一人暮らしの高齢者が終活で自治体の見守りサービスを選ぶと、費用は多くの場合かかりません。民間の見守りサービスを選ぶと、月額0円から1万4000円程度の費用が目安になります。おひとりさまの終活では、この二つの選択肢を費用と内容の両面で比較しながら組み合わせることが、孤独死のリスクを減らす現実的な近道です。
単独世帯の割合は1986年の18.2%から2022年には32.9%まで増え、2050年には44.3%に達すると見込まれています。家族と離れて暮らす人や身寄りのない人ほど、見守りサービスと死後の備えを早めに検討する必要が出てきます。この記事では、自治体の見守りサービスと民間の見守りサービスを費用面で比較し、身元保証や死後事務委任契約の相場、契約前に確認すべき注意点まで、おひとりさまの終活に必要な情報を順番に整理します。

おひとりさまの孤独死は2024年推計で6万8000人
警察庁は、自宅で亡くなる一人暮らしの高齢者が2024年の推計でおよそ6万8000人に上る可能性があるとしています。発見までの日数も長く、孤独死発見までの平均日数は13.8日、日本少額短期保険協会が2015年4月から2025年3月までの累積データで公表した数字では全体平均19日でした。
性別による差もはっきりしています。死後3日以内に発見される割合は女性が48.1%、男性は39.7%で、女性のほうが10ポイントほど高くなっています。誰にも看取られず1週間以上発見されない孤立死は、年間2万2000人に上るという推計もあります。こうした数字が、見守りサービスを早めに導入する動機になっています。
一人暮らしの高齢者が抱えるリスクは、孤独死だけではありません。入院や施設入所の際に求められる身元保証人がいない、死後の葬儀や遺品整理、公共料金の解約を担う人がいない、認知症などで判断能力が下がったときに財産管理を任せる相手がいない、というケースも珍しくないのです。おひとりさまの終活は、生前の見守りと死後の手続きの委任という二つの柱で考える必要があります。
自治体の見守りサービスは東京都だけで110地区に相談拠点
自治体が提供する見守りサービスの最大の特徴は、原則として無料で利用できる点です。市区町村が実施主体となり、高齢者の孤立防止と安否確認を目的にさまざまな事業を展開しています。
東京都では2026年4月1日時点で、都内110地区に高齢者見守り相談拠点が設置されました。社会福祉士や介護支援専門員の資格を持つ相談員が、電話相談や戸別訪問を通じて高齢者の生活状況を把握し、必要な支援へつなげています。東京都はさらに47の事業者・団体と地域づくり協定を結んでおり、金融機関や交通事業者、コンビニエンスストア、物流・配達事業者、ライフライン事業者など13分野の企業の従業員が、日常業務の中で異変に気づいた際に自治体へ報告する仕組みを持っています。新聞配達員やガス検針員が郵便物のたまりや新聞の滞留に気づき、通報につながった事例が典型例です。
大阪市では認知症高齢者見守りネットワーク事業が展開されており、介護保険サービスを利用していない75歳以上の独居高齢者を対象に、地域住民やボランティアによる定期的な個別訪問が行われています。これ以外にも、多くの自治体で緊急通報システムの貸与、配食サービスと安否確認の組み合わせ、電話による定期的な安否確認が実施されています。対象年齢や所得要件、一人暮らしであることなどの利用条件は自治体ごとに異なるため、居住地の地域包括支援センターや福祉窓口への確認が欠かせません。
自治体サービスの利点は費用がかからないことですが、訪問頻度や対応の柔軟性は民間サービスに比べて限定的で、要介護度や所得などの条件が付くことも多いです。
民間の見守りサービスはセコムが月額5610円、ALSOKは3069円から
民間企業の見守りサービスは費用がかかる一方、24時間対応や駆けつけ、センサーによるリアルタイム検知など、自治体サービスより手厚い内容を選べます。主なサービスの費用を比較すると、以下のようになります。
| サービス名 | 月額費用の目安 | 初期費用・特徴 |
|---|---|---|
| 郵便局のみまもりサービス | 2,500円程度 | 郵便局員が毎月1回訪問し家族へ報告 |
| セコム 親の見守りプラン | 5,610円(税込)から | 駆けつけ・救急通報・電話健康相談・防犯・火災監視を網羅 |
| ALSOK 見守りサービス | 3,069円から | ゼロスタートプランなら初期費用0円、駆けつけ対応あり |
| auかんたん見守りプラグ | 539円(au HOME基本利用料) | デバイス代8,800円、コンセントに挿すだけで導入可能 |
このほかにもセンサー型、カメラ型、電話型、緊急ボタン型など、多様なタイプのサービスが20社から30社程度で提供されており、月額費用のレンジはおおむね0円から1万4000円程度まで幅があります。導入方式もレンタル型と買い切り型に分かれます。レンタル型は初期費用0円で始められ、短期間だけ試したい場合に向いています。買い切り型は初期費用がかかる代わりに、長期間使うほど月々の負担を抑えられます。
提供主体によっても特色が分かれます。NPO法人によるサービスは地域密着型で、人による訪問や声かけを重視した支援が強みです。警備会社や通信会社といった民間企業は全国展開しており、機器やシステムの充実度、24時間365日対応の体制構築力に優れています。
見守りサービスは4方式、センサー型が月額1000円からで最安
民間の見守りサービスは技術方式によって、大きく4つのタイプに分かれます。
センサー型は月額1,000円から3,000円程度が相場です。電気ポットや冷蔵庫などの家電に通電センサーを内蔵し、使用状況から生活リズムを検知する仕組みが代表的です。一定時間反応がない場合、離れて暮らす家族に通知が届きます。工事が不要で導入しやすい反面、あくまで生活の痕跡を検知する方式のため、リアルタイム性はやや弱くなります。
緊急ボタン型は月額1,500円から5,500円程度です。本人が異変を感じてボタンを押すと、セキュリティ会社のスタッフが自宅に駆けつけます。ALSOKやセコムが代表的な提供元で、24時間365日対応できる点が最大の強みですが、他の方式より費用は高めになる傾向があります。
GPS型は月額1,000円から1,800円程度で、外出時の位置情報を把握できるため、徘徊対策として有効です。宅配連携型は月額1,000円から1,700円程度で、食事や日用品の配達員が訪問時に対面で安否確認を行います。配食サービスと組み合わせて提供されることが多いタイプです。
コミュニケーションロボットやテレビ電話型モニターを使った電話型・コミュニケーション機器も普及が進んでいます。安否確認に加えて、会話を通じた孤独感の軽減にもつながるとされています。どのタイプが適しているかは、本人の身体状況や住宅環境、家族との距離、予算によって変わるため、複数のタイプを組み合わせて導入する家庭も少なくありません。
死後事務委任契約の報酬は10万円から50万円が相場
死後事務委任契約とは、葬儀の手配や火葬・納骨、遺品整理、行政手続き、公共料金や各種契約の解約を、生前に契約した第三者に死後代行してもらう契約です。おひとりさまの終活で特に重要な項目のひとつです。
専門家や民間企業に依頼する場合、実費を除いた委任契約の報酬部分だけで、おおむね10万円から50万円程度が相場です。支払い方法は業者によって異なり、契約時に一括で支払うケース、入会金・年会費という形で分割するケース、実費や報酬をあらかじめ預託金として預けておくケースがあります。民間企業の中には、死後事務委任契約だけでなく、入院・入所時の身元保証や生前の見守りサービスまでをまとめたおひとりさま向けプランを用意しているところも増えています。
終活関連サービスを扱う民間企業は近年増えており、契約後にトラブルになるケースも報告されています。契約前には、預託金が信託銀行など第三者に管理されているか、サービス内容の範囲はどこまでか、途中解約時の返金規定はどうなっているかを確認することが欠かせません。
身元保証サービスの総額は100万円から150万円が目安
入院や施設入所の際、多くの病院や介護施設では緊急連絡先や身元保証人の届け出を求められます。頼れる親族がいない場合、民間の身元保証サービスを利用するのが一般的な解決策です。
身元保証サービスの料金の目安は50万円から150万円程度ですが、サービス範囲が広い業者では総額200万円から300万円程度を要するケースもあります。一般的な目安としては、総額100万円から150万円程度を見込んでおくとよいとされています。料金体系は業者によって大きく異なり、入会金、月払いまたは年払いの会費、基本料、利用時間に応じた都度払い、死後の事務手続き費用としての預託金を組み合わせた複雑な構成になっていることが多いです。身元保証サービスは入院・施設入所時の保証にとどまらず、日常生活の支援から死後の事務手続きまで一貫してサポートしてもらえる点が特徴です。
親族や知人に身元保証人を依頼できる場合は費用がかかりませんが、それが難しいおひとりさまが企業に代行を依頼する場合は相応の費用が発生します。まずは自治体やNPO法人による公的・準公的な身元保証支援制度の有無を確認し、それでも不足する部分を民間サービスで補う考え方が現実的です。契約前には複数の業者から見積もりを取り、サービス範囲や解約条件を比較検討することが強く勧められています。
樹木葬は66.9万円、一般墓の152.4万円より半額以下
おひとりさまの終活では、跡を継ぐ人がいないことを前提に、葬儀やお墓の形式を選ぶ場面が出てきます。近年は、お墓の継承者を必要としない永代供養や樹木葬を選ぶ人が増えています。
一般的なお墓の平均購入価格は152.4万円とされる一方、樹木葬の費用相場は66.9万円程度で、一般墓の半分以下に抑えられます。樹木葬は埋葬方法によって費用が異なり、複数の遺骨をまとめて埋葬する合葬型は5万円から20万円、区画は分かれるものの他の遺骨と同じ場所に埋葬される共同埋葬型は20万円から60万円、家族ごとに個別の区画に埋葬する個別型は50万円から150万円程度が目安です。永代供養全体で見た費用相場は10万円から150万円程度で、遺骨の数や埋葬方法によって変わります。合葬墓は永代供養の中でも特に費用を抑えられ、1人あたり5万円から30万円程度が相場です。
樹木葬や永代供養は、霊園側がお墓の管理を担うのが基本のため、掃除や植木の手入れといった維持管理の手間がかからず、継承者も不要です。跡を継ぐ家族がいないおひとりさまにとって、有力な選択肢のひとつといえます。
任意後見契約は監督人報酬が月1万円から3万円
死後の備えである死後事務委任契約に対して、生前の判断能力低下に備える制度が任意後見契約です。将来認知症などで判断能力が下がった場合に備えて、支援してくれる人とその支援内容を、判断能力が十分にあるうちに自分で決めておく制度で、契約は公正証書で作成します。法定後見と異なり、後見人を自分で選べる点が大きな特徴です。
費用面では、実際に判断能力が下がり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した段階から支援が始まり、その時点で任意後見監督人への報酬が必要になります。報酬額は月額1万円から3万円程度が目安です。任意後見人本人への報酬額は契約で自由に定められますが、任意後見監督人への報酬額は家庭裁判所が決定します。
おひとりさまの場合、死後事務委任契約、任意後見契約、見守り契約、身元保証契約を、同一の専門家や事業者とまとめて契約するケースも多いです。生前から死後まで、判断能力が十分なうちに切れ目のない支援体制を整えておくことが、安心して暮らし続けるための土台になります。
自治体と民間、費用を抑えるなら窓口相談が先
自治体の見守りサービスと民間の見守りサービスを費用と内容で比較すると、次のような違いが見えてきます。
| 比較項目 | 自治体サービス | 民間サービス |
|---|---|---|
| 費用 | 原則無料 | 月額0円から1万4,000円程度 |
| 主な内容 | 電話相談、戸別訪問、地域ネットワーク | 24時間駆けつけ、センサー検知、電話健康相談 |
| 利用条件 | 一人暮らし、高齢、要介護度や所得などの基準あり | 契約すれば年齢や所得を問わず利用可能 |
| 対応の柔軟性 | 限定的な場合が多い | サービスごとに幅広く選べる |
費用を抑えたい場合は、まず自治体の窓口である地域包括支援センターなどに相談し、無料または低額で利用できるサービスの有無を確認するのが第一歩です。そのうえで、駆けつけ機能や24時間体制を希望するなど、自治体サービスだけでは不安が残る場合に、民間サービスを補完的に併用するのが現実的な選び方です。公的サービス、民間サービス、NPO・地域団体による訪問型サービスの3カテゴリを組み合わせて利用する高齢者も増えています。
見守り契約でよくあるトラブルは訪問時の家事依頼
見守りサービスや身元保証、死後事務委任契約をめぐっては、契約トラブルの相談も増えています。契約前には、サービス内容や支払総額、解約条件をよく確認することが重要です。契約内容が十分に理解できない場合は、その場で即決せず、持ち帰って検討する姿勢が求められます。
見守り契約では、月々の訪問回数や訪問日、電話連絡か訪問面談かといった具体的な方法を契約書に明記しておくべきです。契約期間についても定めが必要で、1年契約とするのが一般的です。よくあるトラブルとして、訪問のついでに買い物を頼んだり、家の掃除や食事の準備を依頼したりするケースが挙げられますが、これらは通常、見守り契約の範囲外です。契約範囲を超えた要望がある場合は、別途家事支援サービスと組み合わせる必要があります。
契約金額や内容に不安を感じた場合、あるいはトラブルに遭った場合は、居住する自治体の消費生活センターや、全国共通の消費者ホットライン188に相談できます。契約前には複数社から見積もりを取り、実績や第三者機関による預託金管理の有無を比較することが望ましいです。
おひとりさまの終活についてよくある疑問
見守りサービスを選ぶ際、緊急時の駆けつけ対応があるかどうかは大きな分かれ目です。異変を検知したときに警備員やスタッフが実際に自宅まで駆けつけてくれるサービスとそうでないサービスでは、安心感が変わってきます。通信環境についても、サービスによっては自宅にWi-Fi環境が必要な場合があるため、契約前の確認が欠かせません。
費用を比較する際は、デバイス購入費や工事費、月額利用料を合算した年間コストで見ることが大切です。契約期間や解約条件、最低利用期間の縛り、途中解約時の違約金の有無も確認しておきたいポイントです。離れて暮らす家族がいる場合は、異変があった際にスマートフォンへ通知が届く仕組みがあるかどうかも安心材料になります。多くのサービス提供会社は無料相談や資料請求を受け付けているため、複数社を比較したうえで、自分の生活スタイルや予算に合ったものを選ぶことができます。
終活の全体像としては、生前整理、医療・介護の準備、身元保証人の確保、葬儀・お墓の取り決め、遺言書の作成、エンディングノートの作成、見守り・訪問サービスの申し込みという項目が主な柱になります。財産は使うお金、旅立ちのためのお金、家族や希望する相手に残したいお金に分けて整理し、資産リストを作っておくと管理しやすくなります。エンディングノートには、緊急連絡先や医療・介護の希望、資産状況に加えて、SNSやサブスクリプションといったデジタル情報のアドレスやパスワード、退会手続きの方法も記録しておくと、遺族や関係者が対応しやすくなります。相続人がいない場合、遺言がなければ財産は原則として国庫に帰属するため、遺言書の作成も欠かせない項目です。
一人暮らし高齢者の増加を背景に、おひとりさまの終活はもはや特別な準備ではなく、誰もが向き合う現実的な課題になっています。終活の柱は生前の見守り体制の確保と、死後の手続きを託す仕組みづくりの2つに集約されます。まず自治体が提供する原則無料のサービスの有無と利用条件を確認し、それだけでは不安が残る場合に、月額数百円から1万円台の民間サービスを組み合わせるのが現実的な選択肢です。死後事務委任契約についても、民間企業や専門家に依頼する場合は10万円から50万円程度の費用相場を踏まえ、預託金の管理方法やサービス範囲を見極めたうえで契約することが大切です。早めに情報を集め、無理のない範囲で準備を進めていくことが、おひとりさまの終活を形にする近道になります。








