高齢化社会が進む中で、終活への関心が日々高まっています。そんな中、終活に関する専門家として「終活アドバイザー」と「終活カウンセラー」という2つの資格が注目を集めています。どちらも終活をサポートする専門家なのですが、その役割や求められる知識、取得方法には大きな違いがあります。
終活アドバイザーは終活アドバイザー協会が認定する資格で、社会保障制度から財産管理、相続対策まで幅広い専門知識を身につけた実務的なアドバイザーです。一方の終活カウンセラーは終活カウンセラー協会が認定する資格で、より相談者の心に寄り添うカウンセリングに重点を置いた専門家です。
このように異なる特徴を持つ2つの資格ですが、実際にはどのような違いがあり、どちらの資格を選ぶべきなのでしょうか。今回は、終活支援のエキスパートとしての両者の違いを詳しく解説していきます。

終活アドバイザーと終活カウンセラーの基本的な違いは何ですか?
終活アドバイザーと終活カウンセラーは、同じ終活支援のプロフェッショナルでありながら、その特徴や位置づけに大きな違いがあります。まず最も重要な違いは、認定機関と資格の性質です。終活アドバイザーは終活アドバイザー協会(NPO法人ら・し・さ)が認定する資格であり、より実務的で幅広い知識を持つ専門家として位置づけられています。これに対して終活カウンセラーは、終活カウンセラー協会という一般社団法人が認定する資格で、心理面でのサポートに重点を置いた専門家として認知されています。
また、資格取得のプロセスにも大きな違いがあります。終活アドバイザーはユーキャンの通信講座を通じて体系的に学習を進め、約4ヶ月(最長8ヶ月)かけて知識を積み上げていきます。テキストによる学習と添削課題を通じて、社会保障制度や財産管理、相続対策などの専門知識を着実に身につけていくのが特徴です。一方、終活カウンセラーは会場での講習やオンライン受講を通じて資格を取得します。1日6時間程度の講習で2級を、2日間の講習で1級を取得できる仕組みとなっており、より短期間での取得が可能です。
さらに、活動内容にも違いが見られます。終活アドバイザーはエンディングノートの作成支援から相続や財産管理に関するアドバイス、専門家への橋渡しまで、実務的なサポートを幅広く行います。対して終活カウンセラーは、カウンセリングスキルを活かして相談者の心に寄り添い、悩みや不安を丁寧に聞き取りながら、その人に合った終活の方向性を一緒に探っていく役割を担います。
実際の活動の場でも、この違いは明確に表れます。終活アドバイザーは葬儀社や保険会社、金融機関などで、より実務的な終活支援の専門家として活躍することが多いのに対し、終活カウンセラーは介護施設や地域包括支援センターなどで、心理的なサポートを重視した相談員として活動することが一般的です。
ただし、これらの違いは活動領域を厳密に分けるものではありません。むしろ、両者は終活支援という大きな枠組みの中で、それぞれの特徴を活かしながら補完し合う関係にあるといえます。実際、終活の現場では両方の資格を持つ専門家も増えており、状況に応じて実務的なアドバイスと心理的なサポートを使い分けながら、より充実した終活支援を提供しています。
終活アドバイザーと終活カウンセラーでは、具体的にどのような学習内容や資格取得方法が異なりますか?
終活アドバイザーと終活カウンセラーでは、学ぶ内容や資格取得のプロセスに大きな違いがあります。まず、終活アドバイザーの学習内容は非常に包括的で体系的です。社会保障制度(保険・年金・医療)から始まり、不動産や金融資産の管理、相続対策、高齢者向け住宅や施設に関する知識、さらには死後の各種手続きに至るまで、終活に関連するあらゆる実務的な知識を深く学んでいきます。
これに対して終活カウンセラーの場合、基本的な終活の知識に加えて、カウンセリングの技術や心理学的なアプローチを重点的に学びます。相続や遺言、保険、介護、年金などの基礎知識は押さえつつも、より重要視されるのは相談者の気持ちに寄り添い、適切なコミュニケーションを取りながら終活を支援していく能力です。
資格取得の方法にも大きな違いがあります。終活アドバイザーの場合、ユーキャンの通信教育を通じて学習を進めます。3冊のメインテキストとエンディングノート、要点チェック問題集を使用し、全部で3回の添削課題に取り組みます。学習期間は標準で4ヶ月、最長8ヶ月まで設定されており、自分のペースで着実に知識を積み上げていくことができます。最終的な検定試験は自宅で受験可能で、60%以上の得点で合格となります。
一方、終活カウンセラーの資格は2級と1級に分かれており、それぞれ異なる取得方法が設定されています。2級カウンセラーは約6時間の講習と筆記試験で取得可能で、費用は15,000円程度です。1級カウンセラーは2級資格を持っていることが前提となり、2日間の講座受講と事前レポートの提出、さらに筆記試験の合格が必要です。費用は会場受講で45,000円、オンラインで50,000円となっています。
さらに、終活カウンセラーには認定講師という上位資格も存在します。これは1級資格保持者が4日間の講座を受講し、各日の筆記試験に合格することで取得できる資格で、終活カウンセラーの育成に携わることができます。費用は300,000円と高額になりますが、終活カウンセラーとしてのキャリアを更に広げることができます。
資格取得後の登録についても違いがあります。終活アドバイザーの場合、終活アドバイザー協会への登録が推奨されます。入会金4,000円と年会費6,000円が必要ですが、会員証の発行や最新情報の提供、セミナーの優待価格での受講など、様々な特典を受けることができます。終活カウンセラーも同様に協会への登録制度がありますが、資格のレベルによって登録条件や費用が異なります。
終活アドバイザーと終活カウンセラーでは、実際の活動内容にどのような違いがありますか?
終活アドバイザーと終活カウンセラーでは、実際の現場での活動内容に大きな特徴の違いが見られます。まず、終活アドバイザーの活動は、より実務的で具体的な支援が中心となります。エンディングノートの作成支援では、財産目録の作り方や相続に関する希望の書き方など、具体的な記載方法についてアドバイスを行います。また、終活に必要な専門家の紹介では、遺言書作成のための弁護士や、資産管理のためのファイナンシャルプランナーなど、相談者のニーズに合わせて適切な専門家を選定し、橋渡しの役割を担います。
また、終活アドバイザーは自治体での各種手続きの同行支援も重要な業務の一つです。介護保険の申請や年金の手続きなど、高齢者にとって複雑で負担の大きい手続きを、専門的な知識を活かしてサポートします。さらに、介護施設や葬儀社などで終活セミナーの講師として活動することも多く、終活の意義や具体的な進め方について、わかりやすく解説する役割も担っています。
一方、終活カウンセラーの活動は、相談者の心理面でのサポートに重点が置かれます。カウンセリングの技術を活かして相談者の悩みや不安に耳を傾け、その人らしい終活の形を一緒に探っていきます。特に、なかなか家族に終活の話を切り出せない方や、将来への不安を抱える方に対して、心理的なサポートを提供しながら、終活を前向きに進めていけるよう支援します。
終活カウンセラーの特徴的な活動として、グループカウンセリングや終活カフェの開催があります。同じような悩みを持つ人々が集まり、互いの思いを共有しながら終活について考えを深めていく場を提供します。また、介護施設や地域包括支援センターなどでは、終活相談会を定期的に開催し、高齢者やその家族からの相談に応じています。
ただし、これらの活動の違いは明確な境界線があるわけではありません。終活アドバイザーも相談者の気持ちに寄り添いながら実務的なアドバイスを行いますし、終活カウンセラーも基本的な終活の知識を活かして具体的な提案を行うことがあります。両者の違いは、むしろアプローチの重点の置き方にあるといえます。
実際の終活支援の現場では、この2つの資格が補完し合うことで、より充実したサポートを提供できることも多くあります。例えば、終活カウンセラーが相談者の心理面でのケアを担当し、具体的な手続きや専門家との連携については終活アドバイザーが担当するといった連携も行われています。このように、それぞれの専門性を活かしながら、相談者にとって最適な終活支援を実現していくことが、両資格に共通する重要な役割となっています。
終活アドバイザーと終活カウンセラーは、それぞれどのような人に向いているのでしょうか?
終活アドバイザーと終活カウンセラーは、求められる適性や向いている人物像に違いがあります。まず、終活アドバイザーは、制度や法律に関する知識の習得に意欲的な方に向いています。社会保障制度から財産管理、相続手続きまで、幅広い実務的な知識を体系的に学ぶ必要があるためです。また、論理的な思考力を持ち、複雑な制度や手続きを整理して相談者に分かりやすく説明できる能力も求められます。
特に終活アドバイザーは、実務的なサポートを得意とする方に適しています。例えば、金融機関での勤務経験がある方や、保険や不動産などの専門知識を持つ方は、その経験を活かして具体的なアドバイスができます。また、行政手続きに詳しい方や事務処理能力の高い方も、終活アドバイザーの業務との親和性が高いといえます。
一方、終活カウンセラーは、人の話に耳を傾けることが得意な方や共感力の高い方に向いています。相談者の気持ちに寄り添い、その人の価値観や人生観を理解しながら、適切なアドバイスを提供することが重要な役割となるためです。また、コミュニケーション能力が高く、相手の立場に立って物事を考えられる方も、終活カウンセラーとして活躍が期待できます。
終活カウンセラーに特に向いているのは、福祉や介護の現場で働いている方やカウンセリングの経験がある方です。高齢者との関わりが多い職場で培った経験や、心理面でのサポートのスキルを、終活カウンセリングに活かすことができます。また、傾聴力を活かした仕事に興味がある方や人と深く関わることに喜びを感じる方にも適した資格といえます。
ただし、このような違いは絶対的なものではありません。むしろ、両方の要素を併せ持つことで、より充実した終活支援が可能になることも多くあります。例えば、実務的な知識とカウンセリングスキルの両方を持ち合わせることで、相談者のニーズに応じて柔軟なサポートができるようになります。
また、両資格に共通して重要なのは、終活に対する真摯な姿勢と相談者への深い思いやりです。終活は人生の大切な節目に関わる重要な仕事であり、相談者の人生に大きな影響を与える可能性があります。そのため、単なる知識やスキルだけでなく、相談者の幸せを真剣に考え、誠実にサポートしていく姿勢が求められます。
さらに、継続的な学習意欲も両資格に共通して必要な要素です。終活を取り巻く制度や社会環境は常に変化しており、新しい知識やスキルを積極的に吸収していく姿勢が不可欠です。特に、高齢化社会の進展に伴い、終活支援の重要性は今後ますます高まることが予想されます。このような変化に対応しながら、より質の高い支援を提供していくためには、自己研鑽を続ける意欲が重要となります。
終活アドバイザーと終活カウンセラーでは、将来性や活躍できる場所にどのような違いがありますか?
高齢化社会が進展する中で、終活支援の専門家としての需要は着実に高まっています。終活アドバイザーと終活カウンセラーでは、その活躍の場や将来性に特徴的な違いが見られます。
終活アドバイザーの活躍の場は、主に金融機関や保険会社、葬儀社などの企業での活動が中心となります。これらの企業では、終活に関する相談ニーズが年々増加しており、専門的な知識を持つアドバイザーの重要性が高まっています。例えば、金融機関では相続対策や資産管理のアドバイザーとして、保険会社では終活保険の提案者として、葬儀社では生前相談の担当者として、それぞれ専門性を活かした活動が期待されています。
また、終活アドバイザーは独立開業のチャンスも広がっています。終活コンサルタントとして事務所を開設したり、終活セミナーの講師として活動したりと、その専門知識を活かした多様な事業展開が可能です。特に、エンディングノート作成のサポートや終活に関する個別相談など、独自のサービスを提供する事業者も増えてきています。
一方、終活カウンセラーの活躍の場は、主に介護施設や地域包括支援センター、医療機関などの福祉・医療分野が中心となります。これらの現場では、終末期の過ごし方や家族との関係性など、心理的なサポートを必要とする相談が多く、カウンセリングスキルを持つ専門家の需要が高まっています。また、高齢者向けの住宅施設やデイサービスなどでも、入居者や利用者の終活相談に対応する専門家として活躍の機会が増えています。
特に近年は、オンラインカウンセリングや終活カフェなど、新しい形態での終活支援の場も広がっています。X(旧Twitter)やSNSを活用した情報発信や、オンラインでの個別相談など、従来とは異なるアプローチでの活動も可能になってきています。
両資格に共通する将来性としては、超高齢社会の進展に伴う需要の増加が挙げられます。65歳以上の高齢者人口は今後も増加を続け、それに伴って終活支援のニーズも確実に高まっていくことが予想されます。また、終活に対する社会的な認知度も年々上昇しており、より早い段階から終活を意識する人も増えてきています。
さらに、終活の内容も多様化しています。従来の遺産相続や葬儀だけでなく、デジタル遺品の整理やペットの終活、思い出の整理・継承など、新しい分野での支援ニーズも生まれています。このような変化に対応できる専門家として、両資格とも今後ますます重要性を増していくことが期待されます。
ただし、将来性を活かすためには、常に新しい知識やスキルの習得が必要です。制度の変更や社会情勢の変化に対応しながら、相談者のニーズに応える質の高い支援を提供し続けることが、両資格に共通して求められる重要な課題となっています。
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