終活で押さえたい株式相続の手続き|証券会社での名義変更と必要書類を解説

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終活において株式の相続対策は、残されるご家族の負担を大きく左右する重要なテーマです。株式の相続手続きでは、証券会社への連絡から名義変更の完了まで、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書などの必要書類を揃え、おおむね2週間から4週間程度の期間を要します。株式は預貯金と異なり価格変動があり、複数の証券会社に分散して保有されていることも多いため、生前の整理と情報共有が円滑な相続の鍵となります。

本記事では、終活の観点から株式の相続手続きについて、証券会社での名義変更の具体的な流れ、必要書類の詳細、上場株式と非上場株式の違い、相続税の評価方法まで包括的に解説します。遺言書がある場合とない場合で必要書類が大きく異なること、特定口座とNISA口座の相続時の取り扱い、配当金の受取方法など、実務で押さえておくべきポイントを詳しくお伝えします。終活で株式資産の整理を検討されている方、実際に相続手続きを進める必要がある方の両方にお役立ていただける内容となっています。

目次

終活で株式の整理が必要な理由とは

終活における株式資産の整理は、相続発生後の手続きをスムーズに進めるために欠かせない準備です。株式や投資信託などの有価証券は、現金や不動産と同様に重要な相続財産であり、その所在や内容を明確にしておくことが、残されるご家族への大きな配慮となります。

株式資産の整理が特に重要である理由として、まず証券口座の凍結があります。被相続人が亡くなると、その時点で銀行口座と同様に証券口座も凍結され、株式の売買はもちろん配当金の受取りもできなくなります。この凍結は遺産分割協議が完了し名義変更手続きが終わるまで続くため、株価が大きく変動しても対応することができません。生前に株式資産を整理し、どの証券会社にどのような銘柄を保有しているかという情報を家族に伝えておくことで、相続発生後の対応が格段にスムーズになります。

また、現在はインターネット証券での取引も一般的になっており、複数の証券会社に口座を持っている方も珍しくありません。口座が複数あれば、それぞれの証券会社に対して個別に相続手続きを行う必要があり、相続人の負担は大きくなります。可能であれば生前に口座を整理・統合しておくことで、相続手続きの負担を軽減できます。

エンディングノートと財産目録の活用方法

終活において株式資産を整理する際は、エンディングノートを活用することが効果的です。株式についてはエンディングノートに銘柄名、保有株数、名義人、預入証券会社名、支店名、担当者名(わかる場合)、特記事項などを記載しておくことをお勧めします。株価は日々変動するため金額を詳細に記載する必要はなく、重要なのはどの証券会社にどのような株式を保有しているかという情報を残すことです。

インターネット証券会社との取引がある場合は、ログイン情報(IDやパスワード)の記録も重要となります。ただし、これらの情報は厳重に管理し、保管場所についても信頼できる家族にのみ伝えておくことが大切です。

財産目録とは、個人が保有するすべての財産と負債の内容をひと目で分かるようにリスト化したものです。預貯金に加えて不動産、株式や投資信託などの有価証券、住宅ローンや各種ローンなどの負債がある場合は、生前に自身の財産目録を作っておくと、万が一の際に遺族がスムーズに相続手続きを進められます。財産目録は法的な書類ではありませんが、相続人が財産の全体像を把握し、遺産分割協議を円滑に進めるための重要な資料となります。

上場株式と非上場株式における相続手続きの違い

株式相続の手続きは、上場株式と非上場株式で大きく異なります。上場株式とは証券取引所で売買されている株式のことで、証券会社を通じて相続手続きを行います。証券会社が株主名簿管理人への通知なども代行してくれるため、比較的スムーズに手続きが進むのが特徴です。

一方、非上場株式とは証券取引所で取引されていない株式のことで、中小企業や同族会社の株式が該当します。非上場株式の相続手続きは、株式を発行している会社に対して直接申し出て手続きを行う必要があります。会社によっては株主名簿管理人を設置している場合があり、その場合は株主名簿管理人に申し出ます。株主名簿管理人の設置の有無は会社の登記簿謄本で確認でき、会社ごとに手続き方法や必要書類が異なるため個別の確認が必要です。

非上場株式の多くは譲渡制限株式(株式の譲渡に会社の承認が必要な株式)ですが、相続による取得の場合は会社の承認は不要とされています。

証券会社での名義変更手続きの全体像

上場株式の名義変更手続きは、証券会社への連絡から始まり、必要書類の準備、遺産分割協議の実施、書類提出、株式の移管完了、株主名簿の名義変更という流れで進みます。手続き期間は必要書類に不備がなければおおむね2週間から4週間程度で完了するのが一般的です。

まず被相続人が口座を持っていた証券会社に連絡します。証券会社の相続専門部署に連絡すると、今後の手続きの説明と必要書類の案内を受けることができます。この際、被相続人の氏名、生年月日、亡くなった日付などを伝える必要があり、口座番号がわかればそれも伝えるとスムーズです。

相続人が証券口座を持っていない場合は、相続手続きを行うために新しく証券口座を開設する必要があります。同じ証券会社で口座を開設すると、特定口座の引き継ぎが可能で取得価額も引き継がれるため、将来の売却時に税務上有利になります。別の証券会社への移管も可能ですが、同一種別の口座間(特定口座から特定口座、一般口座から一般口座)でなければならず、また移管できるのは株式(単元株)に限られ、投資信託や外貨MMFなどは移管できない場合があります。

取引証券会社が不明な場合の調査方法

被相続人がどの証券会社で取引をしていたか分からない場合は、証券保管振替機構(通称:ほふり)に開示請求を行うことで調査できます。証券保管振替機構とは、日本において株式などの有価証券を電子化して保管・管理する機関です。開示請求により、被相続人名義の口座がある証券会社や信託銀行を一括で確認することができます。

開示請求できるのは、法定相続人、法定相続人の法定代理人または任意代理人、遺言執行者の3者です。必要書類は本人確認書類(申請者の身分証として免許証や保険証、マイナンバーカード等)、相続関係がわかる戸籍または法定相続情報一覧図、被相続人の住所証明書(除票や戸籍附票、株主宛の書類等)となります。遺言執行者が開示請求する場合は遺言書も必要です。

費用は請求1件あたり税込6,050円で、旧姓や旧住所も調査する場合は2件目以降1,100円ずつ加算されます。結果が届くまでに約2週間かかります。郵送先は「〒103-0026 日本橋茅場町郵便局留 東京都中央区日本橋兜町7-1 KABUTO ONE 株式会社証券保管振替機構 開示請求事務センター」で、「日本橋茅場町郵便局留」と必ず記載する必要があり、窓口での受付は行っていません。

遺産分割協議の進め方

誰がどの株式を相続するかは、相続人全員で遺産分割協議を行って決定します。遺産分割協議とは、相続人全員が参加して遺産の分け方を話し合い、合意に達する手続きです。協議の内容は遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名・実印を押印します。遺産分割協議書は証券会社での名義変更手続きの際に提出が必要となる重要書類です。

株式を含む遺産を分割する方法には4つの種類があります。現物分割は相続財産を現物のまま分割する最も一般的な方法で、例えば長男がA社の株式100株を、次男がB社の株式150株を相続するというように財産をそのまま分ける方法です。手続きがわかりやすく簡単というメリットがありますが、遺産の評価額に差がある場合は公平な分割が難しいというデメリットがあります。

代償分割とは、特定の相続人が相続財産を取得し、その代わりに他の相続人に金銭(代償金)を支払う方法です。例えば同族会社の経営を引き継ぐ長男が自社株式をすべて相続し、その代わりに次男に代償金を支払うというケースで利用されます。ただし代償金は相続人自身の財産から支払うことになるため、支払能力がない場合には適していません。

換価分割とは、相続財産を売却して現金化し、その現金を相続人で分配する方法です。株式の場合は株式を売却して得た代金を相続分に応じて分けることになり、相続人全員が株式の保有を希望しない場合や公平に分けるために現金化したい場合に適しています。ただし換価分割では売却益に対して譲渡所得税がかかる点に注意が必要です。

共有分割は相続財産を相続人全員で共有する方法ですが、株式については議決権の行使方法や配当金の受取方法が複雑になるため、あまり推奨されません。

遺言書がない場合の必要書類

遺言書がない場合の証券会社での相続手続きには、一般的に以下の書類が必要となります。

書類名詳細
被相続人の戸籍謄本出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)
相続人全員の戸籍謄本現在の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書発行から6ヶ月以内のもの
遺産分割協議書相続人全員が署名・実印押印したもの
相続手続依頼書証券会社所定の書式
株式名義書換請求書証券会社所定の書式
取引口座引き継ぎの念書証券会社所定の書式
相続人全員の同意書証券会社所定の書式

証券会社によって必要書類は異なりますので、必ず事前に確認することが重要です。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集するのは、法定相続人を正確に確認するためです。戸籍謄本が1通でも欠けていると、遺産分割協議書が無効になる可能性があります。2024年3月1日から戸籍証明書等の広域交付が始まり、最寄りの市区町村役場で取得できるようになりました。ただし、兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する場合や、代理人が取得する場合、郵送で取得する場合は、本籍地の市区町村役場での手続きが必要です。

また、法定相続情報一覧図を法務局で取得しておくと、各種相続手続きで戸籍謄本の束を毎回提出する必要がなくなり便利です。

遺言書がある場合の必要書類

遺言書がある場合は、必要書類が大幅に簡略化されます。

書類名詳細
遺言書公正証書遺言または検認済みの自筆証書遺言
被相続人の戸籍謄本死亡が確認できるもの
財産取得者の戸籍謄本財産を取得する相続人のもの
財産取得者の印鑑証明書財産を取得する相続人のもの
相続手続依頼書証券会社所定の書式

遺言書がある場合は、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書、遺産分割協議書は不要となります。これは相続手続きを大幅に簡略化できる大きなメリットです。

自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。検認とは、遺言書の存在と内容を相続人に知らせ、遺言書の形式を確認する裁判所での手続きです。公正証書遺言の場合は検認不要でそのまま使用できます。終活で遺言書の作成を検討する際は、相続手続きの簡便さという観点からも公正証書遺言が推奨されます。

印鑑証明書の有効期限と取得のポイント

印鑑証明書自体に法的な有効期限はありませんが、証券会社での相続手続きでは「発行から6ヶ月以内」のものを求められることが多いです。銀行によっては「発行から3ヶ月以内」とする場合もあります。また、被相続人が亡くなった後に発行されたものを求められることが一般的です。

相続手続きには複数の金融機関への提出が必要になることが多いため、印鑑証明書は余裕を持って複数枚取得しておくことをお勧めします。各金融機関での手続きを同時並行で進める場合は、原本の提出を求められるケースも多いため、必要枚数をあらかじめ確認しておくと効率的です。

特定口座と一般口座の違いと相続時の注意点

証券口座には一般口座と特定口座の2種類があります。特定口座とは、投資家の納税手続きを軽減させるための制度で、証券会社が口座内の税務計算を代行してくれる仕組みです。特定口座はさらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類に分かれます。

「源泉徴収あり」を選択すると、口座内で発生した1年間の損益が自動的に通算され、納税も証券会社が代行するため確定申告が原則不要になります。「源泉徴収なし」を選択すると、証券会社から送付される年間取引報告書をもとに、投資家自身で確定申告を行う必要があります。一般口座は、利益や損失を自分で計算し、原則として確定申告も自分で行う必要があります。

株式を相続する際は、相続人も被相続人と同じ種別の口座を持っている必要があります。特定口座の株式は特定口座へ、一般口座の株式は一般口座へ移管することになります。被相続人と同じ証券会社で相続人が特定口座を開設すれば取得価額を引き継ぐことができ、これは将来売却する際の税金計算に影響する重要なポイントです。

NISA口座の株式を相続する際のルール

被相続人のNISA口座内の株式等を、相続人名義のNISA口座に移管することはできません。NISA(少額投資非課税制度)とは、一定の投資額について配当金や売却益が非課税となる制度ですが、この非課税の恩恵は口座名義人本人にのみ適用されるためです。NISA口座の株式は、相続人の一般口座または特定口座に移管することになります。

この場合、移管する株式等の取得価額は相続発生日の時価となります。被相続人が購入した時の価格ではない点に注意が必要です。例えば被相続人が100万円で購入した株式が相続発生日に150万円になっていた場合、相続人にとっての取得価額は150万円となり、将来200万円で売却した場合の課税対象となる譲渡益は50万円となります。

配当金の受取方法と相続発生時の取り扱い

株式の配当金を受け取る方法は主に3つあります。株式数比例配分方式は証券口座に直接配当金が入金される方式で、登録配当金受領口座方式は指定した銀行口座に配当金が入金される方式、配当金領収証方式は配当金領収証を郵送で受け取り郵便局等で換金する方式です。

相続が発生してから名義変更が完了するまでの間に発生した配当金は、どなたにも支払われずプールされることになります。「株式数比例配分方式」で配当金を受け取っていた場合は未受領配当金は発生しにくいですが、「登録配当金受領口座方式」や「配当金領収証方式」の場合は銀行口座が凍結された時点で配当金を受け取れなくなり、未受領配当金が生じます。

未受領配当金がある場合は、株主名簿管理人(通常は信託銀行)に連絡して相続手続きを行い配当金を受領します。株式を所有している会社のホームページに記載されている株主名簿管理人に連絡すると、必要書類の案内を受けることができます。未受領配当金を受け取るには企業ごとに定められた期限を守る必要があり、多くの企業では受け取り期間が3年から5年に設定されています。この期間を過ぎると配当金を受け取る権利が失われますので、早めの手続きが重要です。

上場株式の相続税評価額の計算方法

上場株式の相続税評価額は、以下の4つの価格のうち最も低い価格を選択できます。課税時期(被相続人が亡くなった日)の終値、課税時期の属する月の毎日の終値の平均額、課税時期の属する月の前月の毎日の終値の平均額、課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の平均額の4つです。

例えば2月13日に亡くなった場合は、2月13日の終値、2月の月平均、1月の月平均、12月の月平均の4つを比較し、最も低い価格を評価額とすることができます。相続税評価では小数点以下の端数は切り捨てて整数部分の金額を使います。

相続発生日の終値はYahoo!ファイナンスなどの金融情報サイトで確認できます。月平均株価は東京証券取引所のウェブサイトにある「月間相場表」で調べることができます。

相続が発生した日が土曜日、日曜日、祝日の場合は市場が休場しているため終値がありません。この場合は相続が発生した日に最も近い取引日の終値を使用します。例えば日曜日に亡くなった場合は翌日の月曜日の終値を使用し、3連休の中日に亡くなった場合は連休前と連休後の終値の平均額を使用します。

相続税の申告期限と納付方法

相続税の申告期限は、相続開始の翌日から10か月以内です。納付期限も同じで、原則として現金による一括納付となります。期限内に申告・納付ができない場合は延納や物納の制度もありますが、事前の手続きが必要です。

株式は相続財産の中でも評価額の変動が大きい資産であり、相続税の申告に際しては正確な評価が求められます。相続税の計算や申告については、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

相続した株式を売却する際の税金

相続した株式を売却する場合、譲渡所得に対して約20.315%の税金(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。譲渡所得は「売却価格から取得費と売却手数料を差し引いた金額」で計算します。

相続により取得した株式の取得費は、被相続人が購入した時の価格を引き継ぎます。つまり、被相続人がその株式を購入した価格が相続人にとっての取得費となります。ただしNISA口座から相続した株式については、相続発生日の時価が取得費となります。

被相続人が株式を購入した時期が古く取得費がわからない場合は、売却価格の5%を取得費として計算することが認められています。例えば取得費が不明の株式を500万円で売却した場合、25万円を取得費とすることができます。

取得費加算の特例を活用した節税

相続で取得した株式を相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合、「取得費加算の特例」を利用できます。この特例は、支払った相続税のうち売却した株式に相当する部分を取得費に加算できるという制度です。取得費が増えることで譲渡所得が減り、所得税の負担が軽減されます。

特例を利用するには確定申告が必要です。申告時には「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」などの書類を添付します。相続税を多く支払った場合や、相続した株式の含み益が大きい場合には、この特例の活用で大きな節税効果が得られることがあります。

準確定申告と配当所得の関係

準確定申告とは、亡くなった方の所得に対して行う確定申告のことです。通常の確定申告は翌年の2月16日から3月15日までに行いますが、準確定申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に行う必要があります。

株式の配当金は、相続開始日と配当金の基準日・支払日の関係によって課税関係が異なります。相続開始日が配当金の支払日より後の場合、配当金はすでに被相続人が受け取っているため被相続人の所得として準確定申告の対象となります。相続開始日が配当基準日と配当確定日の間の場合、配当金は「配当期待権」または「未収配当金」として相続財産に含まれ相続税の対象となります。相続開始日が配当基準日より前の場合、配当金を受け取る権利は相続人にあるため相続人の配当所得として所得税の対象となります。

上場株式の配当金は通常源泉徴収された上で支払われるため、源泉徴収で課税関係が完結している場合は準確定申告は必須ではありません。ただし確定申告をすることで配当控除を受けられる場合があり、還付金が発生することもあります。

終活における株式の生前贈与のメリット

株式を生前に贈与することで、相続財産を減らし相続税の負担を軽減できる可能性があります。また贈与のタイミングを選べるため、株価が低い時期に贈与することでより多くの株式を税負担少なく移転できます。

暦年課税制度(暦年贈与)は、1年間(1月1日から12月31日)にもらった財産の合計額に対して課税する制度です。年間110万円までの贈与であれば非課税(基礎控除)となり、110万円を超えた部分についてのみ贈与税がかかります。毎年コツコツと非課税枠内で贈与を続けることで、長期的には多額の財産を税負担なく移転することができます。ただし2024年の税制改正により、生前贈与加算の期間が「3年」から「7年」に延長されました。つまり亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に加算されることになります。

相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与について贈与税を課税せず、贈与者が亡くなった時に相続財産と合算して相続税を計算する制度です。この制度を利用できるのは60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫への贈与です。2024年の税制改正により、年間110万円以下の贈与については相続財産に加算しなくてもよくなり、以前よりも使いやすい制度となりました。

財産総額がおおよそ2億円以内であれば多くの場合相続時精算課税制度が有利とされています。一方、財産総額が大きい場合は暦年課税制度を長期間活用することでより大きな節税効果が得られる可能性があります。また推定相続人でない孫等への贈与は相続時の生前贈与加算の適用がないため、暦年課税制度が有利になることがあります。

相続時精算課税制度を一度選択すると、その贈与者・受贈者の間では二度と暦年課税制度に戻すことはできません。制度の選択は慎重に行う必要があります。また生前贈与を行う場合は、贈与契約書を作成し贈与の事実を明確に記録しておくことが重要です。

株式贈与時の評価額の決め方

上場株式を贈与する場合の評価額は、贈与日の終値のほか、贈与した月の終値平均額、前月の終値平均額、前々月の終値平均額のうち、一番低い価格を選択できます。これは相続税評価と同様の考え方です。株価を確認しながら低くなったタイミングで贈与を行うことで、より効率的な財産移転が可能になります。

名義変更を放置した場合のリスク

名義変更を行わなければ、株式を売却することも配当金を受け取ることもできません。株価が大きく変動した場合でも対応することができなくなります。

株式の名義変更を行わずに放置しておくと、最終的には株式の権利自体を失う可能性があります。株主の所在が不明のまま5年が継続経過すると、会社法の規定により株式が競売に掛けられたり、会社が自社で株式を買い取ったりする措置が取られる場合があります。

また名義変更をしないままにしておくと、第三者に勝手に名義変更をされて売却される可能性もあります。相続手続きは早めに行うことが重要です。

株式の相続手続きについてよくある疑問

株式の名義変更自体には法律上の期限はありません。ただし相続税の申告期限は相続開始から10か月以内です。また名義変更を放置すると様々なリスクがあるため、できるだけ早めに手続きを行うことをお勧めします。

被相続人が複数の証券会社に口座を持っていた場合は、それぞれの証券会社に対して個別に相続手続きを行う必要があります。どの証券会社に口座があるかわからない場合は、証券保管振替機構(ほふり)への開示請求で調査できます。

相続人が海外に住んでいる場合も相続手続きに参加する必要があります。印鑑証明書の代わりに在外公館で取得できる署名証明書(サイン証明書)を使用することが一般的です。詳しくは証券会社に相談することをお勧めします。

端株(単元未満株)も相続の対象となります。ただし端株の移管方法は証券会社によって異なりますので、事前に確認が必要です。

相続放棄をした場合、その相続人は最初から相続人でなかったものとみなされ、株式を含むすべての遺産について権利を失います。相続放棄は家庭裁判所への申述が必要で、相続を知った時から3か月以内に行う必要があります。

まとめ

株式の相続手続きは、必要書類が多く複数の機関とのやり取りが必要なため煩雑に感じられることも多いですが、事前に手続きの流れを理解しておくことで実際の相続発生時にも落ち着いて対応することができます。

終活の一環として株式資産の整理とエンディングノートへの記載を行っておくことは、残されるご家族への大きな思いやりとなります。また遺言書を作成しておくことで、相続手続きを大幅に簡略化することも可能です。

不明な点がある場合は、証券会社の相続専門窓口や税理士、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

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