60代の終活で知るべき健康保険の選び方|任意継続と国保を徹底比較

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60代の終活において健康保険の選び方は、老後の家計を左右する重要なテーマです。会社を退職した後に選べる健康保険は、主に任意継続被保険者制度国民健康保険の2つがあり、どちらを選ぶかによって年間で数十万円もの保険料の差が生じることがあります。退職前の年収や扶養家族の有無、退職後の収入見込みなどによって有利な選択肢は異なるため、両方の保険料を具体的に計算して比較することが大切です。

本記事では、60代で定年退職を迎える方や、すでに退職された方に向けて、任意継続と国民健康保険それぞれの特徴やメリット・デメリット、保険料の計算方法を詳しく解説します。さらに、家族の被扶養者になる方法や、国民健康保険の軽減・減免制度、75歳以降の後期高齢者医療制度についても触れながら、ご自身の状況に合った最適な健康保険を選ぶためのポイントをお伝えします。終活の一環として、健康保険の選択を見直す際の参考にしてください。

目次

60代が退職後に選べる健康保険の選択肢とは

日本は国民皆保険制度を採用しているため、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入する義務があります。会社を退職すると、それまで加入していた健康保険の資格を失いますが、無保険の状態でいることはできません。退職後の健康保険には主に4つの選択肢があり、それぞれに特徴があります。

健康保険任意継続制度は、退職前に加入していた会社の健康保険を、退職後も最長2年間継続できる制度です。退職前と同じ保険に加入し続けられるため、給付内容やサービスを引き続き利用できるメリットがあります。

国民健康保険は、市区町村が運営する保険制度で、自営業者やフリーランス、退職者など、会社の健康保険に加入していない方が対象となります。前年の所得に応じて保険料が計算されるため、収入が減れば翌年の保険料も下がる仕組みになっています。

家族の健康保険の被扶養者になる方法もあります。配偶者や子どもが会社員として健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば、その被扶養者として健康保険に加入することができます。被扶養者になれば保険料の自己負担がないため、最も経済的な選択肢といえます。

特例退職被保険者制度は、一部の健康保険組合が設けている制度で、長年その組合に加入していた方が退職後も引き続き加入できるというものです。ただし、この制度を設けている健康保険組合は限られています。

これらの選択肢のうち、どれを選んでも70歳になるまでは医療費の自己負担は原則3割で変わりません。そのため、選択のポイントは主に毎月納める保険料の金額となります。

任意継続被保険者制度の特徴と仕組み

任意継続被保険者制度とは、健康保険の被用者保険の被保険者が退職した後に、個人として引き続き被用者保険に加入できる制度です。退職前と同じ健康保険に、最長2年間加入し続けることができます。在職中とほぼ同じ保険給付を受けられるため、退職後も安心して医療を受けることができます。

任意継続の加入条件と手続き期限

任意継続被保険者になるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、資格喪失日の前日(退職日)までに、継続して2か月以上の被保険者期間があることが必要です。この期間要件を満たしていない場合は、任意継続に加入することはできません。

手続きについては、資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出しなければなりません。この20日という期限は非常に厳格で、1日でも遅れると加入できなくなりますので、退職前から準備を進めておくことが重要です。申出書の提出先は、退職前に加入していた健康保険組合または協会けんぽの都道府県支部となります。

任意継続の保険料計算方法

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額をもとに計算されます。在職中は会社が保険料の半分を負担してくれていましたが、任意継続では会社負担がなくなり、保険料の全額を自己負担することになります。つまり、単純計算では退職時の給与から天引きされていた健康保険料の約2倍の金額を支払うことになります。

ただし、任意継続の保険料を計算する際の標準報酬月額には上限が設けられています。協会けんぽの場合、2025年度(令和7年度)の上限は32万円となっています。これは、令和6年9月30日時点における全ての協会けんぽの被保険者の標準報酬月額の平均額が312,550円であったことに基づいています。

この上限があることで、退職前に高い給与を受け取っていた方ほど、任意継続を選択するメリットが大きくなります。例えば、退職時の標準報酬月額が50万円であった場合でも、保険料の計算は上限の32万円をもとに行われるため、実際の収入に対して割安な保険料で済むことになります。

任意継続のメリット

任意継続を選択する主なメリットとして、まず扶養家族の保険料負担がないことが挙げられます。任意継続では、在職中と同様に家族を被扶養者として加入させることができます。被扶養者が何人いても追加の保険料は発生しません。一方、国民健康保険には扶養という概念がないため、家族全員分の保険料を支払う必要があります。扶養する家族が多い方にとって、この点は非常に大きなメリットとなります。

次に、退職前と同様の給付やサービスを受けられることもメリットです。任意継続では、在職中とほぼ同じ保険給付が受けられます。また、健康保険組合によっては、保養所の利用や健康診断の補助、付加給付など、充実したサービスを引き続き利用できる場合があります。付加給付とは、高額療養費の上乗せ給付などのことで、自己負担をさらに軽減してくれる制度です。

また、2022年1月の法改正により、任意継続は任意の時点で脱退できるようになりました。以前は原則として2年間は脱退できませんでしたが、現在は国民健康保険に切り替えたい場合や、家族の扶養に入りたい場合など、自己都合で脱退することができます。この柔軟性は、退職後の状況変化に対応しやすいという点で大きなメリットです。

さらに、保険料の前納割引があることもメリットのひとつです。保険料を6か月分または1年分まとめて前納すると、割引が適用されます。毎月支払うよりもお得になりますので、資金に余裕がある方は検討する価値があります。

任意継続のデメリット

一方で、任意継続にはいくつかのデメリットもあります。まず、保険料が全額自己負担になることです。在職中は会社が保険料の半分を負担してくれていましたが、退職後はすべて自己負担となります。そのため、在職中の約2倍の保険料を支払うことになり、負担が大きく感じられる方もいるでしょう。

次に、2年間保険料が変わらないことです。任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額をもとに決定され、収入の有無に関わらず2年間変わりません。退職後に収入が大幅に減少する場合でも、保険料は高いままです。一方、国民健康保険は前年の所得をもとに保険料が計算されるため、収入が減れば翌年の保険料も下がります。この点は、退職後に収入が大きく減少する方にとってはデメリットとなります。

また、加入期間が2年間に限定されていることもデメリットです。任意継続は最長2年間しか利用できません。2年経過後は、国民健康保険に加入するか、家族の被扶養者になるか、別の選択をする必要があります。

さらに、保険料を滞納すると資格を喪失することにも注意が必要です。任意継続の保険料を滞納すると、被保険者の資格を失います。一度資格を喪失すると、再び任意継続に加入することはできません。

任意継続における傷病手当金について

任意継続被保険者には、原則として傷病手当金と出産手当金は支給されません。これは国民健康保険と同様です。

ただし、退職前から傷病手当金を受給していた場合や、退職時点で受給の条件を満たしていた場合は、任意継続に加入しても継続して傷病手当金を受け取ることができます。この継続給付を受けるためには、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、かつ退職時に傷病手当金を受けているか受ける条件を満たしていることが必要です。

国民健康保険の特徴と仕組み

国民健康保険とは、市区町村が運営する公的医療保険制度です。自営業者、フリーランス、農林水産業従事者、退職者など、会社の健康保険に加入していない方が対象となります。日本国内に住所があれば、外国人の方も加入できます。国民皆保険制度の基盤となる重要な制度であり、会社を退職した方の多くが加入することになります。

国民健康保険の加入手続きと必要書類

会社を退職して国民健康保険に加入する場合は、退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で手続きを行う必要があります。届け出が遅れても、保険料は国民健康保険の資格が発生した日(退職日の翌日)までさかのぼって支払わなければなりません。また、届け出前に医療機関を受診した場合、医療費は原則として全額自己負担となりますので、できるだけ早く手続きを済ませることが重要です。

必要書類は、健康保険の資格喪失証明書、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)、マイナンバーが確認できる書類などです。市区町村によって必要書類が異なる場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

国民健康保険料の計算方法

国民健康保険料は、前年の1月から12月の所得、加入者数、年齢をもとに計算されます。保険料は「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分」の3つで構成されています。

医療分と後期高齢者支援金分は、国民健康保険に加入しているすべての方が対象です。介護分は、40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)のみが対象となります。65歳以上の方は、介護保険料を国民健康保険とは別に支払います。

保険料の算出には、所得割、均等割、平等割の3つの方式が用いられます。所得割は、前年の所得に応じて計算される部分です。計算式は「(前年の総所得金額 – 基礎控除43万円)× 所得割率」となります。均等割は、加入者1人あたりにかかる定額の部分です。平等割は、1世帯あたりにかかる定額の部分です。これらを合算したものが年間の保険料となります。

所得割率や均等割額は自治体によって異なります。そのため、同じ所得でも住んでいる地域によって保険料が変わることがあります。

60代の国民健康保険料の目安

65歳以上で年金収入が200万円の場合、国民健康保険料は年間約12万円程度となります。年金収入が100万円の場合は、年間約6.6万円程度です。ただし、これらはあくまで目安であり、お住まいの市区町村や世帯構成によって異なります。

例えば、65歳以上の夫婦2人世帯で、年金収入が合計240万円の場合、ある自治体では所得割額が約6.3万円、均等割額が約5.1万円(2割軽減後)となり、年間の保険料は約11.4万円となるケースがあります。

退職直後の国民健康保険料が高くなる理由

退職して国民健康保険に加入した場合、1年目の保険料が高くなることがよくあります。これは、国民健康保険料が前年の所得をもとに計算されるためです。

例えば、3月末に退職した場合、その年の国民健康保険料は前年(退職前の1月〜12月)の所得をもとに計算されます。在職中は高い給与を受け取っていたため、退職後の国民健康保険料も高くなるのです。

しかし、退職後に収入が減少すれば、翌年の保険料は下がります。そのため、2年目以降は国民健康保険の方が任意継続よりも保険料が安くなるケースが多いです。この点は、任意継続と国民健康保険を比較する際の重要なポイントとなります。

国民健康保険のメリット

国民健康保険を選択する主なメリットとして、まず収入が減れば保険料も下がることが挙げられます。国民健康保険料は前年の所得をもとに毎年計算し直されます。退職後に収入が減少すれば、翌年の保険料も下がります。一方、任意継続は2年間保険料が変わらないため、収入が減っても保険料は高いままです。退職後に収入が大幅に減少する方にとって、この点は大きなメリットとなります。

次に、軽減・減免制度が充実していることもメリットです。国民健康保険には、所得が低い世帯向けの軽減制度(7割・5割・2割軽減)や、失業・所得減少時の減免制度があります。これらを活用すれば、保険料負担を大幅に軽減できる可能性があります。特に非自発的失業者の軽減制度は、倒産や解雇で離職した方にとって非常に有利な制度です。

国民健康保険のデメリット

一方で、国民健康保険にもデメリットがあります。まず、扶養の概念がないことです。国民健康保険では、加入者全員に保険料がかかります。家族を扶養に入れることができないため、家族が多いほど保険料も高くなります。

次に、退職1年目は保険料が高くなりやすいことです。前年の所得が高ければ、退職後も高い保険料を支払うことになります。

また、付加給付がないこともデメリットです。任意継続では健康保険組合によって付加給付(高額療養費の上乗せ給付など)がある場合がありますが、国民健康保険にはありません。

国民健康保険の軽減・減免制度を活用する方法

国民健康保険には、保険料の負担を軽減するためのさまざまな制度があります。特に60代で退職される方は、これらの制度を活用できる可能性がありますので、必ず確認してください。

所得による軽減制度(7割・5割・2割軽減)

世帯の所得が国の定める基準を下回る場合、保険料の均等割額と平等割額が7割、5割、または2割軽減されます。この軽減は申請不要で、世帯全員の所得が申告されていれば自動的に適用されます。所得の申告を忘れていると軽減が適用されないことがありますので、確定申告や住民税の申告は必ず行うようにしましょう。

非自発的失業者の軽減制度

倒産・解雇・雇い止めなど、本人の意思によらない理由で離職した方(特定受給資格者、特定理由離職者)は、前年の給与所得を30%として算定する特例が適用されます。これにより、保険料が大幅に軽減されます。

対象となるのは、離職時に65歳未満の方で、雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当する方です。雇用保険受給資格者証の離職理由コードが「11、12、21、22、31、32」(特定受給資格者)または「23、33、34」(特定理由離職者)の方が対象となります。

この軽減は、離職日の翌日の属する月から翌年度末まで適用されます。雇用保険受給資格者証を持参して、市区町村の窓口で申請してください。

所得減少による減免制度

失業、廃業、営業不振などで前年より所得が30%以上減少し、保険料の支払いが困難な場合は、申請により所得割額の減免を受けられることがあります。申請には、所得減少を証明できる書類(給与明細、確定申告書など)が必要です。減免の条件や内容は自治体によって異なりますので、お住まいの市区町村の窓口に相談してください。

減免制度を活用する上での重要なポイント

国民健康保険の減免制度は、申請しなければ適用されません。役所から自動的に案内が届くわけではないため、自分から手続きを行う必要があります。減免制度を知らずに高い保険料を払い続けている方も少なくありませんので、該当する可能性がある方は必ず確認しましょう。

家族の健康保険の被扶養者になる方法と条件

退職後の健康保険の選択肢として、配偶者や子どもの健康保険の被扶養者になる方法もあります。被扶養者になれば、保険料の自己負担はありません。保険料を最も節約できる方法ですが、一定の条件を満たす必要があります。

60歳以上の方が被扶養者になるための条件

60歳以上の方が被扶養者になるためには、まず年間収入が180万円未満であることが必要です。60歳未満の方は130万円未満が基準ですが、60歳以上の方や障害者の方は180万円未満に緩和されています。

次に、被保険者(扶養してくれる家族)の年収の2分の1未満であることが必要です。ただし、被保険者の年収が360万円未満の場合は、この条件が厳しくなります。例えば、被保険者の年収が300万円の場合、被扶養者になるには年収150万円未満である必要があります。

また、「収入」には給与だけでなく、年金、不動産収入、事業収入、雇用保険の給付金、傷病手当金、出産手当金なども含まれます。非課税収入である遺族年金や障害年金、通勤交通費も収入としてカウントされますので注意が必要です。

収入要件は年間収入だけでなく、月額でも判断されます。60歳以上の場合、給与収入がある方は月額15万円未満、雇用保険等の受給者は日額5,000円未満であることが求められます。

被扶養者になるメリットと注意点

最大のメリットは、保険料の自己負担がないことです。また、医療費の自己負担割合も、通常の被保険者と同じく3割(70歳以上は2割または3割)です。

注意点として、年金を受給している60代の方は、年金収入も「収入」に含まれるため、被扶養者の条件を満たすかどうか慎重に確認する必要があります。特に、退職後に年金を受け取り始める方は、年金収入を含めた年間収入が180万円を超えないか確認してください。

また、被扶養者として認められるかどうかの最終判断は、各健康保険組合が行います。組合によって審査基準が異なる場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

任意継続と国民健康保険の比較と選び方のポイント

任意継続と国民健康保険、どちらを選ぶべきかは、個人の状況によって異なります。ここでは、両者を比較して、選び方のポイントを整理します。

任意継続と国民健康保険の比較表

項目任意継続国民健康保険
加入期間最長2年間制限なし
保険料の計算基準退職時の標準報酬月額(上限あり)前年の所得
保険料の変動2年間変わらない毎年所得に応じて変動
扶養家族の保険料不要加入者全員に必要
付加給付健康保険組合によってはありなし
軽減・減免制度なしあり
手続き期限退職日から20日以内退職日から14日以内

任意継続が向いている方

退職前の年収が高かった方は、任意継続の方が有利になる傾向があります。概ね年収500万円以上であった方は、標準報酬月額の上限の恩恵を受けられるため、任意継続を選択するメリットが大きくなります。

また、扶養する家族が多い方にも任意継続がおすすめです。任意継続では被扶養者の保険料がかからないため、家族が多いほど国民健康保険との差が大きくなります。

さらに、健康保険組合の付加給付や健康診断補助などを引き続き利用したい方、2年間の保険料が一定であることを重視する方にも任意継続が向いています。

国民健康保険が向いている方

退職前の年収がそれほど高くなかった方は、国民健康保険の方が安くなる傾向があります。概ね年収400万円以下であった方は、国民健康保険を検討する価値があります。

単身者の方にも国民健康保険がおすすめです。扶養家族がいなければ、任意継続の扶養メリットを活かせないためです。

また、退職後に収入が大幅に減少する方は、国民健康保険の方が有利になりやすいです。2年目以降の保険料が下がるため、2年間のトータルコストで見ると国民健康保険の方が安くなるケースがあります。

非自発的失業者の軽減制度の対象となる方も、国民健康保険が有利です。給与所得を30%として算定する特例により、保険料が大幅に軽減されます。

両方の保険料を具体的に比較する方法

どちらが得かを正確に判断するには、両方の保険料を具体的に計算して比較することが重要です。

任意継続の保険料は、退職前に加入していた健康保険組合や協会けんぽに問い合わせれば、正確な金額を教えてもらえます。退職前に必ず確認しておきましょう。

国民健康保険料は、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせるか、自治体のホームページに掲載されているシミュレーションツールを利用して試算できます。前年の所得や世帯構成を入力すれば、概算の保険料を知ることができます。

どちらの保険料も確認した上で、2年間のトータルコストを比較して判断することをおすすめします。任意継続は2年間保険料が変わりませんが、国民健康保険は1年目と2年目で保険料が変わる可能性があります。退職後に収入が減れば2年目の保険料は下がりますので、この点も考慮に入れてください。

75歳以降の後期高齢者医療制度について知っておくべきこと

60代で退職される方にとって、75歳以降の医療制度についても知っておくことは重要です。将来の見通しを立てる上で、後期高齢者医療制度の仕組みを理解しておきましょう。

後期高齢者医療制度の概要

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の方を対象とした医療制度です。65歳以上で一定の障害がある方も対象となります。75歳になると、それまで加入していた健康保険(国民健康保険や任意継続など)から自動的に後期高齢者医療制度に移行します。

手続きは基本的に不要で、75歳の誕生月の前月に、後期高齢者医療広域連合から保険証(または資格確認書)が送付されます。

後期高齢者医療制度の保険料

後期高齢者医療制度の保険料は、「均等割額」と「所得割額」の合計で計算されます。保険料は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が2年ごとに決定するため、お住まいの地域によって異なります。

保険料の徴収方法は、年金支給額が年間18万円以上で、介護保険料と後期高齢者医療保険料の合算額が年金支給額の2分の1以下の方は、年金から天引きされる「特別徴収」となります。それ以外の方は、納付書や口座振替で支払う「普通徴収」となります。

被扶養者がいる場合の注意点

75歳になって後期高齢者医療制度に移行すると、それまで健康保険の被扶養者だった75歳未満の家族は、健康保険の資格を失います。そのため、配偶者など被扶養者だった方は、国民健康保険に加入するなど、別の手続きが必要になります。

なお、被保険者が後期高齢者医療制度に移行したことにより被扶養者が国民健康保険に加入する場合、一定の条件を満たせば保険料の軽減措置を受けられます。

60代の終活における健康保険の見直しポイント

60代は、人生の大きな転換期です。定年退職を迎え、収入源が給与から年金へと変わり、生活スタイルも大きく変化します。この時期に、健康保険を含めた「お金の使い方」を見直すことは、終活の重要な一歩となります。

生命保険や医療保険の見直しも検討する

60代からは、若い頃とは異なるリスクに備える必要があります。住宅ローンが終わったり、子どもが独立したりして、死亡保障の必要性が低下する方も多いでしょう。一方で、がんをはじめとする病気のリスクは高まります。60代は、日本人のがん罹患率が急上昇する時期でもあります。

そのため、死亡保障を減らして医療保険や介護保険を充実させるなど、保障内容の見直しを検討する価値があります。

注意点として、バブル期など金利が高かった時代に契約した保険は、非常に高い予定利率が適用されていることがあります。安易に解約や転換をすると、この有利な条件を失ってしまうことになりますので、慎重に判断してください。

老後の医療費への備え

老後の医療費は、高額になる可能性があります。入院や手術が必要になった場合、高額療養費制度により自己負担には上限がありますが、それでも一定の出費は避けられません。また、先進医療や差額ベッド代など、保険適用外の費用もかかる可能性があります。

健康保険の選択と合わせて、老後の医療費に備えた貯蓄や、必要に応じた民間の医療保険への加入も検討しましょう。

退職時の健康保険選びの具体的な手順

最後に、退職時に健康保険を選ぶ際の具体的な手順をまとめます。

選択肢を確認する

まず、自分が選択できる健康保険の種類を確認します。任意継続は、退職前に2か月以上の被保険者期間があれば加入可能です。国民健康保険は、誰でも加入可能です。家族の被扶養者になるには、収入要件(60歳以上は180万円未満)などを満たす必要があります。特例退職被保険者制度は、加入していた健康保険組合に制度があれば利用可能です。

各選択肢の保険料を調べる

それぞれの保険料を具体的に確認します。任意継続の保険料は、退職前に健康保険組合や協会けんぽに問い合わせてください。国民健康保険料は、市区町村の窓口に問い合わせるか、自治体のホームページでシミュレーションできます。家族の被扶養者になる場合は、保険料はかかりません。

2年間のトータルコストを比較する

任意継続は最長2年間加入できます。国民健康保険は、1年目と2年目で保険料が変わる可能性があります(収入が減れば2年目は下がる)。2年間のトータルコストを計算して比較しましょう。

保険料以外の要素も考慮する

保険料だけでなく、扶養家族の有無、付加給付の有無、軽減・減免制度の対象となるか、将来の収入見込みなども考慮して判断します。扶養家族が多ければ任意継続が有利になります。健康保険組合に充実した付加給付があれば任意継続のメリットが大きくなります。非自発的失業者の軽減など、国民健康保険の減免制度を利用できる場合は国保が有利になります。退職後に収入が大幅に減る場合は、2年目以降の国保保険料が下がる可能性があります。

期限内に手続きを行う

決断したら、期限内に手続きを行います。任意継続は退職日から20日以内、国民健康保険は退職日から14日以内が期限です。期限を過ぎると手続きができなくなったり、遡って保険料を支払う必要が生じたりしますので、早めに行動することが大切です。

まとめ

60代の退職後の健康保険選びは、終活の中でも重要なテーマのひとつです。任意継続と国民健康保険にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが有利かは個人の状況によって異なります。

大切なのは、両方の保険料を具体的に比較し、自分の状況に合った選択をすることです。扶養家族の有無、退職前の年収、退職後の収入見込みなどを考慮して、2年間のトータルコストを計算しましょう。

また、国民健康保険の軽減・減免制度は見落とされがちですが、該当する方には大きなメリットがあります。非自発的失業者の軽減制度など、自分が利用できる制度がないか、必ず確認してください。

健康保険の選択は、老後の家計に直結する重要な決断です。退職前から情報収集を始め、余裕を持って準備を進めてください。

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