自分の意思を反映した医療体制を整えることが可能です。本記事では、訪問診療・在宅医療の基礎知識から具体的な契約手続き、費用の目安、リビングウィルや任意後見制度といった終活に関連する準備、さらに2026年度の診療報酬改定による影響まで、70代の方とそのご家族が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

70代の終活で訪問診療・在宅医療を考える意義
終活とは、人生の最期に向けて準備を行う活動のことです。財産の整理や遺言書の作成、葬儀の準備に加え、医療や介護に関する意思表示も終活の重要な柱となります。
70代が終活を始める最適な時期とされる理由は明確です。まず、体力と判断力がある程度保たれているため、書類の準備や各種契約を自分の意思で進めることができます。80代に入ると認知機能の変化により、こうした手続きを自力で行うことが難しくなる可能性があります。
また、家族と十分に話し合う時間を確保できる点も大きなメリットです。医療や介護の方針、財産の分配、葬儀の希望など、家族と時間をかけて共有し合意を形成しておくことで、いざという時の混乱を防ぐことができます。
在宅医療の仕組みや介護保険制度、後見制度など、高齢者を取り巻く制度は複雑です。余裕のあるうちに情報を収集し理解を深めておくことが、将来の安心につながります。特に医療・介護に関する準備は、病気や事故で突然判断力を失った場合に自分の希望する医療を受けられなくなるリスクを避けるために、極めて重要な取り組みです。
訪問診療と在宅医療の基礎知識
在宅医療とは、患者が自宅や施設など病院以外の生活の場で受ける医療サービスの総称です。在宅医療には訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問リハビリテーションなど複数のサービスが含まれており、これらを組み合わせて患者一人ひとりの状態に合った医療・介護体制を構築します。
訪問診療とは、医師が計画的かつ定期的に患者の自宅を訪問して行う診療のことです。一般的には月に2回程度、決まった日時に医師が自宅を訪れ、診察、検査、処方、療養指導などを行います。これに対して往診は、患者の急な体調変化に応じて臨時に医師が訪問するものであり、計画的・定期的な訪問診療とは性質が異なります。
訪問看護は、看護師が主治医の指示に基づいて患者の自宅を訪問し、病状の観察やバイタルチェック(体温・血圧・脈拍の測定)、点滴・注射などの医療処置、在宅酸素などの医療機器の管理、服薬管理、身体の清拭や入浴の介助などを行うサービスです。一方、訪問介護は介護福祉士やホームヘルパーが自宅を訪問して、入浴や排泄、食事のサポートといった身体介護と、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行います。訪問看護と訪問介護の最も大きな違いは「医療行為を行うかどうか」であり、訪問看護は看護師が医療行為を行えるのに対し、訪問介護は生活支援が中心で原則として医療行為は行いません。
訪問リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士が自宅を訪問して、身体機能の維持・回復のための訓練を行うサービスです。
在宅医療の主なサービス比較
| サービス | 担当職種 | 主な内容 | 医療行為 |
|---|---|---|---|
| 訪問診療 | 医師 | 定期的な診察・検査・処方 | あり |
| 往診 | 医師 | 緊急時の臨時訪問診察 | あり |
| 訪問看護 | 看護師 | 医療処置・健康管理・療養支援 | あり |
| 訪問介護 | 介護福祉士・ヘルパー | 身体介護・生活援助 | 原則なし |
| 訪問リハビリ | 理学療法士・作業療法士 | 身体機能の維持・回復訓練 | なし |
在宅医療では、医師、看護師、介護士、ケアマネジャー、薬剤師などが連携してチームを組み、患者の生活を多角的に支えます。
70代が訪問診療を受けるための条件
訪問診療を受けるための基本的な条件は、一人での通院が困難であることです。具体的には、病気や障害により自宅で療養中で寝たきりの状態にある方、認知症などにより自身での定期的な通院が難しい方、家族の付き添いによる通院介助が身体的・精神的に大きな負担となっている方、がんの末期など在宅での緩和ケアを希望している方、退院後の療養を自宅で行いたい方、自宅での看取りを希望されている方などが対象となります。
「外出が面倒だから」「通院に時間がかかるから」といった理由だけでは訪問診療の対象とはならず、あくまで医学的・身体的な理由で通院が困難であることが要件です。
訪問診療を行う医療機関から患者の自宅までの距離には、原則として半径16キロメートル以内という制限があります。ただし、やむを得ない事情がある場合はこの範囲を超えて訪問診療が行われることもあります。
年齢による制限は特になく、通院が困難な方であれば年齢を問わず利用できます。ただし、実態としては利用者の大多数は75歳以上の後期高齢者です。介護保険の認定を受けている必要はありませんが、訪問診療に伴う居宅療養管理指導は介護保険が適用されるサービスのため、介護保険の認定対象となる方(65歳以上または特定疾病のある40歳以上の方)でまだ認定を受けていない場合は、訪問診療の開始までに介護認定の申請を行っておくことが推奨されます。
訪問診療・在宅医療の契約から開始までの手続き
訪問診療を実際に始めるまでには、相談から契約、診療開始まで段階的な手続きを踏む必要があります。ここでは各ステップを順に解説します。
最初のステップは相談・問い合わせです。現在通院している病院の医療連携室・相談室、担当のケアマネジャー(介護支援専門員)、地域包括支援センター、訪問診療を行っている診療所・クリニック、市区町村の高齢者福祉課などが相談先となります。入院中の場合は、病院の医療ソーシャルワーカーに相談するのが最もスムーズです。医療ソーシャルワーカーは退院後の在宅医療の調整や訪問診療医の紹介を専門的に行っています。
次に在宅医(訪問診療医)の選定に進みます。かかりつけ医からの紹介を受ける方法、お住まいの地域の医師会のホームページで在宅医療対応の医療機関を検索する方法、市区町村のホームページに掲載されている医療機関情報を確認する方法、医療機関検索サイトで「訪問診療」対応の医療機関を検索する方法など、複数の探し方があります。在宅医を選ぶ際は自宅からの距離が近いこと(理想的には車で30分以内)が重要で、定期的な訪問診療だけでなく緊急時にも駆けつけてもらえる距離であることが望ましいです。
特に在宅療養支援診療所として届け出ている医療機関は、24時間連絡を受ける体制や24時間往診が可能な体制を整えていることが要件となっています。中でも機能強化型の在宅療養支援診療所は、在宅医療を担当する常勤医師が3人以上在籍し、緊急往診や看取りの実績が一定数以上ある、より手厚い体制が整った医療機関です。
在宅医が決まったら事前面談・説明が行われます。診療所の相談員や看護師が患者の自宅または入院先を訪問し、訪問診療の仕組みと内容、訪問頻度と訪問日時の決め方、緊急時の連絡方法と対応体制、費用と支払い方法、その他の在宅サービスとの連携について説明します。この面談では患者や家族からの質問や不安にも丁寧に対応してもらえるため、訪問診療で何ができて何ができないのかをしっかり理解しておきましょう。
続いて必要書類の準備です。一般的に必要となるのは、医療保険証(国民健康保険証や後期高齢者医療被保険者証)、介護保険証(介護認定を受けている場合)、各種医療証(特定医療費受給者証、自立支援医療受給者証、障害者医療証など該当するもの)、かかりつけ医からの診療情報提供書(紹介状)、お薬手帳、印鑑です。診療情報提供書にはこれまでの病歴、服用中の薬、アレルギーなどの情報が記載されており、在宅医が患者の状態を正確に把握するために重要な書類となります。現在通院中の医療機関に依頼して作成してもらいましょう。
書類が揃ったら契約手続きに進みます。契約時には訪問診療に関する同意書、個人情報の取り扱いに関する同意書、居宅療養管理指導に係る契約書(介護保険適用分)、重要事項説明書への同意といった書類にサインします。契約内容をよく確認し、不明な点は必ず質問して納得したうえで契約することが大切です。
契約完了後、担当医師と訪問日程が決定し、訪問診療が開始されます。一般的には月に2回の定期訪問が基本で、患者の状態に応じて訪問頻度が調整されます。定期訪問以外にも、体調が急変した場合は電話連絡により往診(臨時の訪問)を受けることも可能です。
訪問診療・在宅医療にかかる費用の目安
訪問診療の費用は通常の外来診療と同様に医療保険が適用され、患者が支払うのは医療費全体のうち自己負担分のみです。
年齢・所得別の自己負担割合
| 年齢区分 | 自己負担割合 |
|---|---|
| 70歳以上75歳未満(一般) | 2割 |
| 70歳以上75歳未満(現役並み所得) | 3割 |
| 75歳以上(一般) | 1割 |
| 75歳以上(一定以上所得) | 2割 |
| 75歳以上(現役並み所得) | 3割 |
月2回の定期訪問と24時間365日の往診対応体制に対する1か月あたりの標準的な自己負担額の目安は、1割負担の方で約6,000円から7,000円、2割負担の方で約12,000円から14,000円、3割負担の方で約19,000円から21,000円程度です。
ただし、これはあくまで基本的な訪問診療にかかる費用の目安です。胃ろうや中心静脈栄養、在宅酸素療法、人工呼吸器など特別な医療機器の管理が必要な場合は別途指導管理料がかかります。血液検査やレントゲン撮影などの検査を行った場合は検査料が、通常の診療時間外(夜間・休日)に診察を受けた場合は1回あたり2,000円から3,000円程度の時間外加算が発生します。
高額療養費制度を利用すれば、1か月の医療費の自己負担額に上限が設けられます。1割から2割負担の方の場合、月額18,000円が上限となるため、訪問診療の費用が高額になった場合でも上限額を超える分は払い戻しを受けることができます。
訪問看護や訪問介護など介護保険が適用されるサービスを併用する場合は、介護保険の自己負担(原則1割)も別途発生します。ただし介護保険にも高額介護サービス費制度があり、一定額を超えた分は払い戻されます。費用面で不安がある場合は、医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーに相談することで、利用可能な公的助成制度や各種減免制度について案内を受けることができます。
終活で重要な医療の意思表示と準備
70代の終活において特に重要なのが、将来の医療に関する自分の意思を明確にし、文書として残しておくことです。代表的な意思表示の方法として、リビングウィル、エンディングノート、ACPの3つがあります。
リビングウィルで延命治療の希望を明示する方法
リビングウィル(事前指示書)とは、自分が判断力を失った場合に備えて、延命治療や終末期医療に関する希望をあらかじめ文書にまとめたものです。「生前の意思表示書」とも呼ばれます。
記載する主な内容としては、人工呼吸器の装着や心臓マッサージなどの延命治療を希望するかどうか、経鼻チューブや胃ろうなどの人工栄養を希望するかどうか、痛みを和らげる緩和ケアを優先してほしいかどうか、臓器提供や献体についての意思、自分に代わって医療上の判断を行う代理人(代理意思決定者)の指定などがあります。
リビングウィルには法的拘束力はありませんが、医療現場では患者の意思を尊重する指針として重視されています。公益財団法人日本尊厳死協会が発行する書式を利用することも可能です。一度作成した後も体調や気持ちの変化に応じていつでも修正・撤回することができるため、定期的に見直して最新の意思を反映させておくことが大切です。
エンディングノートで幅広い情報を記録する
エンディングノートは、リビングウィルよりも幅広い内容を記録するノートです。医療や介護に関する希望に加え、個人情報(氏名、生年月日、住所、連絡先など)、身分証明書や保険証の保管場所、財産のリスト(預貯金、不動産、有価証券、生命保険など)、かかりつけ医の連絡先と現在の病状・服薬情報、介護が必要になった場合の希望(誰に、どこで介護してほしいか)、延命治療・緩和ケアに関する希望、葬儀やお墓に関する希望、遺言書の有無と保管場所、家族や友人へのメッセージなどを幅広く記載します。
エンディングノートにも法的拘束力はありませんが、家族が判断に迷ったときの重要な参考資料となります。書店や文具店で市販されているほか、自治体が無料で配布していることもあります。
ACP(人生会議)で家族や医療者と意思を共有する
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、将来の医療やケアについて本人、家族、医療・介護の専門職が一緒に話し合い、本人の価値観や希望を共有するプロセスのことです。厚生労働省では「人生会議」という愛称で普及を進めています。
ACPは一度きりの話し合いではなく、体調の変化や生活環境の変化に応じて何度でも繰り返し行うことが重要です。話し合うべき主な内容としては、自分にとって大切にしていることは何か、どのような医療やケアを受けたいか・受けたくないか、自分が判断できなくなった時に誰に判断を委ねたいか、どこで最期を迎えたいか(自宅、病院、施設など)などがあります。ACPの結果は文書に記録し、家族や医療関係者と共有しておくことが大切です。
在宅での看取りに向けた準備と手続き
在宅医療を選択する方の中には、最期を自宅で迎えたいと希望される方も少なくありません。在宅での看取りを実現するために最も大切なことは、本人と家族の全員が「自宅での最期」について理解し、それを望んでいることです。本人が自宅での看取りを希望していても、家族が不安や負担を感じている場合は十分な話し合いが必要です。
在宅看取りを実現するための条件としては、本人と家族の意思が一致していること、24時間対応の訪問診療体制(在宅療養支援診療所など)が整っていること、訪問看護ステーションとの連携が確保されていること、ケアマネジャーを中心とした介護チームが組まれていること、緊急時の連絡体制が確立されていること、必要な介護用品や医療機器が準備されていることが求められます。
準備としてはまず家族間での話し合いが不可欠です。本人の希望を確認し家族全員で共有するとともに、看取りの過程で起こりうる身体の変化や介護の負担について、医師や看護師から事前に説明を受けておきましょう。
次に医療・介護チームの編成です。在宅医(訪問診療医)、訪問看護師、ケアマネジャー、訪問介護士、薬剤師など必要な専門職をチームとして確保し、特に24時間体制で相談や往診に対応できる医師を確保することが重要です。
住環境の整備も欠かせません。介護用ベッドの設置、手すりの取り付け、段差の解消など、自宅での療養に適した環境を整えるとともに、必要に応じて在宅酸素や吸引器などの医療機器を準備します。
看取り後の手続きについても事前に把握しておくことが大切です。自宅で亡くなった場合はまず主治医(訪問診療医)に連絡し、主治医が死亡を確認して死亡診断書を作成します。主治医が診ている患者の場合は警察に連絡する必要はありませんが、主治医が死亡を確認するまでは遺体を動かさないようにしましょう。
在宅看取りの過程では家族の精神的な負担も大きくなるため、訪問看護師やケアマネジャー、地域の相談窓口を活用して家族自身のケアも忘れないことが大切です。
任意後見制度で認知症に備える契約と手続き
70代の終活で忘れてはならないのが、将来の認知症に備えた法的な準備です。認知症になると判断能力が低下し、預貯金の引き出し、各種サービスの契約や解約、不動産の売買などが自分ではできなくなります。こうした事態に備えるための制度が任意後見制度です。
任意後見制度は、判断能力が十分にあるうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて自分が信頼できる人を任意後見人として選び、その人にどのような支援をしてもらうかを契約で定めておく制度です。法定後見制度(すでに判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任する制度)との最大の違いは、自分で後見人を選べるという点です。法定後見制度では見ず知らずの専門職(弁護士や司法書士など)が後見人に選ばれることもありますが、任意後見制度であれば家族や信頼できる友人など自分が選んだ人に将来の支援を委ねることができます。
任意後見契約の手続きは段階的に進めます。まず任意後見人になってくれる人を決めます。配偶者や子ども、きょうだい、親族、信頼できる友人、弁護士・司法書士などの専門職、社会福祉法人やNPO法人などが候補です。次に委任する内容を決めます。財産の管理(預貯金の管理、年金の受け取り、各種支払いなど)、不動産の管理・処分、介護サービスの契約・変更・解約、医療に関する手続き、各種行政手続きなどが一般的な委任事項です。
その後、公証役場で任意後見契約を締結します。任意後見契約は必ず公正証書で作成しなければならず、本人と任意後見受任者が一緒に公証役場を訪れ、公証人の立ち会いのもとで契約を結びます。本人が外出困難な場合は公証人に自宅や入院先に来てもらうことも可能です。契約の内容は法務局に登記されます。
重要な点として、任意後見契約は締結しただけではすぐに効力は発生しません。実際に本人の判断能力が低下した段階で家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、監督人が選任されて初めて契約が発効し、任意後見人が本人に代わって契約で定められた事務を行えるようになります。認知症になってからでは任意後見契約を結ぶことができないため、判断能力が十分にある70代のうちに早めに準備を始めることが重要です。
在宅医療を支える介護保険の活用と申請手続き
在宅医療を利用する際には、介護保険制度を上手に活用することが重要です。介護保険サービスを利用するにはまず要介護認定(または要支援認定)を受ける必要があります。
申請は市区町村の介護保険課または地域包括支援センターの窓口で行います。介護保険被保険者証(65歳以上の方に交付されているもの)を持参して申請書を提出すると、市区町村の調査員が自宅を訪問して心身の状態を調査する認定調査が行われます。同時に主治医に主治医意見書の作成を依頼し、認定調査の結果と主治医意見書をもとに審査会が要介護度を判定します。要介護度は要支援1・2、要介護1から5の7段階に分かれ、要介護度に応じて利用できるサービスの量が決まります。申請から認定まで通常1か月程度かかりますが、申請日にさかのぼってサービスを利用できるため、必要に応じて認定前からサービスを開始することも可能です。
要介護認定を受けたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)にケアプラン(介護サービス計画)の作成を依頼します。ケアマネジャーは利用者や家族と面談し、生活の状況や困りごとを把握したうえで適切なサービスの組み合わせを提案します。訪問診療を利用する場合は在宅医との連携も考慮したケアプランが作成されます。
在宅医療に関連する主な介護保険サービスとしては、居宅療養管理指導(医師や歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などが自宅を訪問して療養上の指導や管理を行うサービス)があり、訪問診療を利用するとこのサービスも併せて利用することが一般的です。そのほか、訪問看護(医療保険と介護保険のどちらが適用されるかは疾病の種類や患者の状態により異なります)、訪問介護、訪問リハビリテーション、福祉用具の貸与・購入(介護用ベッド、車いす、歩行器、手すりなどのレンタルまたは購入)、住宅改修(手すりの取り付けや段差の解消、滑り防止のための床材変更など自宅のバリアフリー化に関する改修で、上限は原則20万円、自己負担は1割から3割)などがあります。
訪問診療を始める前に準備しておくべきこと
訪問診療をスムーズに始めるためには、事前の情報整理と環境準備が欠かせません。ここでは具体的な準備項目を整理します。
医療に関する情報の整理として、現在かかっている病気の名前と経過、服用中の薬の一覧(お薬手帳を最新の状態にしておくこと)、アレルギーの有無と内容、過去の手術歴や入院歴、かかりつけ医の連絡先を一か所にまとめておくと、訪問診療医への情報共有がスムーズになります。
保険証・各種証明書の確認も重要です。医療保険証(国民健康保険証、後期高齢者医療被保険者証)の有効期限、介護保険証がある場合は要介護度と有効期限、限度額適用認定証(高額療養費制度を利用する場合に必要)の有無、各種医療費助成の受給者証の有無を事前に確認しておきましょう。
緊急連絡先の整理として、家族・親族の連絡先リスト、かかりつけ医・訪問診療医の連絡先、ケアマネジャーの連絡先、訪問看護ステーションの連絡先、地域包括支援センターの連絡先を一覧にまとめておくことが、緊急時の迅速な対応につながります。
自宅の環境確認も忘れてはなりません。医師が訪問診療を行うためのスペースが確保できるか、ベッドの位置や診察に必要な電源などの環境が整っているか、医療機器の設置が必要な場合は設置場所を確保できるかを確認しましょう。
そして家族間の情報共有として、訪問診療の契約内容を家族間で共有し、緊急時の対応方法を家族全員で確認し、介護の分担について話し合っておくことが、円滑な在宅医療の運営に不可欠です。
2026年度診療報酬改定と在宅医療への影響
2026年度には診療報酬の改定が予定されており、在宅医療にも大きな影響が見込まれています。
厚生労働省は、高齢者施設への訪問診療について「適正化」を図る方針を示しています。これは、一部の医療機関が高齢者施設に対して必要性の薄い訪問診療を過剰に行い高い報酬を得ているという問題への対応です。利益率が高すぎる訪問看護の報酬を抑制する方向での見直しも検討されています。
一方で、増加する高齢者の救急搬送への対応として、かかりつけ医機能の評価を強化することも議論されています。かかりつけ医が日頃から患者の状態を把握し、緊急時にも適切な対応ができる体制を整えることが求められています。
これらの改定が実施された場合、訪問診療の費用や提供体制にも変化が生じる可能性があります。最新の情報はかかりつけ医やケアマネジャーに確認するようにしましょう。
訪問診療・在宅医療についてよくある疑問
訪問診療や在宅医療を検討する70代の方やご家族が抱きやすい疑問について解説します。
訪問診療は途中でやめることができるかという点については、契約は途中で解約することが可能です。体調が回復して通院が可能になった場合、入院が必要になった場合、他の医療機関に変更したい場合などに契約を終了できます。解約の手続きについては契約時に確認しておきましょう。
訪問診療と通院の併用については、訪問診療を受けながら専門外来など特定の診療科への通院を続けることは可能です。ただし同じ医療機関で訪問診療と外来診療を同時に受けることは原則としてできません。訪問診療医と通院先の医師が情報を共有し連携して治療を進めることが重要です。
一人暮らしでも訪問診療を受けられるかという点については、一人暮らしの方でも利用は可能です。ただし緊急時の連絡体制や日常的な見守りの体制を整えておく必要があり、訪問看護や訪問介護、配食サービスなどを組み合わせて在宅生活を支える体制を構築することが大切です。
訪問診療の医師の変更については、担当医師との相性が合わない場合やより専門的な対応が必要になった場合などに変更は可能です。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談して新しい訪問診療医を紹介してもらいましょう。
夜間や休日の急変時については、在宅療養支援診療所と契約している場合は24時間連絡を受ける体制が整っています。体調が急変した場合はまず訪問診療医に電話で連絡し、状況に応じて電話での指示、臨時の往診、救急搬送の手配などの対応が行われます。









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