70代の終活におけるバリアフリーリフォームは、介護保険を活用すれば工事費用20万円を上限に最大9割(18万円)の補助を受けることができ、自治体独自の補助金や減税制度と併用することでさらに費用負担を軽減できます。申請にはケアマネジャーへの相談から始まり、工事前の事前申請が必須となるため、計画的な準備が欠かせません。70代を迎えると、住み慣れた自宅での生活を安全に続けるために住環境の見直しが重要になり、終活の一環としてバリアフリーリフォームを検討する方が増えています。
この記事では、70代の方が知っておくべきバリアフリーリフォームの具体的な費用相場から、介護保険や自治体の補助金制度、申請手続きの流れ、さらには資金調達方法や業者選びのポイントまで、リフォームを成功させるために必要な情報を網羅的に解説していきます。将来の身体状況の変化を見据えながら、どのタイミングでどのような工事を行うべきか、専門家への相談方法も含めて具体的にお伝えします。

70代でバリアフリーリフォームが必要な理由とは
70代でバリアフリーリフォームが重要な理由として、高齢者の転倒事故の多さが挙げられます。東京消防庁の調べによると、2023年中に65歳以上の高齢者が救急搬送された事故の約74パーセントが「ころぶ」事故であり、その50パーセント以上が住宅等居住場所で発生しています。自宅という最も身近な場所が、高齢者にとって危険な空間になりうるという現実があります。
さらに深刻なのがヒートショックのリスクです。厚生労働省人口動態統計(令和3年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4,750人に達しており、これは交通事故死亡者数2,150人のおおよそ2倍に上っています。家庭の浴槽での溺死者数のうち約9割が65歳以上の高齢者であり、浴室周辺のバリアフリー化とヒートショック対策が命を守るための重要な課題となっています。
終活としてのリフォームを始める最適なタイミング
楽天インサイトの調査によると、終活を始めたい年齢として60代という意見が最も多く、次いで50代という結果が出ています。60代から70代になると体力だけでなく思考力や判断力も衰えるため、有識者の声や文献では終活は50代から始めるのが最適だという意見が多く見られます。
50代でリフォームを行ったとしても、70代、80代と心身が変化するにつれて家に求める機能も変化するため、年齢と心身の状態に応じて段階的なリフォームに取り組むことも有効な方法です。70代の住宅リフォームでやっておくべきことは、日常生活を優先し生活のすべてが1階でできること、健康と省エネのための断熱改修、住宅の20年後を見据えた投資を決めることです。「食べて寝て用を足す空間はすべて1階に確保すること」が重要であり、2階は夏に使う部屋と納戸と割り切り、1階だけリフォームするという提案もあります。
住み替えという選択肢も視野に入れる
老後に住み替える場合、圧倒的に「一戸建てからマンション」が多いです。夫婦で暮らしていても、いずれは高齢ひとり暮らしになります。一戸建てで高齢者がひとりで暮らすには限界があるという現実を踏まえ、住み替えも選択肢として検討する価値があります。
60歳から91歳の317名を対象とした調査では、「現在の住まいを終の棲家にする予定ですか」という質問に「終の棲家にするつもりだ」と答えたのは、男性58パーセント、女性45パーセントでした。高齢者の半数近くが現在の住まいを終の住処にするかを悩んでいる、または住み替えたいと考えていることがわかります。
マンションに住み替える場合のメリットとして、駅に近いマンションや大型商業施設に隣接したマンションなどへの住み替えが人気です。集合住宅の場合、自分で対処しなくてはいけないメンテナンスはかなり少なくなり負担が減ります。庭の手入れなども不要となり、防犯面や訪問販売を敬遠しやすいという点でも一戸建てよりメリットがあります。
バリアフリーリフォームの具体的な工事内容と費用相場
バリアフリーリフォームを計画する際には、どの工事にいくらかかるのかを把握しておくことが重要です。ここでは、各工事の内容と費用相場を詳しく解説します。
手すり設置の費用と設置のポイント
手すりの設置は、バリアフリーリフォームの中で最も基本的かつ効果的な工事です。トイレや浴室への手すり設置は、工事費込みで1本1万5000円程度から可能ですが、複数設けることも考え、約3万円から5万円見ておけばよいでしょう。廊下の手すりは下地補強込みで1メートルあたり約1万円からとなり、5メートル必要であれば約5万円から10万円が目安です。階段への手すり設置は、廊下の倍程度の約10万円から20万円を見込んでおきましょう。
材料費としては、長さ1メートル程度のI型の手すりの場合5000円から25000円が目安です。工事費用は下地工事が必要な場合でも1メートルあたり1万円から3万円程度となります。
手すり設置のポイントは、使用者の背丈や動きに合わせて取り付けることです。手すりの形状や材質、太さ、位置に配慮し、使うときに手が届くのか、しっかり握れるのかを確認して選ぶことが大切です。
段差解消工事の費用相場
段差解消は転倒防止の要となる工事です。洗面室の床と浴室の床をフラットにするために、洗面室の床を張り替える工事は、解体や下地工事、仕上げ工事を含めて約2万円から3万円(クッションフロア採用の場合)となります。浴室の段差解消は5万円から28万円など、工事内容によって費用には幅があります。
簡易的なスロープは、幅や素材によって異なりますが、通信販売で2000円から1万円程度で入手できます。車イス生活になった場合に欠かせない段差の解消ですが、段差が大きい場所ではスロープが急にならないよう注意が必要です。
玄関のバリアフリー化にかかる費用
玄関は外出時に必ず通る場所であり、バリアフリー化の優先度が高い箇所です。玄関前にスロープを設置する場合の費用は、工事の内容や住宅の状況、選ぶ床材などで異なり、40万円から60万円ほどが相場となります。スロープを設ける場合の費用相場は10万円から20万円、土間をかさ上げして段差をなくす工事では、上がり框の高さにもよりますが、20万円から50万円程度かかります。
玄関スロープの工事費用の相場は、手すりの設置を含めて全て含めると40万円から50万円となります。手すりを除いた場合は20万円程度です。玄関ドアを引き戸に交換するリフォーム費用は、本体価格に取り付け費用や拡張工事費用などを含めて30万円から50万円前後が目安となります。踏み台の設置で5000円から2万円、式台の設置で3万円程度が目安です。
トイレのバリアフリー化と費用
高齢者向けリフォームで優先度が高いのはトイレです。和式トイレは足腰に負担がかかり、段差があって危険な場合もあります。バリアフリー改修では、洋式トイレに交換し、車椅子対応のために建具の交換やスペースの拡張、手すり設置を行います。
32万円でトイレを和式から洋式へ交換した事例があります。トイレにL字型の手すり(70センチ+70センチ)を設置する場合、材料費に15000円、取り付け費と下地の補強費が25000円の費用を想定しています。手すりの設置は3万円から、床の段差解消(段差解消スロープの設置費用)は1万円程度、出入口を広くする工事は20万円からとなります。
浴室のバリアフリー化で安全な入浴環境を整える
浴室のバリアフリーリフォームでは、転倒やつまずき防止のための段差の解消、滑りにくい床材への張替えなどがあります。ヒートショックを予防する暖房設備で温度差によるストレスをなくすことも快適な入浴をするためのポイントです。
万が一転倒した時でも、引き戸や外開きのタイプにドアを交換することですぐに救助ができます。洗面所やトイレの扉は、緊急時の救出のしやすさを考えて「引き戸」または「外側に開く開き戸」にする必要があります。
床材変更で転倒リスクを軽減する
日本の床材はフローリングであることがほとんどで、フローリングにスリッパという組み合わせは最も滑りやすいとされており、転倒事故の最たる原因になっています。
おすすめの床材として衝撃吸収フロアがあります。すべりにくい塗装ですべりによる転倒防止に配慮するだけでなく、万一転倒してもケガをしにくい機能を持っています。特殊クッション層が衝撃を吸収し、フロア厚13ミリで適度なクッション性があります。
タイルカーペットも防滑性において最も優れています。起毛による凹凸があり足のグリップ力が高く、水濡れ時にも水分を吸収するため乾燥時との差も小さいです。お手入れのしやすさで選ぶなら、タイルカーペットの敷き詰めがおすすめです。汚れてしまったときに部分的に取り外して洗うことができます。
ヒートショック対策の重要性と具体的な方法
11月から2月までの時期がヒートショックの好発時期です。浴室や脱衣所などの気温が下がり、長風呂になりやすいため、危険が高まります。ヒートショックを起こしやすいのは、特に冬場の冷え込んだトイレ、洗面室、浴室など、極端な温度差がある場所です。
ヒートショックは65歳以上の高齢者、高血圧や糖尿病などの動脈硬化の基盤がある人、肥満や睡眠時無呼吸症候群、不整脈の人が影響を受けやすいです。
対策として、入浴の前にあらかじめ脱衣場や浴室を温める、浴室に入る前にシャワーのお湯を出しておいて蒸気で浴室を温めるなどして温度の変化を少なくしましょう。2018年に世界保健機関(WHO)が公表した「住宅の健康性に関するガイドライン」では、冬は最低でも全室18度以上(高齢者がいる場合はもっと暖かく)を推奨しています。脱衣所やトイレなど小さなスペースを暖めるにはセラミックファンヒーターや小型のファンヒーターがおすすめです。
大規模リフォームの費用相場を把握する
SUUMOの調査によると、バリアフリーを目的としたリフォーム費用・価格相場は一戸建ての場合300万円未満、マンションの場合は900万円から1200万円が中心費用帯です。
家全体的なバリアフリー工事は、大体200万円以上かかります。玄関周辺の勾配の緩和、階段の改良、スロープ取り付け、手すりの取り付けなどの工事で約450万円かかった事例もあります。
一戸建ての場合、だいたい10年から15年ごとに定期的なリフォーム時期を迎えるとされており、最低限の修繕費用の相場は10年で200万円から300万円が目安値となります。夫婦2人のコンパクトな家を建て替える場合でも、総額2000万円以上は必要です。
利用できる補助金・助成金制度を徹底解説
バリアフリーリフォームには様々な補助金・助成金制度が用意されています。これらを上手に活用することで、費用負担を大幅に軽減できます。
介護保険による住宅改修費支給制度の詳細
介護保険制度は、介護が必要な人を社会全体で支えるための仕組みです。「高齢者住宅改修費用助成制度」の対象になるのは、「要支援」または「要介護1から5」の認定を受けている方です。工事費用最高20万円を限度に、費用の9割まで(支給額18万円)を支給してもらえます。この上限までであれば、複数回に分けて利用することも可能です。
支給限度基準額はひとり生涯20万円までですが、要介護状態区分が重くなったとき(3段階上昇時)、また、転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。
対象となる工事は、手すりの取り付け、床段差の解消、滑り防止のための床材変更、引き戸などへの扉の取り替え、洋式便器などへの取り替え、これらに付帯する工事となっています。
子育てグリーン住宅支援事業と後継事業について
子育てグリーン住宅支援事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、既存住宅について省エネ改修等への支援を行う事業として2025年度に実施されました。新築・注文住宅は最大160万円、リフォームは最大60万円の補助が受けられる制度でした。
バリアフリー改修の対象工事と補助金額は、手すりの設置が6000円、段差解消が7000円、廊下幅等の拡張が28000円となっていました。ただし、補助金の申請には「開口部の断熱改修」「外壁、屋根・天井又は床の断熱改修」「エコ住宅設備の設置」のいずれか2種以上の実施が必須であり、バリアフリー化を目的とした改修は「付帯工事(任意工事)」として位置づけられていました。
2026年度の後継事業として「みらいエコ住宅2026事業」が発表されています。バリアフリーリフォームと省エネ改修を同時に検討されている方は、最新の制度内容を確認することをおすすめします。
自治体独自の補助金制度を活用する
国の介護保険制度とは異なり、要介護認定を受けていない方でも対象となる可能性があるのが、各自治体の助成金制度です。介護保険では対象外とされてしまう工事にも適用されることがあります。「バリアフリー化支援金」や「高齢者住宅整備金」など、それぞれの自治体ごとに異なる名称で制度が運用されています。
自治体が独自で設けた助成金制度は、支給条件、上限額、対象となる工事などがそれぞれ異なるため確認が必要です。自治体独自の助成金制度を利用すると、例えば20万円よりも多くもらえる、介護保険で対象外の工事にも助成金が下りるなどの面で、より幅広く補助を受けることができます。
例えば長野県長野市では、身体障害者住宅整備補助事業として補助限度基準額70万円(補助金額は最大で63万円)が設けられています。東京都町田市では2021年度、住宅バリアフリー化を目的とした住宅改修に対して、上限10万円の補助金を設けていました。
ただし、自治体の補助金制度は、介護保険の住宅改修費支給よりも受給条件が厳しいのが一般的です。補助金の額や条件、申込み方法は自治体によって異なるため、対象となる自治体の窓口に問い合わせましょう。年度途中で予算の上限を超えて受付終了となるケースもあるため、早めの確認をおすすめします。
減税制度を活用してリフォーム費用を抑える
補助金だけでなく、減税制度を活用することでさらにリフォーム費用の負担を軽減できます。
所得税控除(リフォーム促進税制)の内容
自身で住まわれる家屋に一定のバリアフリーリフォームを行った場合、所得税の税額控除を受けられる可能性があります。リフォームが行われ、令和7年(2025年)12月31日までに居住を開始された方が対象でした。
対象者の要件として、適用できる人の主な要件は、国内に居所のある個人で合計所得金額が2000万円以下の人で、かつ次のいずれかに該当する人でした。50歳以上(工事完了後、居住した年の12月31日現在)、介護保険法の要介護または要支援の認定を受けている人、65歳以上の高齢者または上記に該当する親族のいずれかと常に同居している人となっていました。
住宅・工事の要件として、適用できる住宅の主な要件は、改修工事後の床面積が50平方メートル以上の自宅でした。改修工事の主な要件は、標準的な工事費用の額が50万円超で、かつその2分の1以上が居住用部分に関するものであり、所定のバリアフリー改修工事のいずれかの工事を含むものでした。
所得税が控除されるバリアフリーリフォームの対象となるのは、通路等の拡幅、階段の勾配の緩和、浴室改良、トイレ改良、手すりの取付け、段差の解消、出入口の戸の改良、滑りにくい床材料への取替えでした。所得税の減税を受けるためには確定申告が必要となります。
固定資産税の減額措置を利用する
固定資産税の減額措置にも、バリアフリー支援税制があります。新築から10年以上を経過した住宅が対象です。ただし賃貸住宅部分は適用できません。
2026年3月31日までにバリアフリー仕様に適合するための工事を行い、その費用が50万円を超える場合、改修工事の翌年度の床面積100平方メートル相当までの固定資産税を3分の1減額するという制度です。
申告手続きとして、改修工事の完了後3ヶ月以内に住宅のある市町村等に申告する必要があります。必要書類として、固定資産税減額申告書(各市区町村より様式を入手)、改修工事の内容を確認できる書類・領収書等(工事請負契約書など)、補助金等を受けている場合は補助金等の額が明らかな書類が必要です。
バリアフリー仕様にするための増改築・改修工事を支援する「住宅借入金等特別控除」、「既存住宅を特定改修した場合の税額控除」のそれぞれの要件を満たせば、この固定資産税の減額制度も併用することができます。
申請方法と手続きの流れを詳しく解説
補助金を確実に受け取るためには、正しい手順で申請を行うことが重要です。ここでは介護保険の住宅改修費支給を例に、具体的な手続きの流れを解説します。
介護保険の住宅改修費支給の申請手順
ステップ1はケアマネジャーへの相談です。はじめに、ケアマネジャーなどに住宅改修の内容や改修場所の希望を伝え、相談します。その後、ケアマネジャーが必要書類を作成します。「トイレでの立ち座りが辛い」「浴室で転びそうで不安」など、現在の住環境で困っている点や不便に感じる点を具体的に伝えると、スムーズな進行が可能です。
ステップ2は施工事業者との打ち合わせ・見積り作成です。住宅改修の施工事業者と打ち合わせをして、施工プランや見積書を作成してもらいます。
ステップ3は事前申請です。介護保険から住宅改修費を受給する場合は事前申請が必須のため、事前申請をして自治体からの許可が出る前に行った工事は保険対象外となります。工事前に必ず申請を行いましょう。
ステップ4は審査・承認です。事前申請書類の提出後に市区町村で審査が行われ、承認されると「住宅改修費支給決定通知書」が自宅に郵送されてきます。審査から決定通知書が発行されるまでの期間は自治体によって異なり、1週間から10日程度かかることがほとんどです。
ステップ5は工事の着工・完了です。区が郵送する住宅改修承認(不承認)通知書が届いてから、工事の着工をしてください。
ステップ6は事後申請・支給です。住宅改修費の受給には、住宅改修工事完了後にも事後申請を行う必要があります。現地確認などを経て、費用が支給されます。
申請に必要な書類一覧
事前申請時には、支給申請書、工事費見積り書(複数事業所からの見積もり提出を促進)、住宅改修が必要な理由書、住宅改修後の完成予定の状態が分かるもの(日付入り写真又は住宅の間取り図など)が必要です。
事後申請時には、住宅改修に要した費用の領収書(宛名は要介護・要支援認定を受けているご本人の氏名)、工事費内訳書(介護保険の対象となる工事の種類を明記)、完成後の状態を確認できる日付入りの写真が必要となります。
「住宅改修が必要な理由書」の作成者は、介護支援専門員(ケアマネジャー)、地域包括支援センター担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上その他これに準ずる資格等を有する者となっています。
支払方法の選択肢
償還払いは、先に工事費用を全額事業者へ支払い、介護保険による住宅改修費の給付を待つ方法です。大半の方が利用している支払い方法です。
受領委任払いとは、利用者が介護保険の自己負担額だけを支払い、残りは自治体から事業者に支払われる方法です。初期の費用負担を抑えたい場合に適しています。
申請時に注意すべきポイント
ほとんどの制度は、新年度に募集を開始から年末または年度末までを期限として申請期間を設けていますが、たいてい夏・秋頃に終了してしまう例が多く見られます。予算に達してしまうと、予定よりも早く締め切られてしまうため、余裕を持って申請しましょう。基本的には「着工前」に申請しなくてはいけません。
基本的に補助金の申請はリフォーム業者が行いますが、制度によってはご自身で行うパターンもあります。各自治体によって手順に違いがありますので、ケアマネジャーや市区町村の住宅改修担当者に確認をするとよいでしょう。
リフォーム資金の調達方法
大規模なバリアフリーリフォームを行う場合、資金調達方法も重要な検討事項です。70代でも利用できる融資制度について解説します。
リ・バース60(リバースモーゲージ型住宅ローン)の活用
リ・バース60とは、住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して融資を行う、60歳以降の方を対象としたサービスです。フラット35でお馴染みの独立行政法人「住宅金融支援機構」と民間金融機関が提携して提供するリバースモーゲージ型住宅ローンで、収入が年金のみの方でも利用できる「60歳からの住宅ローン」として注目を集めています。
利用条件として、借入申込日現在で満60歳以上の方が対象です(満50歳以上満60歳未満の方もご利用いただけますが、融資の限度額が異なります)。資金使途として、リフォーム費用や住宅の購入費用、高齢者向け住宅の入居一時金等の目的で利用できます。生活費等の目的では利用できないので注意が必要です。なお、他の金融機関の住宅ローンからの借換を目的に利用することは可能です。
融資限度額は担保評価額(住宅および土地)の50パーセントまたは60パーセントです。ただし、8000万円以下で、所要資金以内となります。住宅のリフォームの場合は最大1500万円となります。
返済方法として、毎月の返済は利息分のみでOKです。元金は、契約者がお亡くなりになったときに一括で返済します。返済方法は、相続人が現金で一括返済するか、担保物件(住宅および土地)の売却により返済します。
ノンリコース型を選択すれば、担保不動産の売却で元金を返済しきれなかった場合でも、相続人に残債の返済義務は生じません。これは、相続人の経済的負担を軽減する制度設計として、多くの利用者に選ばれているタイプです。
リ・バース60は、老後の住まいに関する課題(住み替え・リフォーム・借り換え)を抱えている方、年齢や収入の面で一般的な住宅ローンの利用が難しい方、相続人への負担を軽減したいと考えている方に向いています。
一般的なリフォームローンの注意点
一般的なリフォームローンは年齢制限があり、70代では審査が厳しい場合があります。完済時年齢の上限(80歳など)に注意が必要です。リ・バース60と比較検討し、ご自身の状況に合った融資方法を選択することが重要です。
住み替えの資金計画における注意点
「家を売れば生活が楽になる」と思いがちですが、住み替え先のコストが予想以上にかかるケースも多いです。マンションに移ったら、管理費・修繕積立金・駐車場代などで出費が増えたり、賃貸に移ったら年金でまかなえず毎月赤字になったりすることがあります。
現在住んでいるマイホームの住宅ローンが完済済みであるか、またはマイホームを売却して住宅ローンを完済できるかが重要なポイントです。ローン返済が残っていながら、新しく住宅を購入することは金銭的負担がかかります。
業者選びと失敗しないためのポイント
バリアフリーリフォームを成功させるには、適切な業者選びが欠かせません。
業者選びで重視すべきポイント
バリアフリーリフォームを成功させるには、実績があって専門知識を持った会社を選ぶことが非常に重要です。業者を選ぶ際には、バリアフリーの施工実績や、福祉住環境コーディネーターなどのバリアフリーの知識を持つ方が在籍しているか確認しましょう。
バリアフリーリフォーム経験が少ない業者は、事前に問題に気がつけません。バリアフリーリフォームを実施する際には、担当のケアマネージャーに相談した上で、バリアフリーリフォームの経験が豊富な業者に工事を依頼しましょう。
複数社から見積もりを取ることも重要です。最低3社程度から見積もりを取得し、内訳を確認しましょう。材料費、工事費、諸経費などが明確に記載されているか、後から追加費用が発生しないか確認することが大切です。
失敗を避けるために押さえておくべきこと
必要に迫られてバリアフリーリフォームをせざるを得ないケースもありますが、焦って計画すると失敗を招くことがあります。
将来を見据えた計画が重要です。バリアフリーリフォームは、現在の身体状況だけでなく、将来的な変化を予測して計画を立てることが重要です。例えば、今は必要なくても、数年後に車椅子生活になる可能性や、介護が必要になることも視野に入れ、長期的な視点を持つことが大切です。
補助金・支援制度の事前確認も欠かせません。介護保険を使う場合はケアマネージャーへの相談や、工事前の申請が必要です。自治体の補助金も、契約や着工前の申請が条件となるものが多く、手続きを忘れると補助金が受け取れなくなってしまいます。
使う人に合わせた設計も大切です。家族が求めるバリアフリー化が必ずしも人気の設備とは限りません。現段階で家族が抱えている不満や不安点を明らかにして、ピンポイントで問題が解決できるリフォームを施すと良いでしょう。的外れなバリアフリーリフォームをしても、家族の暮らし心地は改善しません。
専門家への相談を積極的に活用する
少しでも生活に不自由を感じるようであれば、ケアマネージャーや主治医、建築士など専門知識を持つ方に相談し、早めのリフォームを検討しましょう。専門家の意見を取り入れることで、より効果的なバリアフリーリフォームを実現できます。
シニア向け住宅という選択肢も検討する
バリアフリーリフォームだけでなく、シニア向け住宅への住み替えという選択肢もあります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の特徴
サ高住は、一般的な賃貸マンションに近いものですが、バリアフリー構造になっており、見守りサービスなどが付いていて、必要に応じて介護サービスを受けられます。高齢者向け住宅には、緊急時に駆け付けてくれたり、健康相談ができたりする物件もあります。老人ホームと違って、門限や外出などの制限がないため、自分の家と同じような自由な生活スタイルを維持できるのがメリットです。
シニア向け分譲マンションという選択
購入する場合は「シニア向けの分譲マンション」という選択肢があります。バリアフリー対応の一戸建てであれば、自宅内の移動の労力やけがの心配が減り、安心感が増すでしょう。
高齢者の賃貸契約における注意点
高齢者の賃貸契約は困難です。シニア向けの賃貸住宅以外の一般賃貸住宅では、契約が難しいので気を付けましょう。一般の賃貸住宅は目安として60歳以上になると住宅の審査に通りにくくなる傾向にありますので、シニア対象の賃貸住宅を検討してみるのもよいでしょう。
70代のバリアフリーリフォームを成功させるために
70代の終活におけるバリアフリーリフォームは、安全で快適な老後生活を送るために重要な取り組みです。介護保険による住宅改修費支給(最大20万円)、自治体独自の補助金制度、そして固定資産税減額といった制度を上手に活用することで、費用負担を軽減しながらリフォームを実現できます。
リフォームを検討する際は、まずケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、利用できる制度を確認しましょう。工事前の申請が必要な制度が多いため、計画的に進めることが大切です。また、将来の身体状況の変化を見据えた長期的な視点でリフォーム内容を検討し、経験豊富な業者を選ぶことで、失敗のないバリアフリーリフォームを実現できます。
資金面では、リ・バース60などの高齢者向け融資制度も活用できます。まだ体が元気で資金的にも余裕があるうちに、早めのリフォームを検討した方がよいでしょう。終活で住宅をリフォームすることで、高齢になったときの室内トラブルから身を守り、快適に暮らせる準備ができます。









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